状況を説明すると手紙をくれた「彼女」に「僕」が言い訳をしているのである。何故「僕」が「彼女」を置き去りにしていったのか「僕」が説明しているのだが、ここで重要になるフレーズは「Y.W.C.A.」である。モリッシーはここで「Y」を言った後に、少し言い淀んで「W.C.A.」と言っているのだが、ここは本当は「Y.M.C.A.(キリスト教青年会)」と言いたかったのであろう。つまり「僕」は「彼女」ではなく別の「男性」の「お尻」を6年間も追い続けていたことが暗示されているのであり、タイトルの「ハーフ・ア・パーソン」は「半人前」というよりも「バイセクシュアル」あるいは「ニューハーフ」と捉えるべきであろう。 ところで何故「Y.M.C.A.」がゲイを暗示するのか改めて説明するならば、ヴィレッジ・ピープル(Village People)というグループが「Y.M.C.A.」という曲をリリースしたのが1978年で世界的にヒットし、「Half A Person」が「Shoplifters of the World Unite」のB面としてリリースされたのが1987年で、「僕」は当然のことながらこの大ヒット曲を意識して発言しているのである。