MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

「アンビバレント」と「友だち幻想」

2018-08-04 00:51:00 | 邦楽

欅坂46 『アンビバレント』

「人と人とのつながり」と聞いて「息苦しい」と感じるあなたに
林修「友人は少ない方が幸せである」 朝ドラ女優も思わずうなるニーチェの名言が深い

 おそらく欅坂46の新曲『アンビバレント』の作詞を担った秋元康がネタにしたであろう本は10年前に刊行され、最近になって脚光を浴び始め、累計発行部数30万部を突破した菅野仁の『友だち幻想』(ちくまプリマ―新書 2008年3月刊)ではないだろうか。
 しかしこの『友だち幻想』という著書自体の環境がこの10年で劇的に変化している。2018年8月2日付の毎日新聞夕刊に拠るならば著者で宮城教育大学教授だった菅野仁は当時小学生の長女が「クラスになじんでいない」と学校から何度も注意を受けたことをきっかけの一つとして本書を執筆することになり、見本本が届くと菅野は長女に「ピュアネスのためのリアリティを」と書き添えて長女に真っ先に手渡した。
 「ピュアネスのためのリアリティを」という文句は難解であるが、大胆に解釈を試みるならば「孤独でいるための社会生活を」となるだろうか。しかし菅野は2016年9月に大腸がんで56歳の若さで亡くなってしまい、後を追うかのようにその5か月後に長女は21歳の若さで突然の病で亡くなってしまったのである。まるで2人で追い求めた「ピュアネスのためのリアリティ」を志半ばで取り逃がしたように見える。これがいかに困難なことであるかは想像に難くない。


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