原題:『American Assassin』
監督:マイケル・クエスタ
脚本:スティーヴン・シフ/マイケル・フィンチ/エドワード・ズウィック/マーシャル・ハースコヴィッツ
撮影:エンリケ・シャディアック
出演:ディラン・オブライエン/マイケル・キートン/テイラー・キッチュ/サナ・レイサン
2017年/アメリカ
「見えないもの」に鈍感なハリウッド映画について
主人公のミッチ・ラップの上司になるスタン・ハーリーがかつて指導していたロニーが「ゴースト」と呼ばれるようになってアメリカとテロリストとして敵対するようになる展開はこれまでのアメリカの対テロ対策の皮肉として上手く描かれているし、何と言ってもハリウッド映画として核爆発をこれまでになく丁寧に描いているところは大いに評価されていいと思うのだが、それが海中で起こったにしてもやはりプルトニウムの爆破後の放射能に関する認識が甘く、アメリカ第6艦隊の艦船の乗組員たちが防毒マスクをすぐに取ってしまうのは如何なものだろうか。
あるいはミッチやスタンの動きの俊敏さに比べると敵の動きが悪すぎていとも簡単に殺されてしまい、例えば、ラストにおいてもドバイで大統領候補者にミッチがエレベーター内で簡単に接近できてしまうのも違和感しかなく、エンターテインメントとしてはいまいち弾けていないと思う。