MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『at Home アットホーム』

2015-08-27 00:00:07 | goo映画レビュー

原題:『at Home アットホーム』
監督:蝶野博
脚本:安倍照雄
撮影:木村信也
出演:竹野内豊/松雪泰子/坂口健太郎/池田優斗/黒島結菜/國村隼/村本大輔/板尾創路
2014年/日本

「盗んできた家族」のまとめ方について

 例えば、主人公の一人で結婚詐欺師の森山皐月がターゲットの不動産王の息子のミツルと一緒に観に行った映画が『過去のない男』(アキ・カウリスマキ監督 2002年)とシャーロット・ランプリング主演の『まぼろし』(フランソワ・オゾン監督 2000年)というのは、騙し合うことになるミツルと皐月の暗示として上手く機能しているように見えるのだが、疑似家族こそ「本物」の家族になるという本作のメッセージは、ストーリー展開が都合が良すぎて上手くまとまり過ぎているように感じる。「俺が盗んできた家族は、誰にも奪わせない。」という気概が誰に向かって言われているものなのかよく分からない。
 評判が良いのかどうかよく分からないが、個人的にはミツルを演じた村本大輔の、あるいは皐月の実の夫を演じた千原せいじの演技にも違和感があった。しかし主役の竹野内豊にしても松雪泰子にしても役者としては一流であっても、例えば、大泉洋や綾瀬はるかのように映画の宣伝までそつなくこなす俳優ではないために、『この国の空』(荒井晴彦監督 2015年)同様に製作に関わっている吉本興業所属の芸人を話題作りのために出演させたように見える。大量の映画が製作されるようになった現代の俳優にとってなかなか難しい問題の一つだと思う。


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