MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『雲霧仁左衛門』

2015-08-23 00:39:42 | goo映画レビュー

原題:『雲霧仁左衛門』
監督:五社英雄
脚本:池上金男
撮影:酒井忠/小杉正雄
出演:仲代達矢/七代目市川染五郎/岩下志麻/松坂慶子/あおい輝彦/長門裕之/宍戸錠/丹波哲郎
1978年/日本

映画監督の「観点」の違いについて

 『ええじゃないか』(今村昌平監督 1981年)同様に本作もストーリーを細かく追って観ていくと登場人物の多さと160分という上映時間の長さに疲れてしまうだろうが、かと言って『ええじゃないか』同様に「マクロ」な観点から観たところで映画の醍醐味が味わえる訳ではない原因は、池波正太郎の長編小説をまとめることで精一杯で、アクションシーンを得意としていたテレビディレクター出身の五社英雄監督自身に「マクロ」な視点が欠落しているからであろう。
 一番の問題点は当初、自分たちを罠に陥れた尾張徳川家に復讐しようという兄の辻蔵之助の誘いに乗らずに泥棒稼業に徹していた主人公の雲霧仁左衛門が、蔵之助が仁左衛門の代わりに出頭して打ち首になったことで心変わりして復讐を果たすのであるが、その2人の心情の変化が上手く描かれていないと思うのである。
 しかしこの後、本作においてもその一端を垣間見ることができるのであるが、五社英雄監督は『鬼龍院花子の生涯』(1982年)あたりから女性をメインとした作品で独特の地位を確立する。


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