MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ジュラシック・ワールド』

2015-08-09 00:06:15 | goo映画レビュー

原題:『Jurassic World
監督:コリン・トレボロウ
脚本:コリン・トレボロウ/リック・ジャッファ/アマンダ・シルヴァー/デレク・コノリー
撮影:ジョン・シュワルツマン
出演:ニック・ロビンソン/タイ・シンプキンス/クリス・プラット/ブライス・ダラス・ハワード
2015年/アメリカ

マッチを所持している男の子について

 生きた恐竜を展示する「ジュラシックパーク」の開園前を舞台としていた『ジュラシック・パーク 』(スティーヴン・スピルバーグ監督 1993年)と比較するならば、既に一大テーマパークとして成功している「ジュラシック・ワールド」が舞台の本作はストーリーの規模も格段に大きくなっているのであるが、一方で、遺伝子操作による恐竜の復元という一作目の倫理の問題が、テーマパークが大成功したことにより、逆にさらなる集客目的のための遺伝子操作が推奨されているところは皮肉として効いている。ラストシーンにおいてティラノサウルス・レックスに対して2匹のラプトルが挑んでいった一作目を把握しておけば、本作においては当初インドミナス・レックスと3匹のラプトルが人間に対して共闘していたが、飼育員のオーウェン・グラディに同情したラプトルたちがインドミナス・レックスに反旗を翻し、ラプトルの情勢が不利と見たパークの運用管理者のクレア・ディアリングが22年前の出来事を思い出し、ティラノサウルス・レックスを飼育エリアから解放してインドミナス・レックスと戦わせるというストーリーの流れが上手くできているように見える。
 このように恐竜同士の微妙な心情が上手く描かれていながら、肝心の人間同士の心情がぎこちなく、例えば、主人公の2人の兄弟の両親が離婚しようとしていることはともかく、オーウェンとクレアもそれほど仲が良かったわけではなく、オペレーターのロウリー・クルーザースも非常時で同僚のヴィヴィアンにボーイフレンドがいるという理由でキスを断られてしまう。
 しかし関係のぎこちなさは仕方がない。それよりも不思議に思うことは、弟のグレイ・ミッチェルがマッチを所持していたことである。グレイは恐竜から逃れるために兄のザックと共に滝に落ちたのだから湿ったマッチは使えないはずなのである。せめてライターだと思うのだが、何故マッチだったのか謎として残る。


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