MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『インサイド・ヘッド』

2015-08-07 00:06:21 | goo映画レビュー

原題:『Inside Out』
監督:ピート・ドクター
脚本:ピート・ドクター/メグ・レフォーヴ/ジョシュ・クーリー
出演:エイミー・ポーラー/フィリス・スミス/リチャード・カインド/ケイトリン・ディアス
2015年/アメリカ

髪の毛の色が同じキャラクターの存在意義について

 主人公の11歳の少女のライリー・アンダーソンが最初の人生の岐路に立たされるきっかけは、父親の転職により生まれ故郷のミネソタ州の田舎町から大都会のサンフランシスコに引っ越してきたことにある。ホームシックに加えてなかなか仕事が軌道に乗らない父親と母親の仲が悪くなったことでライリーは本来持っていた明るさを徐々に失っていくのであるが、それがライリーの脳内で具体的にジョイ(Joy=喜び=ヨロコビ)、アンガー(Anger=怒り=イカリ)、ディスガスト(Disgust=嫌悪=ムカムカ)、フィアー(Fear=恐れ=ビビリ)、サッドネス(Sadness=悲しみ=カナシミ)として擬人化されて描かれることになる。
 ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリは自分の役割が分かっているようであるが、カナシミだけは本人自身も自分の役割が分かっていないように見える。それはカナシミだけが自分だけの感情ではなく、他者と自分をつないで「同情」する役割を持っているからであろう。その同情がやがてヨロコビにつながってくることはヨロコビの髪の毛の色がカナシミと同じ青だからであり、キャラクターが対称的な2人だが全く関係がなくはないのである。
 カナシミの存在を認めることでライリーが大人になる過程が実に丁寧に描かれていると思う。ちなみに原題の「インサイド・アウト(Inside Out)」は「裏返し」という意味ではあるが、ここでは「大混乱」と訳したほうが作品に合っていると思う。


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