原題:『日本のいちばん長い日』 英題:『THE EMPEROR IN AUGUST』
監督:原田眞人
脚本:原田眞人
撮影:柴主高秀
出演:役所広司/本木雅弘/松坂桃李/堤真一/山崎努/神野三鈴/蓮佛美沙子/キムラ緑子
2015年/日本
「声」を巡る真意について
本作のメインストーリーとなる、玉音放送の録音盤を巡る畑中健二陸軍少佐を中心とした血気盛んな若手たちと政府軍との攻防は『日本のいちばん長い日』(岡本喜八監督 1967年)で既に描かれており、そうなると本作は「生き残った」日本国民に届く天皇陛下の「録音された声」と、主人公で「切腹したために」阿南惟幾陸軍大臣に届かなかった、戦死した次男に関する阿南綾子の電話を通してではない「生の声」の対照性にこだわるべきだと思われる。その「真意」を探ろうとすれば出来なくもないであろうが、必ずしもエンターテイメントとして成功しているとは思えない。
しかし断固として終戦に反対してクーデターを試みる若い軍人たちの狂気の相貌は上手く描かれており、最後に鈴木貫太郎首相の孫娘が祖父の「鉛の弾と金の玉」の自慢話を真面目にしているところなどは面白かったのだが、エンディングの呆気なさには面食らった。