MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ええじゃないか』

2015-08-22 00:35:32 | goo映画レビュー

原題:『ええじゃないか』
監督:今村昌平
脚本:今村昌平/宮本研
撮影:姫田真佐久
出演:泉谷しげる/桃井かおり/緒形拳/露口茂/草刈正雄/火野正平/田中裕子/倍賞美津子
1981年/日本

「メリケン・ニューシネマ」について

 確かにストーリーを細かく追って観ていくとその繁雑さに嫌気が差してしまうかもしれないが、本作はそのような「ミクロ」な視点よりも全体を通して「マクロ」な観点で観賞するべきで、作品の前半の室内や薄暗いシーンの多さを経て、民衆が一致結束して建物を壊し、太陽の下、大勢で「ええじゃないか、ええじゃないか」という声に合わせて踊り出すクライマックスはカタルシスを得られることは間違いないと思うが、それはもちろん映画館で観賞した場合の話である。
 慶応二年、6年ぶりにアメリカ国籍を取って帰国してきた主人公の源次が幕府と薩摩・長州連合の政争に巻き込まれ、散々都合よく利用されたあげく、捨てられた腹いせに仲間と団結して反旗を翻すも、呆気なく銃撃を受け、「世直し」に失敗し、「自由の国」に戻る希望が叶わないまま絶命する源次の物語は最初から挫折を運命づけられた「アメリカン・ニューシネマ」を彷彿させるのである。


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