ケンのブログ

日々の雑感や日記

北の湖最後の優勝

2023年01月28日 | 大相撲
何日か前に 母が 大相撲初場所で優勝した貴景勝の優勝インタビューがよかった と言った。

僕は それを見ていなかったので 後で ユーチューブで見ると なるほど ひとことひとこと 考えて話しているな と思った。

貴景勝はインタビューの中で 「大関の重圧は 期待されているという 感謝の気持ちに変えていった」 という主旨のことを語っておられた。

そのように考えられればいいなと思う。

また 貴景勝は 3度の優勝を果たして 義理の父 北天祐の優勝回数を超えたことを語っておられた。

それを聞いて 僕は 北天祐が 隆の里を破って 隆の里が10勝3敗になり 13日目で 13戦全勝だった 北の湖の優勝が決まった 相撲のことを思い出した。

北天祐と 北の湖は 同じ 三保ケ関部屋だから 北天祐は 隆の里を破って 兄弟子の優勝をいわば 決めてあげたという形になった。

北天祐は 勝った瞬間に 土俵下で その相撲を見ていた北の湖の方をとっさに振り向き 北の湖は 一瞬 北天祐に ニコッと微笑んで 花道を引き揚げて行った。

土俵や 土俵下では 笑わなかった 北の湖が笑ったので 本当に 珍しいシーンだった。

勝ち名乗りを受ける 北天祐も 今 映像を見ると うれしそうに 微笑んでいる。

なつかしいな と思う。

さて その時の 北の湖の優勝は 北の湖にとって最後の優勝になった。

現役晩年は ひざなどの故障が 多かった 北の湖は それが 14場所ぶり つまり 2年4か月ぶりの 優勝だった。

あの 憎らしいほど 強いと言われた 北の湖が 実に 2年4か月ぶりの優勝。

その 北の湖は 優勝インタビューで 2年4カ月ぶりに復活優勝できた要因は何かと
アナウンサーに問われて 「それは みなさんの 声援のおかげです」と答えている。

そんなわけないだろうと 思った。

ひざなどのケガから立ち直るために 血のにじむ努力をしたはずなのに 皆さんの声援のおかげなんて、、、。

でも 優勝インタビューで 大横綱が 「私の努力のたまものです」 と言うわけにもいかないし おかげさま というのは まさに 方便のお手本だなと思う。

また この時 北の湖は 「必ず復活優勝すると思っていましたか」 と問われて
「機会があれば優勝したいという気持ちが強かったです」と答えている。

考えてみれば これも 謙虚と言うか 冷静な 言葉だなと思う。

必ず優勝すると 思っていると 逆に 気持ちが 空回りしてしまいがちだ。

機械があれば優勝したいという気持ちを強く持つ と思っていた方が 余計な気負いがなくなる。

やはり 大横綱と言われる人は 気持ちの持ち方が違うな と改めて思った。

さて その 北の湖 二日後に 15戦全勝で優勝に花を添えたときには 
昨日は全勝優勝すると思っていましたか と問われて

「いいえ そういうことは 考えていませんでした」と答えている。

正確に言うと 考えなかったのではなく 考えないように努めたのだと思う。

けれど 「そういうことは 考えていなかった」 とは これも 相撲だけでなく スポーツ選手の インタビューでの 受け答えの ひとつのお手本だなと思う。

ところが 別の記者が 「横綱 昨日は こうなったら 明日は 全勝を目指したい」と言ってたじゃないですか とちょっと意地悪な質問をすると 「まあ 千秋楽の相撲で 終わりですから その一番を 思い切っていこうと思ってました」と答えている。

「全勝は考えていなかった」 と答えた後で でも 「明日は勝ちたいと言ってたじゃないですか」 と問われたら 普通は ムッとなってしまうところだけれど 本当に 記者の質問にも 辛抱強く こたえているんだな と感心してしまった。

やはり いろんな意味で 北の湖の残した 足跡と言うのは 大きいんだなと改めて思う。

また、貴景勝という新たなヒーローが出ることで 過去の ヒーローもよみがえってくる。

そういうものだな と思う。

↓北天祐が隆の里に勝って北の湖の最後の優勝が決まり 北の湖が土俵下で ニコッとするシーンです。