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「昨日がなければ明日もない」宮部みゆき

2018年12月28日 21時42分08秒 | 読書(小説/日本)


昨日がなければ明日もない」宮部みゆき

杉村シリーズ最新刊、5作目。
このシリーズは気になるのでフォローしている。
宮部みゆきさんは、江戸ものやファンタジーを書かれているが、
やっぱりいちばん面白いのは現代ミステリ。

P125
「(前略)お酒さえ飲まなければ、ギャンブルさえしなければ、浮気さえしなければいい人ってのは、それをやるから駄目な人なんだって」

SNS上の日記について
P131
そこで披露されるのは、他者に見てもらうために演出、粉飾、トリミングした生活だ。

P296
女性が歳を重ねて容姿が変わることを「劣化」と表現することがる。無神経で嫌な言い回しだから私は口にしないが、こと朽田美姫に限っては、この単語がふさわしいと思ってしまった。まだ二十九歳の女性が、どんな人生をおくればここまでくたびれるのだろう?

P303-304
感情の起伏も激しく、上機嫌になったかと思えばすぐ尖る。怒ったかと思えば拗ねて甘えるような目つきをする。朽田美姫はまだ成長しきってない子供で、ごく基本的な、普通は小学生時代にきちんと身についているはずの躾やマナーの取りこぼしが多々あるようだった。
 ただ、こういうタイプの女性が発散する独特の魅力というか、磁力のようなものはある。私には嬉しくない磁力だが、それに惹きつけられる男性がいるのもわかる。
(世の中には、この手の女性(男性)だけは近寄ってはいけない、ってのがある。しかし、磁石に引き寄せられるように、最悪のタイプを選んでしまう人もいる。学校では教えてくれない「学科」であるが、経験と勘で「災難」を避けるしかないのだろう。まぁ、…運もあるし)

【感想】
人物の造形、キャラクター表現、物語の展開…お手本のように巧い。
トップクラスの実力だ。(人気もトップクラス)
困ったタイプの女性を描かせると、特に上手い。
今回やすらぎを感じる場面が少なく、読んでいて少し疲れた。

【ネット上の紹介】
杉村三郎vs.“ちょっと困った”女たち。自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの家庭の訳ありの新婦、自己中なシングルマザー。『希望荘』以来2年ぶりの杉村シリーズ第5弾!