「ワンさぶ子の怠惰な冒険」宮下奈都
近所の書店になく、ぐずぐずしてたら読むのが今頃になってしまった。
(結局Amazonで購入)
全国に、宮下家のファンは多いのではないだろうか?
トムラウシでの生活を綴った「神さまたちの遊ぶ庭」、その後どうなったのだろうか?
「緑の庭で寝ころんで」で、ある程度うかがい知ることができる。(次男の高校卒業まで)本書は、さらに「その後」が綴られている。(白い柴犬=ワンさぶ子の視点付きで)
P34
『神さまたちの遊ぶ庭』の文庫版、発売。北海道の山奥トムラウシで家族で暮らした一年間の記録だ。この本は、単行本で読んでくれた方みんなが好きだといってくれる奇跡の一冊。(私も好きで、エッセイで繰り返す読むのは、この本だけ・・・読むと幸せな気持ちになれるから)
P46
むすめの夏休みの宿題のうち、残すは作文のみ。
「ママ、作文得意だった?」
むすめはとても素直な性格なので、他意なく、ほんとうに素直に聞いてくる。
「得意だったよ!!」
大人げない小説家はむきになって答える。
「じゃあ、読んでみてくれる?おかしいところがあったら直すから」
タイトルは、メダカと暇? 何の話だろうと読みはじめてすぐ戦慄。なにこれ、おもしろい。(この作品をそのまま掲載してほしかった・・・それにしても、この娘さんは愉快な性格。戦慄の人間国宝クラス、と思う。英語先生が「普段そんなことはしないんですが、採点しながら笑ってしまいました」という答案を提出し、授業中寝てしまい、クラスメイトが起こそうとするが、数学の先生が、「寝かせておいてやれ」、と。ただ者ではない)
【参考リンク】
「神さまたちの遊ぶ庭」宮下奈都 -
「緑の庭で寝ころんで」宮下奈都 -
PS
えちぜん鉄道に乗ってみたくなった。
永平寺か恐竜博物館に行くときに乗ってみよう。
【ネット上の紹介】
北海道トムラウシの山村留学から福井に帰ってきた宮下家。当時、子供たちの妄想(脳内)犬だった白い柴犬ワンさぶ子を本当に迎え、すっかり家族の一員に。三人の子供たちは、大学生高校生中学生となり、思春期真っ只中。それぞれが自分の道を歩き始めていく。広がる世界、かけがえのない音楽、しなやかに自由を楽しむ、宮下家五人と一匹の三年間の記録。
4月 それぞれの冒険
5月 はじめての不調
6月 毎日楽しいね
7月 福井は亜熱帯
8月 この夏もトムラウシへ
9月 ワンさぶ子のおかげで
10月 ただでさえ眠れないのに
11月 力がほしい
12月 新刊が出たのだ
1月 戌年!〔ほか〕
韓国ドラマ「愛の迷宮」をU-NEXTで観た。
2017年作品、全24話、1話38-48分
チェ・ジニョク ユン・ヒョンミン イ・ユヨン共演、
脚本、イ・ウンミ
メロドラマのようなタイトルだが、警察ミステリ。
グァンホとソンジェの刑事ペア。さらに若き女性心理学者も加わり、この3人が凶悪で知能が高い連続殺人犯を追い詰めていく。
この作品がおもしろいのは、タイムスリップの要素を持ち込んだこと。
30年の時を超えて、過去(1986)と現在(2016)が複雑に絡み合う。
主要人物の出生の秘密もみどころ。
グァンホとヨンスクの夫婦愛も、どうなるのか?と目が離せない。
想定以上の面白さだった。
#17
「母親の愛情は多すぎても少なすぎても問題が生じるものよ」
【感想】
サイコパスの造形がリアルで、よく考えてある。
相当研究した、と思われる。
【閑話休題】
イ・ユヨンが黒木華に似ている・・・観ていて、そう感じた。
「息子が人を殺しました」阿部恭子
犯罪加害者の家族に焦点を当てたノンフィクション。
犯罪が起きると、マスコミが押し寄せる。
家族は巻き込まれ、プライバシーはなくなり、世間に叩かれる。
それって、被害者の「救済」に繋がるのだろうか?
「犯罪抑止力」になるのだろうか?
著者は、日本で初めて加害者支援を始めたNPO代表。(WorldOpenHeart)
P40
当団体の相談は無料だが、転居や就労支援にあたって、相談者の経済状況を確認することもある。実感としては、経済的に「中流」と言われるような家庭が多い。
P42
相談者の中で、重大事件の家族のみを対象に、逮捕から判決確定までにかかった費用を調査したところ、平均金額は、約600万円だ。
息子が強制わいせつ致傷罪で逮捕されたAさんの場合、3名の被害者に100万円ずつ示談金を支払い、私選弁護人の費用に300万円を要した。
夫が出張中に強姦致傷罪で逮捕されたBさんは、被害者に300万円を支払い、夫が逮捕された場所が遠方であったことから、面会のための旅費に、判決確定まで約50万円を要した。
息子が振り込め詐欺事件の犯人のひとりとして逮捕されたCさんは、示談金として500万円を支払い、私選弁護人の費用に100万円を要した。
未成年の息子が傷害致死罪で逮捕されたDさんは、遺族に1000万円の支払いをした。
A~Dの相談者に資産家はいない。自宅を売却したり、親族から集めたり、借金をするなどして捻出したお金である。子どもの教育費や老後の蓄えは、一瞬にして消えてしまう。(中略)
被害弁済や損害賠償の支払いは加害者本人の責務であり、家族が必ずしも負担する必要はない。しかし、社会的責任を強く感じている加害者家族は、経済的援助に積極的な傾向にある。(加害者の子どもが未成年だと学費が払えず転校を余儀なくされたり、退学に至ったりする。離婚して家庭も崩壊する。いったいどこまで家族に「責任」があるのだろうか?家族の誰が犯罪をするかで変わる。子どもが犯罪者だと、どうしても親は追求される)
P133
痴漢で逮捕された男性がまず心配するのは、「会社をクビにならないか」ということだ。家族への影響よりも、自分の社会的な地位や自由を奪われることの方が心配なのである。(本人は拘置所や刑務所の中で蚊帳の外、となり、逆に、家族はマスコミや世間の非難にさらされる)
P177
また、家族内の問題を社会批判にすり替えてしまう人たちもいる。
(中略)
社会に対する批判的態度があまりに強い人たちへの支援は、非常に困難である。
手を差し伸べようとしても、本人はすべてに批判的で、時には攻撃手になり、救われる機会を自ら潰してしまうのだ。こうした批判的な人たちには、プライドが高く、問題の核心に迫る勇気がないタイプが多いようである。(「家族」もいろいろだ)
P186
「人に迷惑をかけてはならない」――おそらく学校でも家庭でもそのように教え込まれ、世間のルールに従順であることが「善」とされてきた。
その一方で、世間のルールから少しでも外れる者に対しては、厳しい社会的制裁が下される。「安全」な社会が、必ずしも「安心」な社会とは限らない。
【ネット上の紹介】
連日のように耳にする殺人事件。当然ながら犯人には家族がいる。本人は逮捕されれば塀の中だが、犯罪者の家族はそうではない。ネットで名前や住所がさらされ、マンションや会社から追い出されるなど、人生は180度変わる。また犯罪者は「どこにでもいそうな、いい人(子)」であることも少なくない。厳しくしつけた子どもが人を殺したり、おしどり夫婦の夫が性犯罪を犯すことも。突然地獄に突き落とされた家族は、その後どのような人生を送るのか?日本で初めて加害者家族支援のNPO法人を立ち上げた著者が、その実態を赤裸々に語る。
第1章 家族がある日突然、犯罪者になる
第2章 加害者家族はこうして苦しむ
第3章 疑われるのは、まず家族
第4章 報道されれば、家族は地獄
第5章 事件にひそむ家族病理
第6章 家族の罪を背負って生きる人たち
第7章 家族への制裁は犯罪抑止になるか
第8章 加害者家族の支援はこうして始まった
第9章 加害者家族を支援するということ
第10章 犯罪者にしないために家族ができること
「歴史をかえた誤訳」鳥飼玖美子
親しくない場合、お互い歩み寄ろうとする。
距離が近くなるほど、「こんなこと分かってくれるよね」、と思ってしまう。
日本人同士でも言葉の誤解がある。
他国の人となるとなおさら、だ。
外交上の「言葉」のやりとりとなると、政治問題に発展し、歴史が変わってしまう。
鈴木貫太郎は、ポツダム宣言に対して「黙殺」すると言明した。P26
P27
はたして何という英語に訳されたのか――ignore なのか、reject なのか。また、訳したのは、連合国側であったのか? それとも、日本側で英訳してから打電したのか?
もし、日本側が自らreject という訳語をあててしまったなら、これは「拒否」以外のなにもんでもなく、誤訳というレベルを越えた、外交上の大きな誤りとしかいいようがない。
しかし、これがもし、連合国側が翻訳したものであり、「黙殺」のニュアンスがよくつかめずにignoreと訳したのだとしたら、これはむしろコミュニケーション・ギャップの一種であり、誤訳というよりは翻訳についてまわる宿命的な危険性の一例と考えられる。
(中略)
広島に原子爆弾が投下されたのはそれから10日もたたぬ8月6日のことであった。
P28
中村(隆英)氏が筆者に語ったところでは、どうやら当時の同盟通信が ignore と英訳したのを連合国側がreject と解釈した、というのが真相らしい。
P30
「今ならノーコメントと言うところで、そう言っておけば連合国側の受け取り方も違っていたかもしれない。しかし当時の日本国内ではそういう英語表現を誰も知らなかった」
P34
それにしても「黙殺」という言葉でポツダム宣言を拒否したと受け取られたのは、広島・長崎への原爆投下へ踏み切る口実、といういい方が悪ければ、きっかけを与えたことにはなる。(4/7追記:別な資料を調べたら、『投下命令は7月24日、ポツダム宣言が出る前にすでに出されていた』、とあるby「半藤一利の昭和史」P76)
【ネット上の紹介】
原爆投下は、たった一語の誤訳が原因だった―。突き付けられたポツダム宣言に対し、熟慮の末に鈴木貫太郎首相が会見で発した「黙殺」という言葉。この日本語は、はたして何と英訳されたのか。ignore(無視する)、それともreject(拒否する)だったのか?佐藤・ニクソン会談での「善処します」や、中曽根「不沈空母」発言など。世界の歴史をかえてしまった誤訳の真相に迫る。
序章 誤訳はなぜ起きるのか
第1章 歴史を変えた言葉
第2章 外交交渉の舞台裏
第3章 ねじ曲げられた事実
第4章 まさかの誤訳、瀬戸際の翻訳
第5章 文化はどこまで訳せるか
第6章 通訳者の使命
韓国ドラマ「私の10年の秘密」をU-NEXTで観た。
2013年作品、全18話、1話60-65分
ソン・ユリ、ユ・ジュンサン共演、
脚本、キム・ギュワン。
「記憶喪失」、「出生の秘密」、「財閥」、と3拍子そろっている。
が、荒唐無稽な話にならない・・・そこが素晴らしい。
脚本家の腕でしょうね。
天才子役・カル・ソォンの演技も泣かせる。
ヒットはしなかったかもしれないが、良く出来た佳作、と思う。
一度見たものは全て記憶できる天才少女・イヒョンがヒロイン。
しかし、なぜか高校以降10年間の記憶がない。
そんな彼女の前に、夫と娘が現れる。
消えた記憶を探し、人生を取り戻していく物語。
「定年後の韓国ドラマ」藤脇邦夫
韓国ドラマを分類、分析して、具体的に作品を紹介してくれている。
但し、2016年11月出版なので、日進月歩で新作が出来ていくなかで読むには、古すぎる。
よって、過度に期待するとがっかりする。
それに、著者と私では趣味が異なる。(2016年出版だから、2017年「黄金の私の人生」2017年「愛の迷宮」2018年「知ってるワイフ」が抜けるのは仕方ないにしても、2009年「華麗なる遺産」2012年「いとしのソヨン」2013年「私の10年の秘密」2014年「私はチャン・ボリ!」に触れていない。これって、どーいうこと? 趣味が違いすぎる)
P140
「ニューファミリー」出現以前の70年代まで、特に地地方在住の団塊の世代では(特に女性は)、「結婚までは親と同居、また結婚後も相手側の親と同居」は、当時支配的な考え方だったことはここで記しておきたい。
P82
このジャンルの第一人者であるノ・ヒギョンの作品はまさにそうで、「私が生きる世界」「愛の群像」「花よりも美しく」「グッバイ・ソロ」「彼らが生きる世界」とヒットの多い作家だが、その世界は作家自身の人生も投影しているらしく、それだけにリアルで感動を呼んだ作品で知られている。(現在、これらの作品は、Amazon、Netflix、U-NEXT、いずれでも視聴不可能)
【ひと言】
韓国ドラマを観ていて、タイトルの付け方がなってない、と感じる。
何とかならない?(少なくとも、「愛の××」は、やめてほしい)
これって、配給担当者が付けてるのだろうか?
担当者を変えるか、タイトル専門の優秀な方を雇うべき。
【ネット上の紹介】
国内外のドラマ、映画を500本以上視聴した著者は、長い余暇の相棒として「韓国ドラマ」に勝るものはないと断言する。韓国は、毎月100話近いドラマが放送される異常なドラマ大国で、視聴率にもシビアだ。日本のようにキャスティングありきの安易なドラマ制作は許されず、脚本が優れた本物の作品のみが生き残る。最高視聴率64・5%を記録した「砂時計」や、韓国ドラマの全ての要素が完全に内包された「ジャイアント」を見れば、その凄さが必ず分かるはずだ。本書ではその魅力を「韓国ドラマベスト50」と共に余すことなく語り尽くす。
第1章 韓国ドラマとは何か
第2章 日本人だけが感じ取れる、韓国ドラマ特有の情感
第3章 究極のシナリオ技術
第4章 韓国ドラマの俳優たち
第5章 家族ドラマの世界
第6章 代表作「ジャイアント」「砂時計」徹底解析
第7章 ドラマ音楽の、もう一つの対等な効果
第8章 ブームが去った後で残ったもの
「日本航空一期生」中丸美繪
航空業界の黎明期を描いたノンフィクション。
とても興味深く、おもしろい。
白洲次郎は、現代では人気者だが、本書を読む限り、「悪役」だ。
吉田茂の側近という立場を利用し、国際ブローカーとして暗躍している。
「かっこいいやつ」とおもっていたのに印象激変。
イメージが一新され、それだけでも、本書を読む価値あり。
なお、著者は元・日航スチュワーデス。
スチュワーデスの条件
P14
わたしが日本航空に入社したときは、「容姿端麗」の条件はなくなっていたからこそ応募もできたのだが、かつてはそんな空恐ろしい条件があった。(中略)
「神話の一ケタ、化石の二ケタ、美貌の百期、知性の二百期、体力の三百期」といわれている。(中略)
スチュワーデスは29歳が最年長で、あとはほぼ22歳前後だった。企画室部長の伊藤良平の回想によると、採用にあたって社内では、「良家の子女を採用して日航のスチュワーデスとしてつくりあげる」という意見が圧倒的だったという。そのなかで独特な意見をいろいろいったのが森村勇で、「容姿端麗な八頭身美人を採用方針に」と提案したのも彼だった。(今ならフェミニストに袋だたきでしょうね・・・初代採用者は、ほとんどやめていくが、生き残るのは体力があって愛嬌もある女性たちだったようだ。最初、バッグは買い取りで給料天引き、ストッキングも靴も自前。後に、制服関連全て支給されクリーニング代も出るようになる・・・だいぶ後の話)
P100
竹田悠子は旅客課長から「3S」が強調されたことをはっきりと記憶していた。
「一番にSafety、二番にSchedule、そして三番がServiceであるというのです。これらがわたしたちの心に刻まれたスチュワーデスとしての基本です」(この竹田悠子さんは、初代スチュワーデス。日航に国際線が出来ると、英語堪能により指名される。あるとき、サンフランシスコ発東京便で、後輩がファーストクラスの客の背広にマティーニをこぼしてしまう。代わりに謝りに行って自腹でクリーニング代を工面。しばらくして、日航人事部に丸紅から連絡が入る。機内で出会った商社マンから悠子への求婚がなされたのだった。まるでドラマのような話だが、実話だ)
社長の松尾靜磨について
P251
飛行機に乗るときには、「お客さまを優先させて、重役であるのに、自分は最後に乗ってきて静かに空いている席を見つけてすわっていらしたわ」と感心するのは伊丹政子である。(中略)
着陸すると、ファーストクラスの客を飛行機の出口でスチュワーデスたちとともに送り、自分は最後に降りたともいう。その後の社長が、地上職員に伴われて、お客より先に飛行機を降りていくのとは対照的だったというのである。(大韓航空の元副社長・趙顕娥(チョ・ヒョナ)、つまり“ナッツ姫”と、えらい違いだ。皿に盛られるナッツを袋のまま出したと激怒。動き始めていた同航空機をリターンさせた事件を覚えているだろうか?ちなみに“ナッツ”は、「きちがい」という隠語・・・double meaning、と思う。こんな事件があるから、財閥2世、3世をモデルにした韓国ドラマも出来るのでしょうね)
【備考】1
伊丹政子は、1971年、昭和天皇が欧州に向かった時、その特別機に乗務している。さすが一期生だ。その時、天皇からお声が掛かる・・・「あの足の悪い伊丹の娘か?」、と。
伊丹政子の父は、元陸軍中将、陸軍士官学校校長もし、後、大使館付き武官として皇太子時代ヨーロッパ歴訪に同伴していたのだ。政子自身もあの玉音放送の時は宮内省総務部に勤務していた。その後、宮内省は改組され、政子は職を失い、聖心にもどり、英語科の一期生となるが家計は逼迫。母の嫁入り道具や着物も借金のカタに持って行かれる。そんな折に、日本航空の募集を知って、応募する。
【備考】2
先日、本書を元に、3月20日、広瀬すず主演で「エアガール」として2時間ドラマになった。とのとき、松尾靜磨は、名前を松木静男に変えられいた。何か支障があるのでしょうか? 白洲次郎や三木武夫は、そのままだったのに、どうして?
このドラマを観ていて思った・・・2時間ドラマじゃなく、NHK朝ドラですべきじゃない?、と。 2時間で消化するには濃すぎるんじゃない?、と。
【備考】3
ドラマには出てこないが、「もく星号」事件が取りあげられている。
松本清張「日本の黒い霧」の世界だ。
【ネット上の紹介】
GHQによる「航空禁止令」のもと、占領下の日本では、航空機保有はおろか、教育や研究も禁止されていた。民間航空再開の日を夢みて奮闘し、「日本航空」創立後は、現場主義・安全運行を何より徹底した先達たち。その気概に満ちた歳月を、当時を知る関係者の貴重な証言をもとに描いたノンフィクション。文庫化にあたり大幅加筆をした決定版。
第1章 創業前夜―占領下で(エアガールに CIEの職員を経て
家計のために 陸軍士官学校校長の娘 ほか)
第2章 日本航空創立―旅行会社のような民間会社(畳敷きの社長室
狭き門 ほか)
第3章 「もく星号」事件から自主運航へ(「もく星号」事件
事故の真相 ほか)
第4章 ナショナル・フラッグ・キャリアとして(一人前の航空会社へ
中学教諭からCIE図書館を経て ほか)
韓国ドラマ「私たちが出会った奇跡」をU-NEXTで観た。
2018年作品、全18話、1話60-63分
キム・ミョンミン、キム・ヒョンジュ共演、
脚本はペク・ミギョン。
途中、中だるみはあるが、なかなかの佳作かと思う。
脚本がよく考えられている。
ifを描いた作品。
死神のミスにより、他人の身体に入ってしまった男の話。
主人公ヒョンチョルは家庭を顧みない冷酷な男、妻のヘジンは離婚を決意していた。
そんなある日、ヒョンチョルは事故に遭い意識不明に陥る。
そこに、同姓同名の男の魂が、入り込んでしまう。
この着地はまったく見えなかった。
しかし、「こうきたか!」、と。
観終わると、「まぁ、これしかないかな」、と思う。
老朽化したエアコンを2台新しくした。(応接間と、2階洋間)
1台は15、16年前、もう1台は20年以上前のもの。
274,639円+34,870円(カバー等追加工事代)+5,280円(リサイクル)=314,789円
以上、リフォームの一環、覚書。
「破獄」吉村昭
昭和11年青森刑務所脱獄。
昭和17年秋田刑務所脱獄。
昭和19年網走刑務所脱獄。
昭和22年札幌刑務所脱獄。
警戒はどんどん強くなるのに、人間心理の弱点と裏をかき、意表を突いた方法で脱獄していく。凹凸もなく、つるつるの壁をどう登ったのか?係官は首をかしげる。
とんでもない超人だ。
厳重な監視を続ける刑務所の係官、刑務所の設備の説明、それでも打ち破っていく無期懲役の主人公。何が彼をそうさせるのか?
戦中・戦後の世相と共に、丹念に描いていく。(その昭和史の部分も面白い)
そこはさすが、取材力に定評のある吉村昭さんだ。
刑務所所長の言葉
P109
「この書類をみると、人間業とは思えぬ。全国に4万5千の囚人がいるが、佐久間のような者はいない。このような前代未聞の脱獄囚を当刑務所に移送してきた本省の信頼にこたえるために、また当刑務所の威信にかけても、逃走事故をおこさせてはならぬ」
【ネット上の紹介】
昭和11年青森刑務所脱獄。昭和17年秋田刑務所脱獄。昭和19年網走刑務所脱獄。昭和23年札幌刑務所脱獄。犯罪史上未曽有の4度の脱獄を実行した無期刑囚佐久間清太郎。その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いを描破した力編。読売文学賞受賞作。
いわたやまに登ってきた。
まだ少しふらふらするけど、大丈夫。
標高160mだけど、眺めはよい。
登山口は阪急嵐山駅から徒歩10分
おさるさん、ひなたぼっこ
ただいま散歩中
ノミとれた?(実際は塩の結晶をとってる)
波瀾万丈、ワリス・ディリーの自伝。
ソマリアの砂漠に生まれ、遊牧民として山羊やらくだの世話をして生活してきたワリス。13歳で老人と結婚させられそうになり、夜明け前の砂漠を走って逃げる。
都会に出て、そこからロンドンで住み込みメイドをする。モデルとして見出され、やがてミラノ、パリ、ニューヨークと渡り歩く遊牧民の生活となり、いつしか「スーパーモデル」と言われる存在に。とてつもない勘と思い切りの良さで人生を切り開いていった女性。
読書の醍醐味の一つは、まるっきり想像もつかないような人生を追体験できること、と改めて気づかせてくれる作品だ。
P104
「あの人がおまえをもらうために、なにをもってきてくれると思う?ん?」
「なんなの?」
「ラクダ五頭だよ」ラクダを五頭もくれると言うんだ」父がわたしの腕をたたいた。
「父さんはおまえを誇りに思うよ」
P410
幸せというのは、なにかをもつことではないということも学んだ。わたしはなにももっていなかったが、とても幸せだった。
【ネット上の紹介】
遊牧民の少女ワリス・ディリーは、夜の砂漠へ逃げ出した。老人と結婚するなんて嫌。自分の人生を生きるため、砂漠の中をひた走る。やがて運命に導かれるようにロンドンへ。写真家の目に止まり、スーパーモデルへの階段を駆け上がる。だが華やかな成功の裏で、ある秘密が彼女を苦しめていた―。衝撃的な女子割礼の事実を公表し、世界的なベストセラーとなった話題作。映画『デザート・フラワー』の原作。
「戦争の日本近現代史」加藤陽子
本来、戦争というハードルは、相当高いはず。
平和なのに戦争に進む、って何かきっかけがあったはず。
いったいどう、正当化され、合理化され、戦争OKの状態に人びとの認識が変わったのか?
日清戦争→日露戦争→第一次世界大戦→満州事変→日中戦争→太平洋戦争
この流れで、意識の変化を見ていく。
P43
日本にとって「韓」という文字は、地名あるいは民族名として認識されていたため「征朝論」でなく「征韓論」と呼んだものとみられる。
支那という呼称あるいは表記について
P50
1911年に起こった辛亥革命で清朝が崩壊するまで、中国に対する日本側の呼称は、その王朝名から、清あるいは清国と呼ぶのが一般的であった。しかし、1913年、中華民国を中国の正統政府として承認した際、中国の呼称を支那共和国とした。中華民国の公称英訳であるRepublic of China から日本語に重訳したものであり、そこに差別的な意味は込められてはいなかった。支那共和国を略して支那と使われる場合も同様である。しかし、中華民国としなかったのは、中華という言葉がみずからの誇称であり固有名詞ではないとの判断が日本側にあったためとみられる。支那という呼称を問題とする中国側の意向もあり、日本側は1930年、それまでの支那共和国あるいは支那という呼称を改め、中華民国を中国の正式呼称とすると閣議決定している。
紀元前の帝国、秦の国名を表す発音(Chin)が、インドで中国を意味するものとして用いられるなったところに支那の語源はあり、もともと差別の意味あいがなかったことはよく知られたところである。しかし、たしかに日清戦争以降、昭和戦前期を通じて中国あるいは中国人に対する軽侮の念をともなって、支那あるいは支那人という呼称が広く日本社会に用いられていたことも事実である。
【ネット上の紹介】
日本はなぜ太平洋戦争に突入していったのか。為政者はどんな理屈で戦争への道筋をつくり、国民はどんな感覚で参戦を納得し支持したのか。
第1講 「戦争」を学ぶ意味は何か
第2講 軍備拡張論はいかにして受け入れられたか
第3講 日本にとって朝鮮半島はなぜ重要だったか
第4講 利益線論はいかにして誕生したか
第5講 なぜ清は「改革を拒絶する国」とされたのか
第6講 なぜロシアは「文明の敵」とされたのか
第7講 第一次世界大戦が日本に与えた真の衝撃とは何か
第8講 なぜ満州事変は起こされたのか
第9講 なぜ日中・太平洋戦争への拡大したのか
「枕草子REMIX」酒井順子
P84
似げなきもの(似つかわしくないもの)
・おじいさんが、寝呆けてるの。とか、髭の長いおじいさんが椎の実をボリボリ囓ってるの。
〈もういいお歳のおじいさんが、薬局で一番高い強精ドリンクを買って、その場でゴクゴク飲んでるの。その精力をいったい何に使うのだ・・・・・・〉
・歳をとった女が、妊婦姿で歩いてるの。歳をとった女が若い夫を持つだけでも見苦しいのに、「他の女のところに通ってる」なんて腹をたてるなんて、なおさら!
〈三十路を杉田女が、襟ぐりの大きく開いたシャツで胸の谷間を見せたり、ナマアシでミニスカートはいてたりするの。で、すっかり若い気になってクラブかなんかいって、そこで知り合った若い子にすりよっていくのは見苦しいし、その男の子が浮気したからって「どうせ私は若くないし」なんてすねてみせるなんて、なおさら!〉
・下種女が、女官の真似をして紅色の袴を着てるの。近ごろって、そんなんばっか!
〈その辺のよくわかんないチンコロねぇちゃんが、エルメスだのヴィトンだの持ってるの。近ごろって、そんなんばっか!〉
【ネット上の紹介】
あなたとは絶対に気が合う!千歳年上なのに同じ時代の親友のよう―。酒井順子が絶賛するお相手とはかの「清少納言」。大人になって読み返した『枕草子』は心から共感できることばかり。男・友達・恋・ブス・おしゃれ・老いetc.いつの世も変わらず女が気にするこんなトピックを、清少納言はどう見ていたか。平成の女言葉に大胆に変換した訳文も楽しい。清少納言にちなむ京都ガイド付。
リミックスものづくし(「女同士」というもの
「男」というもの
「キャリア」というもの
「待つ」ということ
「イベント」というもの ほか)
枕草子観光(清水寺
下鴨神社
逢坂の関
伏見稲荷大社
長谷寺 ほか)
入院の経緯を残しておく。
2021年3月8日(月曜)
今日は、10時から屋根工事。
傷んでいる瓦と漆喰リフォーム。
だから、1日家に居るつもりだったが、なんだか調子が悪い。
屋根工事の人にことわって、外来受診に出かける。
担当医に「ふらふらして自転車にも乗れません」、と言うと・・・
「昼から手術します」、と。
「えっ、今日ですか?」
「午後に手術の予定を入れます」
「着替えを取りに帰っていいですか?」と聞くと、
「タクシーで帰るなら許可します、13時までに戻って下さい」と。
こうして、即入院、即手術になった。
PCR検査、手術の段取りを待っていると、隣のお婆さんが「何妙法蓮華経」とずっと唱えていて気が滅入ってきた。
手術は約1時間、頭の皮を切って、頭蓋骨・右目の上に、1円玉くらいの孔を開けて、血腫を出す。無事完了。
術後の部屋には別のお婆さんがいて、一晩中「助けて、助けて」と言い続けるので、寝られない。
3月9日(火曜)
朝から点滴、夕方まで。清拭も受ける。
術後の部屋から、一般の病室に移動・・・4人部屋 266号
リハビリが始まった。理学療法士さんと、作業療法士さん、2種類のメニューある。
「指が曲がってますね」、と。
「これは前からです」、と私。
点滴の管、頭蓋骨の孔に管、尿道カテーテルの管、と管だらけ。
トイレに行くのも車椅子+看護師さんのサポート。
「必ず呼んで下さい、1人で行かないように」、と。
抜糸してもらって、代わりに、ホッチキス10本打ち込んでもらう。ほとんどフランケンシュタイン状態。
3月10日(水曜)
朝から点滴、夕方まで。
リハビリは、理学療法と作業療法。
頭の管と尿道カテーテルが取れたのが嬉しい。
トイレに行くのは点滴棒+看護師さんのサポート。
夕方から自力でトイレに行ってよい、と許可が出た。
CTを撮った。(頭のみ)
3月11日(木曜)
朝から点滴、晩まで。点滴の落ちが悪いから夕方に終わらなかった。
午前中、病院のお風呂。ストレッチャーに横になると、洗ってシャワーをかけてくれる・・・「まな板の上の鯉」状態、だ。これが今回、一番貴重な体験、と思われる。午後は、再び、リハビリ。手の作業療法のみ。理学療法は、担当の方が休み。
3月12日(金曜)
今日から点滴の代わりに飲み薬。点滴棒を引っ張って歩かなくて良いので助かる。
午前は、足腰のリハビリで理学療法、昼から作業療法。
午後から、3階に引っ越し。
3月13日(土曜)
朝からリハビリ=理学療法のみ。
午前=MRI(頭のみ)
昼13時から、自力で単独シャワー、首から下のみ。
外出許可を願い出たが、却下される。
図書館で取り寄せている本を受け取りたいのだけど。
仕方がないので、図書館に電話して、取り置き延長依頼する。
あと、帰宅してパソコンのメールチェックをしたい。
足りない衣類、タオルなども持ってきたい。ゴミ出しもしたい。
こんな時、家族がいたら便利だろうな、と思う。
Wi-Fiがあって、一時帰宅が許されるなら、もっと入院してもよいかな、とも思う。上げ膳据え膳だから。自分で作るより栄養があっておいしい。
3月14日(日曜)
午後からリハビリ(理学療法+作業療法)
3月15日(月曜)
10:30から+左肩レントゲン+整形外科
肩腱板断裂でも、頸椎損傷でもない、と
左腕が不自由なのは、脳のダメージからくる、と診断。
脳の回復を待つと同時に、反復リハビリが必要。
夕方、リハビリ=理学療法のみ。(作業療法休み)
午後から、ホッチキスを取り除く10本・・・これが正式な抜糸、とのこと。
頭のシャワーOK、但し、爪を立てないように。
水曜か、木曜に退院予定
明日、写真を撮ってから判断します、と。
明日のお婆さんの病院診察日、ケアマネさんだけで行ってもらうようお願いする。
月末の歯科予約、延期・変更依頼をかける。
3月16日(火曜)
急遽、CTが決まる・・・退院に向けての布石と思われる。
午前=理学療法、午後=作業療法
12:30シャワー、頭を洗う。
読む本がなくなり暇をもてあます・・・作業療法士さんが、残置の本を4冊貸してくれる。(感謝)
3月17日(水曜)
退院日、9:00からの日勤の人を待って退院
退院したとたん忙しい。
ふらふらしながら色々処理する。
セコム、植木の水やり、冷蔵庫の古いものを処分
洗濯、ゴミ出し、止めてた新聞再開
溜まっている郵便整理・・・必要な書類記載して返信
山のように溜まっているメールチェック
市役所、必要手続き、銀行電話、明日会う約束をする
2箇所リフォーム会社に電話、買い物、図書館、通帳記入、
上の写真は病室・・・個室にしてもらったのは、夜中でも本が読めるように。
一般ホテルと違うのは、ベッドがパラマウント・ベッドで、横にナースコール、頭に酸素や吸引装置が設置されていること。部屋にトイレと洗面所はあるが、風呂・シャワーがない。