【ネット上の紹介】
ちゃくちゃくと結婚に向けて準備を進める、沙名子と太陽。名字はジャンケンで“森若”にすることになったけれど、それ以外にも世帯主、本籍地、新居、子供など、話し合わなければならないことは山積みだ。社内の既婚女性たちの家庭事情もいろいろと耳に入ってきて悩ましい。そしてそんな間も仕事は待ってくれない。業務効率向上のためのデジタル化も始まり…?「愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜」香月美夜
現在出版されているのは次の通り。
第一部「兵士の娘」3巻
第二部「神殿の巫女見習い」4巻
第三部「領主の養女」5巻
第四部「貴族院の自称図書委員」9巻
第五部「女神の化身」12巻
外伝 「貴族院外伝 一年生」
外伝 「ハンネローレの貴族院五年生」
短編集2冊
*アニメも第3部まで配信されている。
本編全33巻+外伝2巻+短編集2巻
(この1ヶ月、これにかかりっきりになっていた)
本編は33巻で完結しているが、ヒロイン以外の視点で、
短編集や外伝が今も続いている。(2024年11月現在)
この作品を読むにあたって3つハードルがある。
①とても長い
②登場人物が多い
③カタカナ名前で覚えにくい
ファンタジーなので、このジャンルに抵抗感がある方もいるでしょう。
本伝でも、さまざまな登場人物視点で描かれている。そこをしんどく感じるかもしれないし、面白く感じるかもしれない。
かつて、氷室冴子さんが「全ての登場人物の視点で描くことができる」と言って一部の作品で実行された。(「なぎさボーイ」「多恵子ガール」)
それをさらに積極的に進めている。
【閑話休題】
貴族院に入るまでの2年間をどうするのだろう、と思っていた。
宇江佐真理さんの「髪結い伊三次捕物余話」で、「我、言挙げす」から「今日を刻む時計」に到ったようなことが起こるのではないか?、と予想した。
実際はどうか?・・・読んでみて。
【異世界ファンタジー】
私の思いつく異世界ファンタジーは次のとおり。
①「西の善き魔女」全4巻、荻原規子
②「悪魔のような花婿」シリーズ
③「天山の巫女ソニン」菅野雪虫
④「帝国の娘」(上・下)須賀しのぶ
上記作品を比べて、「本好きの下剋上」は、食べ物と服飾の描写が多い。
それが特色と言える。
【ネット上の紹介】
2022年 このライトノベルがすごい!受賞
幼い頃から本が大好きな、ある女子大生が事故に巻き込まれ、見知らぬ世界で生まれ変わった。貧しい兵士の家に、病気がちな5歳の女の子、マインとして…。おまけに、その世界では人々の識字率も低く、書物はほとんど存在しない。いくら読みたくても高価で手に入らない。マインは決意する。ないなら、作ってしまえばいいじゃない!目指すは図書館司書。本に囲まれて生きるため、本を作ることから始めよう!本好きのための、本好きに捧ぐ、ビブリア・ファンタジー開幕!書き下ろし番外編、2本収録!
「彼方此方の空に粗茶一服」松村栄子
シリーズ最新刊で、最終刊。
P168
それよりも、一見控えめなこの嫁が時折見せる大胆さには瞠目すべきものがると、公子はあらためて佐保の顔をまじまじと見た。
P192
「争いごとはよくないことですが、それでもひとには闘わなければならないときもあります。命がかかっているときと名誉がかかっているときです。命がかかっているときには手段を選ばず、どんなずるいことをしてでも勝っていき残らなければなりません」(中略)
「しかし、名誉がかかっている闘いは、フェアでなくては意味がありません。(後略)」
第六章「今出川家御息女の段」が特におもしろくて、即読み返した。
このシリーズは終了らしいが、スピンオフでまた描いてほしい。
今年もんくなしのベスト。
楽しめた。
【ネット上の紹介】
東京・本所の一角で、弓道、剣道、茶道を伝える〈坂東巴流〉。紆余曲折ののち、家元をつぐ決意をした長男・友衛遊馬の周りには、一癖も二癖もある面々があふれていて--。将来に不安を覚える遊馬の恋人・佐保が出会った呉服屋に隠された「秘密」、遊馬の一番弟子・伊織が直面したある事件、遊馬の京都時代の友人・翠と哲哉のなかなか進まない恋模様、留学した遊馬の弟子・珠樹のイギリス生活、友衛家の三代にわたる嫁姑関係、カンナと幸麿の娘・希の小学校サバイバル術、そして三十代になった遊馬の日々。巧みに織りなされる人間関係の機微と、茶の湯をはじめとする日本文化の奥深さに凛と姿勢が正される、読後感あたたかな7篇の人情譚。
「銀の海金の大地」11巻
久しぶりの読み返し。
〈真秀の章〉11巻の内訳は次の通り。
1巻 第一章=巫王の血脈 第二章=月が満ちるとき
2巻 第三章=滅びの子 第四章=佐保彦の王子
3巻 第五章=銀の鈴 第六章=禍つ恋
4巻 第六章=禍つ恋
5巻 第七章=まほろばの娘
6巻 第七章=まほろばの娘
7巻 第七章=まほろばの娘
8巻 最終章=暁に甦る
9巻 最終章=暁に甦る
10巻 最終章=暁に甦る
11巻 最終章=暁に甦る 番外編=月がみていた
初巻あとがき、P248
あのー今から宣言しちゃいますけど、この銀金、大河ドラマです。
最初は、全10冊くらいかなーと思ってたんですが、なんせ1冊と踏んでた〈真秀の章〉が、どうも4冊になっちまうのです。こうなると、最低でも20冊はいきます。
11巻あとがき、P274
嵐の海で小舟にゆられて、太刀をふりまわして闘おうとしていた佐保彦の、その後を、いよいよ波乱の大和の内乱を背景に、[佐保彦の章]で書きます。今度こそ、彼が主役だ。
『銀の海 金の大地』の序章ともいえる[真秀の章]を経て、物語はいよいよドトウの本編に突入です。
実際は、〈真秀の章〉=11巻になった。
すると、〈佐保彦の章〉想定16冊は、計算上44冊か、それ以上になる。
でも、著者は体調をくずし、2008年肺癌で亡くなられた。(享年51歳)
〈佐保彦の章〉は、世に出なかった。
対談集「物語るあなた絵描くわたし」(萩尾望都)
P252
氷室冴子さんとは、よく宝塚の観劇をご一緒させていただきました。彼女の作品の『銀の海 金の大地』は未完成のままです。この全構想(おおよその)を以前伺っていたので、もう続きは読めないのかと、それも惜しまれます。
「銀の海 金の大地 イラスト集」に書き下ろし小説「羽衣の姫」が収録されている。「羽衣の姫」と、11巻番外編「月がみていた」で、その後を想像するしかない。
【ネット上の紹介】
真秀は湖の国、淡海で育った。そこは息長族の国だが、真秀はその一族ではない。ヤマトの大豪族の首長がどこかの奴婢に生ませた子で、息長の首長の真若王、丹波の首長の美知主とは異母兄妹である。母の御影はここ数年業病で苦しんでいる。その病によく効く熊の血凝をやるから取りにこい、という美知主からの伝言に、真秀は、不思議な霊力を持つ兄の真澄と、丹波へ向かう船に便乗した。
「なんて素敵にジャパネスク」シリーズ再読。
全10巻。
久しぶりの読み返し。
本作品以前、平安朝を舞台に現代風にアレンジ、エンターテインメントにした作品はなかった。先駆的作品と言える。
⑥P80
今上のプライベートな御用を、リアルタイムで、フレキシブルにこなすのが蔵人頭の役目なのである。
四位相当の殿上人で、身分は公卿よりは下なんだけど、帝のそば近くにお仕えして、あらゆる雑事を取り次ぐお役目。(中略)
近衛少将→中将→蔵人頭を兼任→参議→中納言というふうに進むのが、オーソドックスなエリートコースなのだ。
⑦P45
「人間の価値は、花鳥風月の歌を詠めることばかりではありませんわ。いざというとき、なにをするか。それが、人間の本質ですのよ」
「水曜日の凱歌」乃南アサ
RAAがテーマ。
昭和20年8月15日(水曜)から昭和21年4月3日(水曜)。
鈴子は14歳。
上の兄は死に、もうひとりの兄は出征して行方不明。
妹は東京大空襲ではぐれてしまい見つからない。
母と二人で生きていかねばならない。
母には意外な才能があった。
当時珍しく女学校を出ていて、英語が出来たのである。
進駐軍相手の特殊慰安施設(RAA)で通訳として採用される。
芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
P685
「戦争中は『産めよ殖やせよ』で、戦争に負けた途端に、今度は同じまたを外人どもに差し出せとは、何ていう節操のなさなんだっ!それでも平気なのかっ!見ていやがれ、この国を駄目にした男ども!女の1人も守れないで、何が日本男児だ、大和男子だ、馬鹿野郎っ!」
ぜひ続編を書いてほしい。
ヒロインの鈴子もそうだけど、勝子のその後も気になる。
ミドリさん、モトさんは、戦後をどう生きたのだろう?
「水曜日の凱歌」乃南アサ
(前回は単行本で読んだ。今回は文庫本で買い直して読んだ)
【ネット上の紹介】
昭和二十年八月十五日、男たちは戦争に敗れた。今度は女たちの戦が始まる! 敗戦国日本は、男を戦地に駆り出す代わりに、女たちを進駐軍に〈防波堤〉として差し出した――。十四歳の鈴子は、RAA(特殊慰安施設協会)の誕生に立ち会う運命となり、自分の母親を含む、さまざまな階層の女たちの変化と赤裸々な魂を見つめていく……。国家、女と男、アメリカ、自由、そして現在までを問う現代史秘譚刊行。
②「風にもまけず粗茶一服」松村栄子
③「花のお江戸で粗茶一服」松村栄子
「粗茶一服」シリーズ再読。
①P56-P58
「弘法さんの五重の塔やわ」
(中略)
巨大な西本願寺の前を通過した。
(中略)
「あんなぁ、蛸薬師を左折してな」
(東京から東名→名神、京都南で下りて北上している。以上の説明からおよその場所を特定できる)
整合性、巧みな伏線、見事な完成度。
このシリーズは面白いので、コンスタントに再読している。
【参考リンク】
「雨にもまけず粗茶一服」松村栄子
「風にもまけず粗茶一服」松村栄子
「花のお江戸で粗茶一服」松村栄子
「粗茶」シリーズ再読
「いつか陽のあたる場所で」「すれ違う背中を」「いちばん長い夜に」
約5年ぶり読み返し。
P122「いちばん長い夜に」
「私は私なりに、自分のことをよく知っているつもりです。私のような人間は、一人で生きて、一人で死んでいくべきだと思っています」
P313
冬至は古くから「生まれ変わり」の日と考えられてきたのだということだった。この日を境に、再び日一日と昼間の時間が長くなっていく。つまり太陽が生まれ変わって、また新しい1年を築き始めるという考え方があるのだそうだ。
だからこそ冬至には、これから新たに運が向きますようにと願いをこめる。
著者あとがきより
小森谷芭子と江口綾香には、共に前科持ちという事情がある。罪を犯した代償として人生を大きく狂わせ、多くのものを失った彼女たちにとっては「取り立てて大きなことの起こらない日常」こそが貴重であり、かけがえのないものに違いない。(中略)だから、「あえて何も起こらない話」にしようと思っていた。
この物語が、まさかこういう終わり方をするとは、私自身もまったく予測していなかった。だが、生き残ったものは生き続けなければならない。体験したことを決して忘れることなく、胸に刻みつつ、それでも諦めずに。芭子と綾香とは、既に新たなステップに踏み出している。
【リンク】
「いつか陽のあたる場所で」乃南アサ
「すれ違う背中を」乃南アサ
「いちばん長い夜に」乃南アサ
【ネット上の紹介】
前科持ちの刑務所仲間―それが芭子と綾香の関係だった。“過去”に怯えながらも、東京の下町に居場所を見つけて、ゆっくりと歩き始めた時、二人は自分たちの大きな違いに気づき始める。人を殺めるとは何か。人が生きていくとは何か。亡くなった人間が残すものとは何か。そして、いつか、彼女たちの長い夜は明けるのだろうか?
読み返し。
ヘッドハンティングは、その業界ではエグゼクティブサーチとも言われ、ヘッドハンティング会社はサーチファームという名で呼ばれている。ヘッドハンターはコンサルタントという肩書きが付くのが一般的だ。(中略)
必要な資格はなく、参入障壁もないから、ビジネススタイルもそれぞれだ。ただし、人脈がなければ何もできないし、能力がなければ信頼は勝ち取れず、依頼は回ってこない。誰でもできるようでいて、誰もができるわけではない仕事である。
①P357
矢来が見るに、花緒里は離婚を経てから、自分の眼力でどんな人物をも見極められるというような驕りを捨て、ヘッドハンターとしても一皮むけたように感じられる。ウォートンスクール出身というプライドもどこかに置き、夜はいとこのママがやっている銀座のクラブで、財界人らを相手にせっせと酌をしているという。そこまでやられると、ヘッドハンターとして勝ち目はないと、矢来は白旗を揚げたくなる。
【ネット上の紹介】
このシリーズは、荻原規子作品の中でもっとも遊び心が強い。
物語としての楽しさ、波瀾万丈の展開。
各キャラクターもしっかり描かれている。
おもしろさはトップクラス。
中央公論版は絶版。
現在入手可能なのは角川文庫版。全8巻。
(本編の雰囲気を忘れないうちに、図書館で借りて読んだ)
「これは経費で落ちません!」(11)青木祐子
シリーズ最新刊。
経理から見た、オフィス人間模様。
今回は、結婚に絡む諸問題と周囲の反応が描かれる。
沙名子はタスク表を作って順番に処理しようするが、想定外の問題も起こる。
P204
「――今回、特に大きな進捗があったようですね。森若さん。人生に関わるような」
足早に立ち去ろうとしたら、山崎が声をかけてきた。(中略)
「そうですね」(中略)
「そうなのか・・・・・・」(中略)
「今度、どこかにお茶を飲みに行きませんか。お酒でもいいけど」
山崎は声をいそめて沙名子を誘った。
「話し相手として?」
「話し相手として」
「落ち着いたら行きます。わたしも山崎さんにお尋ねしたいことがあるので」
「本当に?嬉しいな」
P229・・・真夕のモノローグ
なぜ・・・・・・なぜ山田太陽なのだ・・・・・・。
【関連図書】
「これは経費で落ちません! 」①―⑧青木祐子
「これは経費で落ちません!」(9)青木祐子
「これは経費で落ちません!」(10)青木祐子
【ネット上の紹介】
結婚に向けて、本格的に動き始めた沙名子と太陽。いまは東京と大阪で別々に暮らしているが、太陽の転勤任期は期限付きで二年か三年。結婚したら一緒に暮らすことになる。しかし一緒に生活をするとなると、決めなければならないことがあまりに多い。交際は順調な沙名子と太陽だったが、食い違うことも多く沙名子の不安は積み重なっていく。年始の休みを利用して、お互いの実家へと両親に挨拶に行くことになったのだが……? 仕事は続けるのか、家事はどう分担するか、婚約指輪や結婚指輪買うのか、結婚式は挙げるのか、どちらが名字を変えるのか、などなど。沙名子は結婚へと向けてタスク表をつくってひとつずつ処理していこうとするのだが……結婚準備は大変すぎる
「宝づくし」櫻部由美子
シリーズ第四作、最新刊。
第一話「剣術道場の奥方へ」
第二話「斜にかまえた餡屋の男へ」
第三話「ひもくの魚の片割れへ」
P39
同田貫というのは、その昔、肥後国を治めた加藤清正公お抱えの刀鍛冶たちが住んでいた土地の名前であり、タヌキとは何の関係もない。
(中略)
『折れず曲がらず同田貫』のうたい文句にあるとおり、実用を旨とする剛健な刀であるということだ。将軍指南役の柳生家や、お試し斬りで有名な山田浅右衛門なども、同田貫を愛用したと言われている。
P250
比目魚は二匹があわさってようやく一人前に泳ぐことができます。それで仲のよい夫婦のたとえに使われるのだそうです。(本書では伝説上の魚を指しているが、カレイやヒラメのように目が片側にしかない魚のことも意味する)
【ネット上の紹介】
神無月の朝、“出直し神社”の社殿にお蔵茶屋“くら姫”の女主人・お妙が座っていた。たね銭八両の倍返しに訪れたのだ。お妙は神社の守り人・うしろ戸の婆に、江戸中の菓子屋に「宝尽くし」の題に因んだ菓子を競わせる催しを計画中だと話した。神社の手伝いの娘・おけいは、その華やかな計画に胸躍らせる。そんなおけいに今回婆が与えた使命は、同心・丑之助の恩師の未亡人・房江の世話に赴いて「宝さがし」をすること。おけいが探すべき宝とは?そして菓子の競い合いの行方は!?抜群の読み応えで大好評、シリーズ第四作。
「縁切り上等! 離婚弁護士松岡紬の事件ファイル」新川帆立
新川帆立作品を読むのは、これで3冊目。
いずれも面白く、楽しめる。
P80
「予防施主や病気のときに、医者に連れて行ったりしましたか。子供の服の洗濯とか、園に持参する着替えなど荷物の準備、持ち物への名前付け、園との間の交換ノートに子供の様子を書いたりするのは、どちらですか。子供が熱を出したときにお迎えに行ったり、園の説明会に行ったり、トイレトレーニングをしたり、しましたか?」
P207
「二人を元鞘に戻すことで紛争解決」という道筋を組み立てているらしい。
「本人が別れたいと言っている以上、それ以外の道はありません。縁切り上等なんですよ」(中略)
依頼人は結婚生活に耐えられないと行っている。それを、たかが浮気ぐらい我慢しなさいとか、他人が言っていいわけがない。本人が無理というなら、それは無理なのだ。二人は別々の道を行くしかない。
【参考図書】
「競争の番人」新川帆立
「倒産続きの彼女」新川帆立
【ネット上の紹介】
夫の言動に耐えられなくなった聡美は、子供を連れ実家のある北鎌倉に逃げ帰る。そこで出会ったのは、縁切りで名高い「東衛寺」の娘で弁護士の松岡紬。勢い込んで紬に離婚相談をした聡美だったが、思いがけないことを言われ…。モラハラ、浮気、熟年離婚、同性カップルの離婚、養育費の不払い。パートナーと離婚したいと思ったらまずは何から?財産分与や親権の争い方は?個性豊かなキャラクターたちが織りなす、リーガル・エンターテインメント!
「伝言」中脇初枝
満洲・新京が舞台。
女学生ひろみ、李太太、軍属が語り手となって物語をすすめる。
P168
シオだよ。シオを専売して、大儲けしてるらしい。
塩で大儲けできるんですかと間抜けな問いを返した自分を、技師はせせらわらった。
本当の塩のわけないじゃないか。阿片のことをシオって呼ぶんだ。
P191
「だって、日本はアメリカに負けたんでしょ。支那に負けたわけじゃいのに」
(中略)
「でもここは満州国よ。中国じゃない」
「中国なんだよ。もともとね」
P281
「移民というものは、鎌と鋤を持っていくべきものなのに、満州移民は武器を持っていっているって。あれはよくないって。長続きはしないって」
【関連図書】
「世界の果てのこどもたち」の姉妹作品。
今年のベスト、読んでみて。
【ネット上の紹介】
満洲・新京で暮らす、ひろみ。「尽忠報国」「一億玉砕」「五族協和」、そう信じていた―永遠に失われた、もう、どこにもない国。あの場所で見たこと、聞いたこと、そして、わたしに託されたことを、わたしは忘れない。2016年本屋大賞3位。『世界の果てのこどもたち』には書かれなかったもうひとつの真実。終戦間際の満洲を、圧倒的な事実に基づき描く。
「コメンテーター」奥田英朗
人気シリーズ17年ぶりに復活!
嬉しい驚き。
面白さは以前のまま。
P46
「伊良部先生、マユミさん、初めまして、プロデューサーの宮下でございます」
日頃は高飛車な宮下が、満面に笑みを浮かべ、揉み手をして挨拶する。
「うん、よろしくねー」
一方の伊良部は、相手が誰であろうと砕けた調子は変わらない。
【シリーズ作品】
【ネット上の紹介】
直木賞受賞、累計290万部の人気シリーズ17年ぶりに復活! 低視聴率にあえぐワイドショーのスタッフの圭介は、母校のつてで美人精神科医をコメンテーターとしてスカウトしようとする。が、行き違いから伊良部とマユミが出演することに。案の定、ふたりは放送事故寸前のコメントを連発するが、それは暴言か、はたまた金言か!?