【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

ポンポン山▲678.9m

2018年04月22日 20時15分01秒 | 登山&アウトドア

久しぶりにポンポン山に登ってきた。

登山道がリニューアル

右が旧道、左が新しい登山道

赤線が新しい道

山頂で犬を見かけた、毛皮で暑かったでしょう、登頂ご苦労さんです

【おまけ】
神峰山寺へのアクセスも新しい道路が開通していた。
但し、駐車場は工事中…工事現場の方に聞いたら、GW頃には駐車場が完成するんじゃないか、と。


この記事をはてなブックマークに追加

「ヒマラヤ 生と死の物語 奇跡の生還と遭難の悲劇」池田常道

2018年04月19日 21時14分36秒 | 読書(山関係)
「ヒマラヤ 生と死の物語 奇跡の生還と遭難の悲劇」池田常道

 池田常道さんは前作で「現代ヒマラヤ登攀史」を上梓されている。
「現代ヒマラヤ登攀史」は、盛りだくさんに情報が詰まっている。資料としての価値あり。
 一方本作は、ヒマラヤにおける印象的なエピソードを掘り下げて詳細に書いてある。
読んで面白いのはこちらのほうである。

P4-5
生死の境目は、とくにヒマラヤのような極限の環境の下では、文字どおり紙一重に過ぎない。落ち度はなかったのに悲惨な結果に終わったもの、失敗を重ねてなお幸運な生還を果たしたもの、ふたつが混在している。どちらがいいのか悪いのか、そんな判定はしていない。
 ただ、そこに至ったプロセスを、資料に基づいて、できるだけ忠実に再現しようと考えた。

P19
前回最高到達点まで登ったフィンチは呼ばれなかった。彼が英国本土ではなく、植民地(オーストラリア)の出身地だったからだといわれる。(登山とナショナリズムの関係は興味深いテーマだ。なんだかんだ言って、登頂者は国旗を立て、あるいは持って、写真を撮る)

P43
しかし万一、二人が初登頂して帰還したとしても、当時のドイツ社会はドイツ人以外の成功を、もろ手を挙げて喜んだかどうか。後年のブールやメスナーの例を思うとはなはだ疑問である。(メスナーはイタリア・南チロル出身だが、そこはドイツ語圏なのでドイツ登山隊に呼ばれる。ご存じのように、ナンガ・パルバットで弟を失い、その時の対処で十数年のマラソン裁判となる。91年ヘルンリヒコッファーが75で死去したのち遺族と和解。メスナーの名誉は回復され「赤い信号弾」も復刊。さらに「裸の山」も刊行。P109を読んでみて)

【おまけの感想】
本書が興味深いのは、内容もさることながら、面識ある方が複数登場すること。
Mさんとは、柏木で一緒に酒を飲んだし、エピソードも直接聞いた。
Eさんには、城ヶ崎で会った時、伊豆の観光図書をいただいた。「観光好きでしょう」、と。
お二人とも酉年である。

【参考図書】

現代ヒマラヤ登攀史8000メートル峰の歴史と未来

【誤植】
P231
アンデスヤカフカスなど
  ↓
アンデスやカフカスなど
(校正者見逃した?)

【ネット上の紹介】
登山史に刻まれた命の軌跡。
マロリー、アーヴィンの謎―エヴェレスト 1924
ジルバーザッテルの敗走―ナンガ・パルバット 1934
人類初の栄光の陰に―アンナプルナ 1950
高所キャンプからの脱出―K2 1953
メスナー兄弟の下降―ナンガ・パルバット 1970
人食い鬼からの脱出―バインター・ブラック 1977
見捨てられた攻撃隊―ミニヤコンカ 1982
日本人無酸素登頂の葛藤―エヴェレスト 1983
ブラックサマーの生還者―K2 1986
六千メートルの宙吊り救出作戦―トランゴ・タワー 1990
公募登山隊の破綻―エヴェレスト 1996
北壁からの生還―ギャチュン・カン 2002
七四〇〇メートルの国際救助隊―アンナプルナ 2008

この記事をはてなブックマークに追加

「問題があります」佐野洋子

2018年04月17日 21時17分52秒 | 読書(エッセイ&コラム)

「問題があります」佐野洋子

佐野洋子さんと聞いて、すぐピンとくるのは、絵本好きな方でしょう。
「百万回生きたねこ」の著者として有名。
絵本作家としか認識してなかったが、大間違い。
味のある文章で感心した。

それもそのはず、相当な読書家で、様々な経験も積んでいる。
1938年北京に生まれ、その後、引き揚げ。
武蔵野美大に学び、後に谷川俊太郎氏と結婚、その後、離婚。
母とはずっと確執があったが、母が認知症になって、和解。

P34
一昨年の夏、93歳で母が死んだ。
死ぬまでの十年以上、痴呆だった。
正気の母親と私は、実に折り合いが悪く、母を好きだったことはなかった。
死んだ人は皆いい人である。

惚けてからの母と著者の会話
P79
「ねえ、母さん、私もうくたびれたよ。母さんもくたびれたよね。一緒に天国に行こうか。天国はどこにあるんだろ」。
 母は言った。「あら、わりとそのへんにあるみたいよ」。

P47
書籍には、間違いなく人類の知恵がつまっているものであるが、同時に毒も盛られているのである。本から離れられない人間は、その毒に魂を吸われているのである。

P98
芸術と信仰ほど、水と油の様に反発するものはないと私は思っている。芸術とは、捨てるに捨てられない自我が生むものである。信仰とは自我を捨てるものではないか。
 芸術は大きな真実と大きな嘘を含むものである。
 そして表現されたものは残り、人間は死ねばその人間性もほろびる。才能と人格はその才能が大きければ大きい程無関係のような気がする。

枕草子と源氏物語の比較をしている
P114
源氏はあまたの女に情けをかけながら1人として幸せにしていない。若紫も嫉妬に苦しんでみじかい生涯を終えた。

P166
夫婦は中からは容易に破れるが、外からつっついて壊そうとしても決して壊れないものである。
妻子持ちの男と不倫をするお姉ちゃん、やめときなさい。骨折り損です。
多分それは、愛ではなく情だからである。愛は年月とともに消えるが、情は年月と共にしぶとくなるのである。
夫婦とは多分愛が情に変質した時から始まるのである。情とは多分習慣から生まれるもので、生活は習慣である。
離婚した友人夫婦が、何年かして、ある結婚式で、顔を合わせた。式が終わった時、もと亭主が、もと女房に「おい、帰るぞ」とつい言ってしまい、もと女房も「はいはい」とあとをついて行ってしまったそうである。
私は二度目の亭主に、前の亭主の名前で呼びかけてしまうことがあった。


手元にある絵本を読み返した。
やはり良かった。
他の作品も読んでみたくなった。

【ネット上の紹介】
中国で迎えた終戦の記憶から極貧の美大生時代まで、夫婦の恐るべき実像から楽しい本の話、嘘みたいな「或る女」の肖像まで。愛と笑いがたっぷりつまった極上のエッセー集。

1(薬はおいしい
お月さま
「問題があります」まで ほか)
2(大いなる母
いま、ここに居ない良寛
子どもと共に生きる目 ほか)
3(北軽井沢、驚き喜びそしてタダ
幸せまみれ
役に立ちたい ほか)
4 特別附録(或る女)


この記事をはてなブックマークに追加

「昭和トラベラー」北見けんいち

2018年04月14日 20時45分29秒 | 読書(マンガ)
立ち読みする
「昭和トラベラー」北見けんいち

あの「釣りバカ日誌」の北見けんいちさんが、昭和をイラストで再現。
かつて赤塚不二夫のアシスタントをしていたので、その頃のエピソードも披露されている。。


フジオ・プロは、赤塚先生がアイデアとコマ割りと人物のアタリを切って、高井さんが鉛筆でしっかり下描きをし、古谷三敏さんがペンで線を入れ、ボクがベタやホワイトを入れるという流れ作業でした。しかも、ダヨーンやイヤミやデカパンなど高井さんしか描けないキャラもたくさんいたので、高井さんがいないと原稿ができないのです!!


さあ、DDTの時間です!!連れてこられた部屋には保健所の人と米兵が立っていて、生徒1人1人に、寄生虫を駆除するためのDDTという殺虫剤を吹きかけます!!

戦後70年が経ちましたが、終戦2年目の夏の様子を描いてみました。いわゆる「闇市」です。

【ネット上の紹介】
フルカラー厳選77画&濃密エッセイ。満州で生まれ、日本に引き揚げ東京で親戚の家を転々とし、ついに母と弟と暮らし始めた北見少年は、日本経済とともに成長し、激動の時代をのんびりと生きていきます。あの頃の昭和の風景と出来事を12か月順にフルカラーで77画収録しています。漫画誌ビッグコミックで10年以上にわたり連載している好評作品、待望の単行本化です。昭和の出来事と暮らしとココロを美麗イラストとエッセイで綴る、笑えて泣ける新感覚単行本です。

この記事をはてなブックマークに追加

「英語は「やさしく、たくさん」」伊藤サム

2018年04月13日 20時35分00秒 | 読書(英語)

「英語は「やさしく、たくさん」」伊藤サム

P42
大人にとって、語学学習の根本的障害は、「もう子供ではない」こと、つまり脳が完成し成長がほぼ止まり、新しいことは覚えにくくなったことでしょう。英語についても、何度勉強しても同じミスを繰り返すようになり、上達しなくなります。こういったpermanent error patterns状態になることを、言語学者はfossiize(化石化する)、と呼んでいます。
これは英語力がいつまでたっても中級のまま止まってしまった、といった状態です。化石化の原因は詳しくは分かっていませんが、脳の成長、母語(日本語)による干渉、学習法などが関係しているとされています。

P46-47
脳の研究が進むにつれ、人間の脳は70代になっても80代になっても、必要があれば変わろうとする性質があることが分かってきています。(中略)
脳をさらに成長させるには、新しいこと(英語)にチャレンジする意欲を持ち、正しい方法で勉強し、脳に刺激を与え続けることが大切だと思います。(中略)
一度成長が止まった脳に、もう一度エンジンをかけるには、「たくさん」の刺激が必要です。

P47
日本人の脳は、もう「日本語の発音・文法・単語のみが正しい」ということに凝り固まっています。「新しいことを覚えても、すぐ忘れてしうまう」と嘆く方はたくさんおられますが、脳には日本語への復元力があるのではないでしょうか。(中略)
この復元力に似たことを言語学者は「母語干渉」(first language interference)と呼んでいます。

P67
学者の論文を見ても、実用レベルに達するまでに要する学習時間数は3000時間などとあるので、妥当な期間だろうと思っています。もし毎日、起きてから寝るまで英語漬けになったとすると、半年でこの時間数に達します(1日16時間×183日=2928時間)。

【蛇足】
本書を読んでいて、クライミング練習に当てはめて考えてしまった。
ある程度のレベルになると、いくら練習しても上達しない。
脳と身体が「もう十分」と判断し、「これ以上やると身体が壊れるよ」と信号をだす。
「化石化」「母語干渉」である。
これを打破するには、「たくさんの刺激」と言うことだろう。
(でも、上達する前に、故障か怪我をするかも)
本書を読んでいて、そんなことを考えた。

【ネット上の紹介】
今度こそ、本気でやり直したい人のために。日本で長いこと行われていた英語の勉強スタイルは、訳読式の「難しく少し」でした。これを続けてきて、伸び悩んでいませんか?そういう人は今こそ、「やさしくたくさん」に転換すべき時です。やさしい教材に大量に接すれば接するほど、脳に与える刺激は大きく、効果バツグンなのです。今さらやさしい教材に戻るのはプライドが許さないかもしれませんが、そのプライドを捨てて、今一度基礎に戻ってみて下さい。実はそれこそが、英語習熟への一番の早道なのです。
第1章 やさしくたくさん、とは?
第2章 今すぐできる「CDはかけっぱなし」
第3章 英語が話せないのは「化石化」のため
第4章 英語マスター超特急―私の体験から
第5章 英語「そのもの」を学んできましたか?
第6章 やさしいイマージョンで英語脳を伸ばす
第7章 すぐ英語が必要な人は基礎+専門用語
第8章 やさしくたくさん聞く
第9章 やさしくたくさん読む
第10章 やさしくたくさん話す
第11章 やさしくたくさん書く


この記事をはてなブックマークに追加

「官僚の責任」古賀茂明

2018年04月12日 20時09分48秒 | 読書(現代事情)

「官僚の責任」古賀茂明

元・通商産業省(現・経済産業省)官僚による官僚の生態を暴いた作品。

P54-55
これだけ我慢強く、まじめで、勤勉な国民がそろっているにもかかわらず、将来に希望をもてない国になってしまったのは――政治の責任もあるが――やはり官僚の責任が大きい。政治家と違って身分が保証されている官僚は、長期的視野に立って物事を考えられたはずだからだ。それなのに官僚は、将来訪れるであろう問題に対して、なんら効果的な対策を施さなかった。

P208
それにしても、経産省や保安院の幹部は、津波の基準を甘くした責任者である。そんな人間たちの言うことは信じられないし、その責任を問わない大臣も信用できるわけがない。
さらに、電力会社に多くの天下りを送り込んでいる現状を見るかぎり、経産省は電力会社と癒着していると思うのが自然な感覚だ。

【ネット上の紹介】
「霞が関は人材の墓場」―著者はそう切り捨てる。最高学府の卒業生、志を抱いて入省したはずの優秀な人間たちが集う日本最高の頭脳集団。しかし彼らの行動規範は、「国のため」ではなく「省のため」。利権拡大と身分保障にうつつを抜かし、天下りもサボタージュも恥と思わない…。いったいなぜ官僚たちは堕落の道をたどるのか?逼迫する日本の財政状況。政策提言能力を失った彼らを放置すると、この国は終わる。政官界から恐れられ、ついに辞職を迫られた経産省の改革派官僚が、閉ざされた伏魔殿の生態を暴く。
【目次】
第1章 「政治主導」が招いた未曾有の危機(早まった日本崩壊のカウントダウン
テレビドラマ程度の対応策すら実行できなかった政府 ほか)
第2章 官僚たちよ、いいかげんにしろ(発送電の分離は十五年前からの課題だった
原発事故の一因は経産省の不作為にあり ほか)
第3章 官僚はなぜ堕落するのか(改革派から守旧派へ転じた経産省
規制を守ることが使命という「気分」 ほか)
第4章 待ったなしの公務員制度改革(増税しなければ国は破綻するという脅し
官僚一人のリストラで失業者五人が救われる ほか)
第5章 バラマキはやめ、増税ではなく成長に命を賭けよ(ちょっとかわいそうな人は救わない
年金支給は八十歳から? ほか)


この記事をはてなブックマークに追加

「夕暮れへ」齋藤なずな

2018年04月10日 21時15分01秒 | 読書(マンガ)
 「夕暮れへ」齋藤なずな

何年も前に新刊パトロールに登録していた。
しかし、いっこうに出版されず。
もう創作活動をやめたのかな、と。
ほとんど諦めていたら、今回の出版。
嬉しいかぎりだ。即購入。

内容は、現在入手困難となっている「片々草紙」から8作品(90年代の作品)、また近作2本が収録されている。
「トラワレノヒト」2012年12月発行「キッチュ」より
「ぼっち死の館」2015年12月発行「アックスVol.108」より
この2作品がすばらしかった。
20年ぶりなのに、衰えるどころか進化している。
漫画好きな方には、特にお薦めします。
近藤ようこさんのファンならなおさら気に入ると思う。


…・あんたには長いこと隠していて悪かったけど
実は私――
アウン・サン・スー・チーなの

ボケて一皮むけたな、あの性格
お体裁がなくなった分よりあらわになったよネ

死の島?!
そんなもんあってたまるもんですか!!

ご存じとは思うが、アルノルト・ベックリンの「死の島」がモチーフになっている
死の島 (ベックリン) 

こうなってくると……
……
……
スタップ細胞もあってよかったような気がしますね

結婚って
しないのも大変だけど
しても大変ね

【おまけ】
近藤ようこさんの帯の推薦文。
「こんな大人の漫画読んだことない。今までいろいろあって、これからもいろいろある、私たちの人生の物語。」
解説が呉智英さん。
この二作は、ともに老いと死がテーマである。齋藤なずな自らがその年代に入り、先述のように家族の介護や見取りを経験したからであろう。両作とも、人間の奥底にひそむエゴが死を前に噴出する様が辛辣なまでに描かれる。

【関連作品】


【ネット上の紹介】
葛藤、嘆き、喜び等、かあらみあう人間の煩悩を、巧みな人物描写で細やかに丁寧に描かれた人間ドラマは絶品! 恋愛、夫婦関係、介護、孤独な老人、と重たくなりがちなテーマを、気取らず自然体で善も悪も織り交ぜて描かれた作品は、豪快な生命力さえ感じてしまう! 
2017年より、『ビッグコミックオリジナル増刊号』にてシリーズ連載『ぼっち死の館』を開始、と70歳をすぎてもマンガ表現に力を注ぐ齋藤氏、日本の漫画界において、忘れてはならない、今年イチオシの作家です!


この記事をはてなブックマークに追加

「沸点桜」北原真理

2018年04月09日 20時08分53秒 | 読書(小説/日本)

「沸点桜」北原真理

馳星周バイオレンスを桐野夏生が描いたような作品。
面白さのツボは、性格も年齢も異なる女性2人が逃亡し過去を隠し生活する、って設定だ。
これだけで、十分おもしろい。
ミステリとしては多少ムリやり感があるが、作品に勢いがある。
一気に読ませるベクトルである。
感心した。

P43
「あれ、何て山なの」
「唐沢岳、右から三ツ岳、水晶岳、槍ヶ岳、穂高」
(これらを眺める場所ってどこだろう?水晶岳、って野口五郎岳の陰になって見えないのでは?)

【蛇足】
ミステリって作者も読者も「意外性」にこだわるように思う。
別に、ムリに「意外性」を作らなくてもいいのでは?
十分おもしろいんだから。

【ネット上の紹介】
新宿歌舞伎町でセキュリティをするコウは、生きるためなら手段を選ばないしたたかな女。元情夫のシンプの指示で、風俗店“天使と薔薇”から逃亡した淫乱で狡猾な美少女ユコを連れ戻しに成城の豪邸へと向かう。そこには敵対する角筈の殺し屋たちが待っていた。窮地を躱したコウはユコを連れ、幼いころに暮らした海辺の団地に潜伏する。束の間の平穏、団地の住民たちとの交流、闇の世界から抜け出し、別人に生まれ変わった危ない女とやっかいな女の奇妙な共同生活。幼いころから虐待され、悲惨な人生を歩んできた二人に、安息の日々は続くのか―。第21回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

この記事をはてなブックマークに追加

「80’s」橘玲

2018年04月08日 20時37分45秒 | 読書(伝記/自伝)


「80’s」橘玲

思った以上におもしろかった。
いままで、著者の作品(小説&ノンフィクション)を何冊か読んできたが、一番おもしろかったかも。
80年代から90年代前半を懐かしく思い出しながら読んだ。

P141
マイケル・ジャクソンの「スリラー」が世界を席巻したのは1982年で、「MTV]とそこで流されるPV(当時は「ビデオクリップ」と呼ばれた)がはじめてテレビで紹介された。83年にはシンディ・ローパーが「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」で、84年にはマドンナが「ライク・ア・ヴァージン」で大ヒットを飛ばした。イギリスの人気デュオ、ワム!がクリスマスソングの定番「ラスト・クリスマス」を出したのもこの年だ(世の中はグリコ・森永事件で大騒ぎしていた)。

P199
89年1月に昭和天皇が崩御し、「不確実性の時代」が始まった。もちろんそれは日本だけのことではない。世界ではベルリンの壁崩壊(89年11月9日)とソビエト連邦の解体(91年12月25日)という現代史を揺るがす大事件が起き、第二次世界大戦後の国際秩序をつくってきた冷戦が終演した。
 この混乱に乗じてイラクのサダム・フセインがクェートに侵攻し、91年1月にはアメリカを中心とする多国籍軍の攻撃が始まった。日本では自衛隊の参加の是非が大論争を巻き起こしたが、じつはサウジアラビアが国土防衛のため米軍の駐留を認めたことが歴史を大きく動かすことになる。聖地メッカを異教徒が守ることに反発したウサーマ・ビン・ラーディンが、2001年の同時多発テロを起こすことになるからだ。
 もちろんこれは現代から振り返っていえることで、渦中にいるときはいったいなにが起きているのかわからなかった。89年6月には中国で民主化を求める天安門事件が起き、その後、中国共産党は鄧小平のもとで大胆な経済自由化に踏み出すのだが、当時の論調は難民が「盲流」となって日本に押し寄せてくると煽るものばかりで、中国の驚異的な経済成長が始まることを予想したひとはほとんどいなかった。

【おまけ】
橘玲さんて頭はよいけどエキセントリックでとっつきにくい人って思っていたが、本書を読むと、真面目で、友だち思いな面もある。つまりけっこう「いいやつ」じゃないか。見なおした。

【参考リンク】
橘玲『80's ――ある80年代の物語』

【ネット上の紹介】
日本がいちばんきらきらしていたあの時代、ぼくは、ひたすら地に足をつけたいと願った。バブルの足音からその絶頂、そして崩壊まで、1982年から1995年までの長い長い“80年代”の青春。
Prologue No Woman,No Cry
1978‐1981 雨あがりの夜空に
1982 ブルージンズメモリー
1983 見つめていたい
1984 雨音はショパンの調べ
1985‐1995 DEPARTURES
1995‐2008 マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン
Epilogue Redemption Song


この記事をはてなブックマークに追加

「世界史の中の昭和史」半藤一利

2018年04月07日 20時05分28秒 | 読書(昭和史)


「世界史の中の昭和史」半藤一利

世界史との関連で昭和史を見なおそう、って企画。
20世紀には特筆すべき悪人が2人いる。
ヒトラーとスターリンである。
この2人に焦点を当てながら昭和史を考える。

レーニンの遺書
P15-16
「スターリンは粗暴すぎる。そして、この欠点は、われわれ共産主義者の間では十分我慢できるものであるが、書記長の職務にあっては我慢できないものとなる」

スターリンの言葉
P18
「1人の人間が死ぬときは悲劇だ。何万人の人間が死ぬときは統計だ」

三国同盟について、野上弥生子の言葉
P327
「英米の代わりに独伊というダンナもちになって、十年後にはどんな目に逢うか。国民こそいい面の皮である」

三国同盟について半藤一利さんのコメント
P330
軍事同盟というものの恐ろしさがここにある。そもそも軍事同盟とは仮想敵国を想定しないことには成立しないものである。その「仮想」であるはずの敵国が、情勢の展開のなかで、いつ「真性」に転化するかわからない、というリスクを軍事同盟はいつも背負っている。日独伊三国同盟からわれわれが学ばなければならない教訓はそこにあると考えている

海軍大将米内光政覚書より…松岡洋右への評
P353
「物事を客観的に判断しないで、自分の主観を絶対に正しいと妄信するから危険である」

【おまけ】
読んでいて感じたのは、松岡と近衛がいなかったら、もう少しマシな舵取りができたのではないか、と言うこと。
読むのにたっぷり1週間かかった。

【ネット上の紹介】
プロローグ 歴史の皮肉と大いなる夢想―長い探偵報告のはじめに
第1話 摂政裕仁親王の五年間―大正から昭和へ
第2話 満洲事変を中心にして―昭和五年~八年
第3話 日独防共協定そして盧溝橋事件―昭和九年~十二年
第4話 二つの「隔離」すべき国―昭和十二年~十三年
第5話 「複雑怪奇」と世界大戦勃発―昭和十四年
第6話 昭和史が世界史の主役に躍りでたとき―昭和十五年
第7話 「ニイタカヤマノボレ」への道―昭和十六年
エピローグ 「ソ連仲介」と「ベルリン拝見」―敗戦から現代へ


この記事をはてなブックマークに追加

今年のチューリップ

2018年04月04日 20時12分28秒 | 身辺雑記

今年はチューリップの球根を10個追加。
もう少し華やかになるように、と。
赤、白、黄、と三色揃った。
(植物は正直で、陽の良く当たる場所から花開く)



この記事をはてなブックマークに追加

freefan77号

2018年04月02日 20時31分34秒 | 読書(山関係)


freefan77号が届いた。

チェックしたいのは次の特集。
『ハンガーボルトから外れやすいクイックドローの状況を考える』
P9
そもそもクイックドローというものは、リードクライミング時にロープの流れを良くしたり、
フォール時にカラビナの脱落や破断の原因となる無理なストレスがカラビナにかからないようにするのがその大きな役割です。その役割を考えるならば、クイックドローのボルト側のカラビナは固定しないほうがいいし、使用するランナースリングもしなやかに動き、短めよりも長めのものの方がその役割をより高く果たしてくれます。



【まとめ】
ワイヤーゲートカラビナはグルーイングボルトに掛けた場合、横向きで安定してしまう
…対策としてハンガー側には安定しないシングルワイヤーかノーマルゲートを掛ける
ビレイヤーもクリップの異常をみつけたらクライマーに声掛けする
ハンガー側には回転防止のゴムパーツを付けない
…付けるならクリップ側
ダイニーマ製の細幅ランナースリングがお薦め
ゲートの向きを考えてセットする

他に読み物として「日本自由登攀史」が再開された。
めでたいことだ。
本格的にフリーが始まったのは80年代からだが、その前段階70年代が語られている。
このあたりもしっかり押さえておきたい。
(以前読んでいるはずだけど、だいぶ忘れている)


この記事をはてなブックマークに追加

勝手に咲く花

2018年04月01日 21時01分47秒 | 身辺雑記

植えてないのに、毎年勝手に咲いてくれる。
ありがたいことだ。




この記事をはてなブックマークに追加

「 江の生涯を歩く」桐野作人

2018年03月30日 23時22分30秒 | 読書(小説/日本)
 
 


「 江の生涯を歩く」桐野作人

信長→秀吉→家康、と生き抜いた方なので、
そのゆかりの地をたどると、戦国時代から徳川の時代の重要な足跡をたどることになる。
重要な史跡が写真と地図で紹介されている。

玉造の玉造稲荷神社
P98
文禄二年(1593)、秀頼が誕生したとき、淀殿の胎盤を埋めたのがこの地だったと伝わる。
(中略)
小さな祠で、「秀頼公供養」と刻まれた脊柱が立っている。(子どもの夜泣きに霊験あらたかだそうだ)

太融寺について
P196
境内には明治期に東成郡鴫野村から移された伝・淀殿の供養塔がある。
(昔、地下鉄谷町線が出来るまで、大阪市バスを利用して梅田に出た。バスのアナウンスで「太融寺~」、と。淀殿のファンの方は押さえておくべきお寺)
淀殿というと悪女のイメージがあるが、それは後の徳川政権のイメージ操作の影響もある。
大坂城落城の際、於茶々は出来る限りの者を逃がしている。
以下、「茶々と家康」(秋山香乃)より。
このとき於茶々に助けられた者たちはみな、豊臣のいなくなった徳川の世で、毎年集まっては死ぬまで於茶々の供養を行った。謀反人への供養は命がけだったにもかかわらず、それは一世代だけに留まらなかった。ずっとその後も子孫へと受け継がれ、幾百年と於茶々の冥福を祈り続けることになるのである。

*お江についての本なのに、淀殿の事ばかり書いてしまったが、他意はない。



高野山には、織田信長、明智光秀、石田三成、伊達政宗、上杉謙信、武田信玄、そうそうたる顔ぶれの戦国武将の墓がある。

【ネット上の紹介】
戦国の世に生まれ、織田、豊臣、徳川家の興亡を見守ってきた浅井家の三女・江。実父と兄、母と養父、そして姉までが自害するという悲劇に見舞われながらも、江はしたたかに、しなやかに生き延びて、江戸の二代将軍・徳川秀忠の御台所として輝かしい生涯を送った。しかしながら、江に関する史料は非常に少なく、その生涯には謎が多い。本書は、著者が江ゆかりの地を一つひとつ訪ね歩き、史跡を紹介しながら波瀾に満ちたその生涯を描き出す。

第1章 浅井家の江―北近江・浅井家ゆかりの地を歩く(プロローグ―浅井家の成り立ち
小谷城―江誕生の地なのか ほか)
第2章 織田時代の江―尾張・岐阜・伊勢・越前を歩く(プロローグ―織田家の庇護の下へ
岐阜・伊勢から尾張へ―織田信長の庇護の下で ほか)
第3章 豊臣時代の江―京都・大坂・伏見・大野・丹波亀山を歩く(プロローグ―江の三度の結婚
織田から豊臣へ―時代の移り変わりを歩く ほか)
第4章 徳川時代の江―江戸を歩く(プロローグ―秀忠の御台所として
江戸城を歩く ほか)
第5章 江ゆかりの人々の墓碑を訪ねて(徳勝寺
大徳寺総見院 ほか)


この記事をはてなブックマークに追加

「第一線の記者が教えるネイティブに通じる英語の書き方」伊藤サム

2018年03月29日 20時28分04秒 | 読書(英語)

「第一線の記者が教えるネイティブに通じる英語の書き方」伊藤サム

昨年2017年4月から『高校生からはじめる「現代英語」』がNHKで始まった。
その内容、教え方がいい感じなので、著書も読んでみようか、と。

P182
日本人学習者は語彙はたくさん知っていても冠詞に弱い人がほとんどです。するとどんなに難解な単語を駆使して文を書いても、文章は子供っぽい印象になってしまいます。

ジャパンタイムスの入試問題
蔵相夫人の田中花子さんは外国人との交際が好きだ。
Hanako Tanaka, a wife of finance minister, loves to have relationships with foreigners.
この英文、どこに問題があるか分かりますか?
P123
不定冠詞aには深い意味があり、単なる「1つの」ではありません。one of many(不特定多数のうちの、ある1つ)といった意味です。不定冠詞とは不特定を示す形容詞の一種です。
a wifeと書けば、one of many wives(多数の夫人のうちの1人)を示唆します。
relationshipsとありますが、異性が出て来る文脈では「男女の関係」「おつき合い」というニュアンスでの交際です。(つまりこの例文は、夫は重婚、妻は不倫です!)
(正)Hanako Tanaka, the wife of the finance minister, likes to associate with foreigners.

P97
the number of subscribers exceeded 10 milion people.⇒peopleを削除。数字は人間を超えることはできません。そうか!言われてみればなっとく)

P113
travel:飛行機などで点から点へ素早く移動する現代の旅行
tour:長期間じっくり回る感じ(周遊)。
journeyプロセスを重視する詩的な旅(ヒッチハイクなど)

【感想】
何度の読み返したい、とても良い内容であった。
ネットで見ると、著者の作品はほとんど絶版になっている。
どうしてだろう?

【ネット上の紹介】
英字新聞の新人記者研修をやさしく再現!一見やさしそうに見える課題文にはジャパンタイムズで蓄積されたノウハウが凝縮。自然でシンプルな現代英語の書き方が身につく。

まずは基本:冠詞特集
書き方入門(分かりやすく書く
ピンとくるように書く
面白く書く)
新語を英語にするコツ
日本人に共通するミス(その単語、ホントの意味は?
その単語、危険です!)
すれ違いコミュニケーション―いつ・どこで・だれと・いくつ?
基本に戻り、深い英語の世界へ


この記事をはてなブックマークに追加