【ぼちぼちクライミング&読書】

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米原万里の「愛の法則」

2024年07月31日 06時58分24秒 | 読書(エッセイ&コラム)


米原万里の「愛の法則」

読み返し。

P24・・・法的、経済的平等が実現した場合
性格が悪いのにもてる女と、すごく性格がいいのに全然もてない女、こういう理不尽な不平等は残るのではないか?

P65
日本人が言ってる国際化は、国際的な基準に自分たちが合わせていくという意味です。(中略)
アメリカ人が言うグロバリエーションは、自分たちの基準を世界に普遍させるということです。

P85
アラブとユダヤというのは激しく対立しています。パレスチナではもう絶え間なく殺し合いをしています。反目しています。でも、ほんとうはアラブ語とヘブライ語はほとんど同じなんです。同じ言葉の別な方言と言っていいくらいによく似ています。大体東京言葉と関西弁ぐらいの違いしかない、そのぐらい近いのです。

P125
どんな分野にも自分の能力について誤解している人間が、最低20%いると言われています。つまり、自分は実際の能力以上にできると思い込んでいるわけです。

P136
彼は本名を「ジュガシピリ」と言うんですけれど、自分のペンネームを「鋼鉄の意志を持った人」という意味で「スターリン」とつけて、さらにそれを公式の名前にしてしまった人です。

【ネット上の紹介】
稀有の語り手でもあった米原万里、最初で最後の爆笑講演集。世の中に男と女は半々。相手はたくさんいるはずなのに、なぜ「この人」でなくてはダメなのか―“愛の法則”では、生物学、遺伝学をふまえ、「女が本流、男はサンプル」という衝撃の学説!?を縦横無尽に分析・考察する。また“国際化とグローバリゼーション”では、この二つの言葉はけっして同義語ではなく、後者は強国の基準を押しつける、むしろ対義語である実態を鋭く指摘する。四つの講演は、「人はコミュニケーションを求めてやまない生き物である」という信念に貫かれている。
第1章 愛の法則(世界的名作の主人公はけしからん!
もてるタイプは時代や地域で異なる ほか)
第2章 国際化とグローバリゼーションのあいだ(「国際」は国と国とのあいだ
国を成立させる要素 ほか)
第3章 理解と誤解のあいだ―通訳の限界と可能性(同時通訳は神様か悪魔か魔法使い?!
濡れ場の多いベストセラー小説『失楽園』 ほか)
第4章 通訳と翻訳の違い(言葉を相手にする通訳と翻訳
小説を楽しめる語学力があれば通訳になれる ほか)


「漂流するトルコ」小島剛一

2024年07月29日 07時08分34秒 | 読書(海外事情)













「漂流するトルコ」小島剛一

読み返し。

P76
賄賂はトルコやその周辺の国々のあらゆる階層に広く深く根付いている慣習。(中略)多くの人は「賄賂を使わずにまともに生活できる国なんてこの世にはない」と確信している。

P138
トルコに住んでいる人と郵便による連絡はしていない。そんわけは、トルコでは「国家の安全のため」と称して公式に私信無断開封を国家が行っているからである。

P235
チェルノブイリ原発事故以来、トルコのガンや白血病の診断率は、それまでの数十倍に跳ね上がっている。 

P236
ユダヤ社会では「母親がユダヤ人であればユダヤ人であり、母親がユダヤ人でなければユダヤ人でない」と決まっている。

【ネット上の紹介】
政府に弾圧され続けるトルコの少数民族の言語と、その生活の実態を、スパイと疑われながら、調査し続けた著者。前著『トルコのもう一つの顔』(中公新書)が、まるで推理小説のようなスリルに満ちた物語と、著者の少数民族に対する愛情に涙が出たと絶賛され、長らく続編が待望されながら20年。前著でトルコを国外追放されたあと、再びトルコへの入国を果たし、波瀾万丈のトルコ旅行が開始される。著者の並外れた行動力と、深い知識、鋭い洞察力が生み出した画期的トルコ紀行。


「新・民族の世界地図」21世紀研究会

2024年07月27日 09時03分40秒 | 読書(海外事情)


「新・民族の世界地図」21世紀研究会

P31
「国語」には、他の民族語の存在を認めないという概念が含まれて、かなり国粋主義的な色合いが強い。(イギリスではただの「イングリッシュ」)

P34
ロシア語中心で国家統合を強行したスターリンその人は、グルジア出身であったのに。

P35
イギリスのウェールズはスコットランドやアイルランドと同様、ゲルマン系のアングロサクソン人より先住のケルト系民族の伝統が濃い地域である。

P72
インドネシアが国民の9割近く、1億8,000万人以上のイスラーム教徒をかかえるが、国教は定められていない。(中略)国民はイスラーム、カトリック、プロテスタント、ヒンドゥー教、仏教、それに近年認められた儒教のいずれかを信仰しなくてはならない。無宗教は共産主義を連想させるといい、憲法で信仰の自由は認められているが、なにも信仰しない自由は認められていないのである。(隣国マレーシアはイスラーム教徒5割で国教となっている)

P106
西洋の文化はヘブライズムとヘレニズムを2本の柱とするが、これら地中海地域の二大文化の基層に横たわるのが「ケルト」の文化である。

P112
「北の人」を意味するノルマン人は、おもにスカンジナビア半島に住んでいたゲルマン系の民族である。(中略)
デンマーク地方からイングランドに進出したノルマン人はイングランド人からはデーン人とよばれた。デーン人はアングロ・サクソン人を支配下におき、1016年にデーン朝を開いた。この王朝は短命に終わったが、1066年には、イングランド王家と縁戚関係を得ていたノルマンディー公ウィリアムがノルマン王朝を開く。世にいう「ノルマン・コンクェスト」である。

P171
アボリジニの子どもを親元から連れ去って白人家庭や隔離施設で養育するという乱暴な親子政策もおこなわれた。(中略)アボリジニがオーストラリア国民と認められたのは1967年のことだが、白豪主義による親子隔離政策は1971年まで続けられた。

【ネット上の紹介】
9・11以後、世界の枠組は変わってしまったのか?民族問題は「正義と悪」の二元論では割り切れない。民族地図から読み解けば、複雑な事件も全く新しい答えが見えてくる。
第1章 民族と言語
第2章 民族と宗教
第3章 民族の移動
第4章 先住民族・少数民族
第5章 民族対立・紛争
第6章 中東・アラブとユダヤ
第7章 エネルギー争奪戦


「梅原猛の授業道徳」梅原猛

2024年07月25日 08時06分53秒 | 読書(宗教)


「梅原猛の授業道徳」梅原猛

読み返し。

P32
水戸光圀は仏教が嫌いだった。仏教が嫌いで、仏教の寺院をこわしたりした。廃仏毀釈という仏教否定運動を最初にやったのは水戸光圀さんです。

P40
憲法によって、日本が一応民主主義に移行する。しかし、あんまり民主主義の国になっては困るので、それに制約をかけたのが教育勅語だと私は思っています。
教育勅語をつくったのは、元田永孚という水戸学者です。この勅語には仏教の思想はほとんどない。(中略)
それでは神道はあるかというと、神道もないんです。

P119
ところで旧約聖書の「殺すなかれ」というところをよく読んでいくと、殺してはいけないのは、同じ神を信じている人たちのことなのです。つまり、エホバの神を信じている同じ仲間を殺してはいけない。

[目次]
いま、日本の道徳はどうなっているか
明治以後の道徳教育はどうなったか
道徳の根源をどこに求めるか
自利利他の行と仏教・キリスト教
自利利他の道徳と社会 家族・会社・国家
第一の戒律 人を殺してはいけない
第二の戒律 嘘をついてはいけない
討論 『よだかの星』と『坊っちゃん』
第三の戒律 盗みをしてはいけない
人生をよりよく生きるために(努力と創造
愛と信
感謝と哀れみ)

[目録情報]
やさしい言葉で日本人の生き方を説く,『仏教』に続く授業シリーズ第2弾!(哲学・思想図書総目録より)


「学校でまなびたい歴史」斉藤武夫

2024年07月22日 07時09分53秒 | 読書(歴史/時代)


「学校でまなびたい歴史」斉藤武夫

日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無きや、云々

A 日出づる処→日没する処
B 天子→天子

P103
(Aについては)「そんなに気にしなかったのはないか」というのが最近の研究のようです。
皇帝がいちばん許せなかったのはBの方、〈天子〉という言葉なのです。

P105・・・冊封体制
これまでの上下関係を考えると、許せなかったのでしょう。
P109・・・遠交近攻作
随はちょうどその頃、高句麗と戦争中で手こずっていた。

P110・・・翌年の遣隋使国書の書き出しの部分(再び小野妹子が代表)
東の天皇、敬しみて、西の皇帝に白す

【ネット上の紹介】
歴史の中のご先祖様、鎖国から見る西洋とのつきあいかた、武士の自己犠牲で実現した統一国家日本、東京裁判における不公平さ・・・。「わが国のあゆみ」を真摯な形で子ども達に伝える歴史の本。櫻井よしこ氏、石原慎太郎氏も絶賛です!!
第1章 歴史入門の授業「歴史の中にはご先祖様が生きている」―命のバトンと国づくりのバトンを受けつぐために
第2章 聖徳太子の授業「仏様か、神様か」―外来文化と伝統を統合した日本
第3章 続・聖徳太子の授業「遣隋使の国書」―中華冊封体制から自立した日本
第4章 鎖国の授業「西洋とどうつきあうか」―日本の安全を脅かしたキリスト教問題の解決
第5章 明治の改革の授業「廃藩置県に賛成か反対か」―武士の自己犠牲で実現した統一国家日本
第6章 昭和の戦争の授業「東京裁判について考える」―戦争の勝者が敗者を裁いた
終章 教育内容と指導計画の提案「わが国のあゆみ」の大きな物語


「勝海舟の腹芸」野口武彦

2024年07月19日 07時49分16秒 | 読書(歴史/時代)


「勝海舟の腹芸」野口武彦

P49
鳥羽伏見の戦いで勝敗を決めたのは武器の優劣だとする通説がある。最近刊行されて多くの読者を持つ半藤一利『幕末史』でも「幕府側の東軍は旧式の先込め銃、薩長の西軍は元込め銃」といわれているが、これは見直した方がよい。

P69
新政権は無一文だった。王政復古で徳川家を追い落とすのに夢中だった岩倉具視らは、旧幕府から国庫を引き継ぐのを忘れていた。孝明天皇の一周年祭の費用にも事欠く有様だ。

P120
神仏分離令は、布告されるや否や、各地で暴走を始めてしまった。(中略)
比叡山では江戸時代を通じて神官は僧官の下流に置かれ、つねに差別待遇を受けていたのである。神仏分離令は積年のウップンを晴らす絶好のチャンスだった。

P147
戊辰戦争の死者はほぼ3人に1人が会津人なのである。
会津藩がいかに幕末維新のスケープゴートであったかがわかろう。

P151
世の中には偉くしてはいけないタイプの人間がいる。
奥羽鎮撫総督府の下参謀になった大山格之助と世良修蔵がそうだった。

P171
幕末まで徳川家は400万石の大大名だった。大政奉還と王政復古の後、新政府はそのうち200万石を差し出せと言い出し、それを拒絶して始めた鳥羽伏見戦争に敗れた結果、こんな窮地に陥ったのである。徳川家は破産企業のようなものだ。

P172
徳川家の石高は、400万石からいっきょに70万石に減らされたのである。

【ネット上の紹介】
維新の志士はみな傑物、明治は華やかな新時代―というのは教科書の中の幻想。デタラメな新政府と死に損ないの旧幕府がせめぎあい、実情はまさに大混乱!家来を捨てて逃げ出す慶喜、奸計を巡らす岩倉具視、世間知らずの公卿たち…。その間を取り持って勝海舟は孤軍奮闘!敗者は非情な淘汰で歴史から消え、勝者は好き勝手に国を創る。最終決戦・戊辰戦争を軸に、「めちゃくちゃ」な政権交代劇を描く。
第1部 明治回天録(明治のメの字はめちゃくちゃのメ
江戸湾の海戦
討薩の表
鳥羽街道の開戦 ほか)
第2部 明治滅法録(歴史の回り舞台
小栗上野斬首
会津藩追討
官軍は官賊なり ほか)


「香港と日本」銭俊華

2024年07月15日 07時16分09秒 | 読書(台湾/中国)


「香港と日本」銭俊華

P33
現在の香港の通過は、日本、中国、台湾などと違って、中央銀行によって発行されたのではなく、香港上海銀行、スタンダードチャータード銀行、中国銀行という三つの銀行で発行されている。

P123
中国で活動する芸能人は、共産党政権を擁護する姿勢を示さないと、中国大陸の人々に非難されかねない。そのため普通の芸能人は中国市場から追い出されないように行動する。

【ネット上の紹介】
二〇一九年の「逃亡犯条例改正案」への反対デモは熾烈を極め、多くの負傷者を出し、その戦いの終わりは未だに見えない。香港がこのような事態になったのは、どうしてなのか?中国大陸の同化政策は、人びとにどのような影響を与えたのか?本書は、香港人としての実感と研究者としての分析で、現在に至る香港の変遷を考察する。また『ドラえもん』『進撃の巨人』と香港政治運動の意外なつながり、大日本帝国の記憶など、香港における「日本」の表象を詳細に分析する。香港出身の気鋭の若手研究者による、日本人のための香港入門。
第1部 「準都市国家」香港(香港とは何か―「準都市国家」を旅する
香港の主体性―国籍・「中国」・日本
二〇一九年の香港―運動と分裂)
第2部 香港と「日本」(香港と日本アニメ―表象・記憶・言説
日本イメージの変容とアイデンティティ
戦争の記憶と「中国民族意識」
戦争の忘却・想起・香港アイデンティティ)


「先生!どうやって死んだらいいですか?」山折哲雄/伊藤比呂美

2024年07月12日 07時45分04秒 | 読書(介護/終活)


「先生!どうやって死んだらいいですか?」山折哲雄/伊藤比呂美

10年ぶりの読み返し。

P17-18
山折:食欲と性欲は切っても切れません。釈迦やキリストが修業時代、悟りを開くとか真理を突きとめるとかいう前に、断食や精進ということを非常に重視して行うわけですね。

P94-95
山折:日本では比叡山で修行するときに重要な四つの課題があると、伝統的に言われてきた。それが「論湿寒貧」です。日本の宗教にとって重要な時代、思想的に深まった時代というのは十三世紀です。法然・親鸞・道元・日蓮が出てくる。この四人は全員、その四つの課題にとりくんで、比叡山で修行したり勉強したりしていた。

P128-129
山折:『ヨハネ福音書』の冒頭に、「はじめに言葉ありき」と書かれているでしょう。この翻訳がほんとに正しいのかどうかに異議を唱える人はあまりいないけれど、山浦玄嗣(はるつぐ)さんという方がまったく新しい問題提起をされました。
伊藤:(前略)今、山折先生がおっしゃったところは、こんなふうになります。「初めに在ったのァ神様の思いだった。思いが神様の胸に在った。その思いごそァ神様そのもの。初めの初めに神様の胸の内に在ったもの」(ケセン語新約聖書)

【ネット上の紹介】
生きることを真正面から見つめ、格闘してきた詩人・伊藤比呂美が、宗教学者・山折哲雄に問いかける、「老いを生きる知恵」。

[目次]
1 性をこころえる(食欲と性欲の切っても切れない関係
欲望を満たしつつ、快く死んでいきたい
「翁」の表情は日本の老人の理想 ほか)
2 老によりそう(木石のように生きる
乾いた仏教、湿った仏教
国を誤らせた五七調 ほか)
3 病とむきあう(創造的な病
「気配の文化」と「告知の文化」
「思いやり」のあいまいさ ほか)
4 死のむこうに(骨を噛む
ひと握り散骨のすすめ
儀式抜きで生きていけない ほか)


剪定と除草

2024年07月10日 13時27分58秒 | 身辺雑記

①6月14、植木を剪定してもらった。
②7月06、雑草を抜いてもらった。
覚書として記しておく。

①剪定:3時間45分×3人¥32,780円
専用トラックが来て、ゴミ積み込み、持って帰ってくれた。
②除草:3時間55分×3人¥23,000円
ゴミ出し日だったので、指定場所に持って行ってくれた。

【覚書】
剪定は、4/1、10:00電話予約した。
除草は、昨年頼んだ方に依頼。
(自分でできたら良いけどその元気がない)


「梅原猛の授業仏教」梅原猛

2024年07月08日 06時50分45秒 | 読書(宗教)


「梅原猛の授業仏教」梅原猛

9年ぶりの読み返し。

P61
 西洋の聖者は二人とも殺された。これは重要なことです。ソクラテスは70歳で毒を飲んだ。イエス=キリストはまだ20代か30代前半ではりつけにされて殺された。ところが、東洋の聖者はそうじゃないんです。釈迦は涅槃で静かに死につく。孔子さまも畳の上で死んだ。これは西洋と東洋の思想を比較する上で大事な視点だと思います。

P79
新約聖書は「マタイ伝」「マルコ伝」「ルカ伝」「ヨハネ伝」という、4人の弟子によるイエスの伝記がありまして、次に「使徒行伝」という弟子たちの伝記があり、そのあとパウロがあちこちの信者にあてた「パウロの手紙」がある。パウロという人が実際にはキリスト教をつくったようなものですが、そのパウロの手紙があって、最後に「ヨハネの黙示録」がある。

P110
精進、禅定、正語、忍辱。やさしい言葉でいえば「こつこつ努力する」「集中力を養え」「正直であれ」「辱めに耐えろ」。この四つがあれば、人生は生きていけます。これが仏教で教える四つの大切な道徳です。

P138
大乗仏教がこんなに残っているのは、日本をのぞいては、チベットくらいのものです。

P144
上からの仏教布教者が聖徳太子、下からの仏教布教者が行基。この二人によって、仏教が日本の国教になったわけです。

P149
最澄は日本天台宗の根拠地、比叡山延暦寺を、まだ京都に都ができる前に建てたんですね。

P188
親鸞は自分でひとつの宗派をつくろうとは思わなかった。

P189
親鸞は90歳まで生きました。一世を風靡した僧ですが、親鸞は一生をほとんど無名ですごし、京都の片隅の自分の弟の寺でひっそり死んだ。

P194
仏教には二つの原理があります。ひとつは平等ということですね。(中略)
もうひとつ大事なことは、悟りを得る、煩悩の世界を超えた生き方ができるということです。

P210
京都の東にあるのは鎌倉時代につくられた寺で、北にあるのは室町時代につくられた寺です。

【ネット上の紹介】
宗教教育に基づいた道徳を教えたい―著者のその願いは中学校で一学期間授業をする形で叶った。その授業は、やさしい言葉で教える仏教の「いちばん大切なこと」。仏教を通して質の高い生き方を、中学生だけでなく、すべての学生から熟年世代まで語りかける名著。

[目次]

なぜ宗教が必要なのだろうか
すべての文明には宗教がある
釈迦の人生と思想を考える
大乗仏教は山から町へ下りた
生活に生きる仏教の道徳
討論・人生に宗教は必要か
日本は仏教国家になった―聖徳太子、行基、最澄
空海が密教をもたらした
鎌倉は新しい仏教の時代1 法然と親鸞
鎌倉は新しい仏教の時代2 日蓮と禅
現代の仏教はどうなっているか
いまこそ仏教が求められている


「中国史とつなげて学ぶ日本全史」岡本隆司

2024年07月05日 08時07分02秒 | 読書(台湾/中国)


「中国史とつなげて学ぶ日本全史」岡本隆司

P38
もともと「律」とは儒教の「礼」を転化し、強制力を持たせたもの、つまり礼を法律化したものを指します。また「令」とはもともと君主による命令のことです。したがって、律令は仏教とは関係なく作られ、古来ずっと中国政治の基盤になってきました。

P76
鎌倉幕府も温暖化を前提として成立していました。
(中略)
そこで室町幕府以降の最大の課題は、寒冷化という環境にどう対応していくか。

P80
京都に本拠をすえた足利幕府は、多数の守護大名による連合政権だったということです。(中略)これをどう安定させるかが長年の懸案でしたが、ついぞ解決することのないまま応仁の乱を迎え、その後の戦国時代を招いたわけです。

P97
自分が天下統一を果たそうとか、その頂点に立とうという野望を持つ大名はほとんどいなかったと思います。
ほぼ唯一の例外が織田信長で、(中略)日本の歴史上では空前、突然変異的な人物といっていいでしょう。

P132
勘定奉行の荻原重秀はそれ(デフレ)に対処すべく、金銀の含有量を減らした貨幣に改鋳して流通量を増やそうと試みますが、続いて登場した新井白石がその政策を否定し、貨幣の価値を元に戻しました。これによってデフレが進行したわけです。
そのあと登場した吉宗も、とりあえず通貨政策を棚上げし、ひたすら新田開発と米の増産に邁進します。(中略)吉宗は「米将軍」とも呼ばれますが、それはけっして尊称ではなく、むしろ米の増産しか経済政策を打ち出せず、米価の下落に有効な手を打てなかったことを揶揄する汚名と考えるべきでしょう。

【ネット上の紹介】
気候変動、人口動態、経済ネットワーク…。アジア史の視点から俯瞰的に捉えた意欲作、教科書で語られない「真実の日本史」。
第1章 日本史は中国の“コピー”から始まった 古代~平安時代
第2章 アジア・システムからの離脱 平安時代~鎌倉時代
第3章 「日本全体が入れ替わった」時代 室町時代~戦国時代
第4章 「国家」の成立 江戸開府~元禄・享保時代
第5章 「凝集」する日本 享保時代~開国前夜
第6章 開国と日中対立の始まり 幕末~明治維新
第7章 朝鮮半島をめぐる外交と戦争 明治時代
第8章 アイデンティティの破滅へ 大正時代~昭和時代初期
結 現代への展望


「東アジアの論理」岡本隆司

2024年07月01日 07時47分47秒 | 読書(台湾/中国)


「東アジアの論理」岡本隆司

P23
「中国革命の父」というのは、「革命」を推し進めた国民党・共産党の生みの親だからである。台湾では「国父」と称するし、大陸でも「孫中山」といい、決して「孫文」と諱を呼び捨てにはしない。

P39
朝鮮王朝は500年以上つづいた、東アジアで最も長持ちした王朝政権で、そのモデルはおそらく、同じ時期に成立した中国の明朝である。

P107
そもそも儒教は、人間の上下関係を是認するところから出発した教理であり、それを哲学まで高めたのが朱子学である。そのため上下の区別をことさら強調した。エリートは非エリートがいないと存在しえないからである。
陽明学は朱子学をつきつめるところから生まれながら、はっきりと朱子学の経典解釈を批判した。王陽明の思想はむしろ区別・差別を否定する、逆の方向に展開したのである。

P108
陽明学は近世の日本にも、大きな影響を与えた。大塩平八郎や吉田松陰は、最も著名な人物だろう。(中略)
それに対し、陽明学を蛇蝎のように嫌ったのが、朝鮮王朝である。

【ネット上の紹介】
強権的な姿勢を強める習近平政権、慰安婦問題や徴用工判決で悪化する日韓関係…。中国や韓国は同じ「漢字・儒教文化圏」に属すと言われるが、日本人にはわからないことだらけだ。日本には日本の立場がある一方、両国にもそれぞれ固有の思考・論法があり、それを理解するには歴史をひもとくのが最善である。本書は、近年の時事的な話題を切り口に、歴史的アプローチから日本・中国・韓国の違いを知るためのヒントを示す。
1 歴史から見た中国政治
2 皇帝制度と指導者論
3 中国経済を見る眼
4 中華意識と儒教的世界観
5 韓国の論理
6 日本の対中観と対外観
7 東アジアと日本の運命
8 歴史学の役割