問を持った
だと、「すばる」編集部は考えた。 作品を通して近代日本を追及し続ける井上ひさし氏。斬新な視点で文学史を再構
築する小森陽一氏。両氏を主人(ホスト)役に、毎回、主題にふさわしい時代の知性(ゲスト)を招き、従来にない「読
んで面白い」文学史を示している。
について;宮本百合子と日本近代文学史―新しい読者への序章;若き日の多喜二の未発表論文―ストリンドベルク
研究について;小林多喜二と現代) 新日本出版社 (1988/10/25 出版)

『民主文学』誌11月号の「文学ニュース」 退会者欄に津田孝氏の名前を発見して驚いた。
津田氏といえば、
『文化評論』(1963年 昭和38年)1月号「小林多喜二没後35周年=徳永直没後5周年記念」に「「コップ」成立の評価の問題と小林多喜二
の理論活動」からスタートし(それ以前も執筆はあるものの)、新日本出版社の文学担当編集者として『小林多喜二全集』にかかわり、民
主文学、多喜二・百合子研究会の有力な論者の一人だった。
の理論活動」からスタートし(それ以前も執筆はあるものの)、新日本出版社の文学担当編集者として『小林多喜二全集』にかかわり、民
主文学、多喜二・百合子研究会の有力な論者の一人だった。
これまで、多喜二文学をとりあげた主な論としては、以下
●『小林多喜二読本』(啓隆閣 70年)=「小林多喜二の評論について」
●『文化評論』(78.2)=多喜二の文学と現代の座談会に、及川和男、中里喜昭らと出席。
●『文化評論』 (83.2)=小林多喜二の思想と文学 (小林多喜二没後50年) / 「現代文学に受けつぐもの―『小林多喜二全集』の新しい完
結に寄せて―」
結に寄せて―」
●津田孝『小林多喜二の世界』(新日本出版社 85年)=1「蟹工船」から「工場細胞」へ/2「工場細胞」の人物像/3「工場細胞」と新し
い社会問題/4「オルグ」について
い社会問題/4「オルグ」について
●『民主文学』 (88/2)「小林多喜二没後55年特集」=「婦人問題と小林多喜二 」
●『文化評論』(92/)=「多喜二の展望力と現代」
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コレクション・都市モダニズム詩誌 全15巻
すべてのモダニズム文化の発火点が、詩雑誌だった。代表的都市モダニズムの稀覯詩誌をテーマ別に集成。
当時のモダニズム詩人は、文学のみならず写真・美術・映画などの西洋文化の紹介の中心的存在であり、これらの
雑誌は、たんなる詩の雑誌ではなく、モダン都市文化の交通の網目の中心に存在するものとしてきわめて重要な役
割を果たした。
雑誌は、たんなる詩の雑誌ではなく、モダン都市文化の交通の網目の中心に存在するものとしてきわめて重要な役
割を果たした。
刊行のことば 和田博文
一九二〇~三〇年代のアヴァンギャルドと都市モダニズムの詩は、一九世紀後半から始まる近代詩を大きく切断
し、現代詩のステージを作り出していった。ダダイズム・アナーキズム・短詩運動などの言語実験は、シュールレアリ
スム・新散文詩運動・新即物主義などの都市モダニズムの詩学へと展開していくのである。それらは、単に詩という
マイナーなジャンルだけを囲い込んだのではない。東京はもとより大連やパリも含めたモダン都市空間の感受性に培
われ、美術・映画・写真・演劇・音楽などの文化諸ジャンルと交流しながら、言語表現の新たな模索が続けられた。
し、現代詩のステージを作り出していった。ダダイズム・アナーキズム・短詩運動などの言語実験は、シュールレアリ
スム・新散文詩運動・新即物主義などの都市モダニズムの詩学へと展開していくのである。それらは、単に詩という
マイナーなジャンルだけを囲い込んだのではない。東京はもとより大連やパリも含めたモダン都市空間の感受性に培
われ、美術・映画・写真・演劇・音楽などの文化諸ジャンルと交流しながら、言語表現の新たな模索が続けられた。
もちろんその行く手には、さまざまな困難も待ち構えていた。詩は検閲や弾圧に直面してその強度を試される。モ
ダニズムが不可避的に戦争に突入していったように、都市モダニズムの詩も、共同幻想や、国策協力に呑みこまれ
ていった。そして戦地や銃後で生死のドラマと向き合う苛酷な体験を経て、言語表現の試行錯誤は、戦後詩の新し
いステージに転化していくのである。
ダニズムが不可避的に戦争に突入していったように、都市モダニズムの詩も、共同幻想や、国策協力に呑みこまれ
ていった。そして戦地や銃後で生死のドラマと向き合う苛酷な体験を経て、言語表現の試行錯誤は、戦後詩の新し
いステージに転化していくのである。
今から四半世紀近く前に調査を始めた頃、都市モダニズムの詩人でお元気な方はまだたくさんいらっしゃった。そ
の頃が、都市モダニズム詩の体験を直接にお聞きする最後のチャンスだったように思う。詩人やご遺族のもとを訪
ね、古書店から貴重な資料を回していただき、図書館や美術館に便宜をはかっていただいた結果、私の手元には詩
誌が、原本・全頁写真・全頁コピーのかたちで残った。その間も詩誌の古書価は上がり、若い研究世代が今から全
体性を追いかけようとしても、もう不可能なように見える。資料の共有は、研究の活性化の必要条件である。コレクシ
ョンの刊行によって私は、今は亡き詩人たちから託されたバトンを、未来に手渡すことができたような気がしている。
の頃が、都市モダニズム詩の体験を直接にお聞きする最後のチャンスだったように思う。詩人やご遺族のもとを訪
ね、古書店から貴重な資料を回していただき、図書館や美術館に便宜をはかっていただいた結果、私の手元には詩
誌が、原本・全頁写真・全頁コピーのかたちで残った。その間も詩誌の古書価は上がり、若い研究世代が今から全
体性を追いかけようとしても、もう不可能なように見える。資料の共有は、研究の活性化の必要条件である。コレクシ
ョンの刊行によって私は、今は亡き詩人たちから託されたバトンを、未来に手渡すことができたような気がしている。
【本書の特色】
●代表的な都市モダニズムの稀覯詩誌をテーマ別に復刻。
●欠号が発見されていない雑誌については、現存しているものを可能な限り収録。
●各巻末にエッセイ・関連年表・解題・人名別作品一覧・主要参考文献を付す。
【各巻に掲載】
◆最新書き下ろしエッセイ
◆詳細な解題
◆各テーマに関する関連年表
◆人名別作品一覧
◆主要参考文献