1933年・特高警察によって虐殺された小林多喜二の没後80周年を記念する、2013年兵庫・多喜二を語るつどいの企画概要が固まった。
会期は、2013年2月24日午後2時より。
会場は、兵庫・神戸市中央区 のじぎく会館大ホール。
今回は没後80年を記念する大きな節目となることから、「蟹工船」ブームの立役者の一人で岩波新書『小林多喜二』の著者である、ノーマ・フィールド氏(アメリカ・シカゴ大学名誉教授)が登壇予定とのこと。
おりから『すばる』12月号には、井上ひさし氏の絶作となった舞台『組曲虐殺』をめぐっての座談会も掲載されている。
この座談会は初演直後に作者井上ひさし氏を囲み、小森陽一、成田龍一氏らが語り合った様子を記録したもので、井上ひさし氏最後の座談会となった貴重な記録。本来なら2年前に掲載されるはずのものだったが、井上氏が急逝したことでお蔵入りになっていた。
再演を前にしてご遺族の井上ユリさんの協力を得ることができ、掲載となった。
座談会は、実は井上ひさし『組曲虐殺』と、ノーマ・フィールド著『小林多喜二』の二つを柱にして行われた対談だった。
『組曲虐殺』の部では、多喜二最後の二年九ヶ月を描き、転向と拷問、プロレタリア文学と「党生活者」、北海道言葉と標準語、芝居の力・言葉の力、革命家の像などを縦横に語り、
『小林多喜二』の部では、このところノーマ・フィールド氏が深めてきた「多喜二の未完成性」、「政治の優位性の問題」、「多喜二の死を共有することの意義」などを語り合い、21世紀を生きる我々にとって小林多喜二の作品をどう読み直すのかを提起している。
ノーマ・フィールド氏はまた、勤務校であるシカゴ大学が核兵器開発の発祥ーマンハッタン計画を進め、所在地のイリノイ州が全米でもっとも原子力発電基地をシェアしていることもあって「シカゴ大学の核・原発問題シンポジウム」のコーティネーターをつとめるなど、反核運動・反貧困運動にも力を尽くしている。
今回の講演ではこうした実践をもとに、3・11以後、とりわけ総選挙後の日本が多喜二の文学とその実践から何を学ぶのかという問題提起が期待される。