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「囲碁が10倍おもしろくなる本」

2007年10月03日 | 囲碁
[感想:★★★★-:ぜひ勧めたい!]
「囲碁が10倍おもしろくなる本」(横内 猛著、誠文堂新光社)

 書名のとおり無茶苦茶面白い!昨日買って半日で読んでしまった。
 棋聖戦の観戦記者を務めた筆者が、囲碁とは何か、アマとプロの違いは何か・・・などについて書いており、目から鱗がボロボロ落ちること請け合いである。 これまで一度も読んだことがない、プロでさえもうまく説明できていなかった「囲碁というゲームの本質」を明快に解き明かすことに成功した類い希な一冊であ る。

 例えば、「囲碁は陣地を取るゲームではない」という。初心者は「地を囲いあうゲーム」と教えられるために、挫折したり、どこに打て ばよいか分からなくなる。また、驚くべきことに中国には「地」に相当する言葉も「地という概念」もないという。そこで、筆者は囲碁とは「石を囲うゲーム」 と説明する(石を取るという意味ではない)。「石を囲う」とは何ぞや!? この本を読めば、囲碁に対する考え方が全く変わり(プロの考え方に近づき)、初心者に対して如何に囲碁を教えれ ば良いかも明確になるだろう。

 また、「同じ囲碁という言葉を使いながら、実はアマチュアとプロはまったく別の姿を描いている」という。七番勝負でプロは、我々アマチュアに見えないところで戦っている。囲碁の奥の深さを教えてくれるのだ。ぜひお勧めしたい感動の一冊である。

  記事に関連する棋士を欄外で紹介しているのも興味深い。因みに小林光一氏についての説明の中で「・・妻の礼子さんは・・後年ガンに蝕まれながら手術を拒み 「治るも治らぬも天命」と周囲にいっさい病気のことを知らせず、妻として、母として、棋士として闘い続けた・・」と、光一氏本人よりスペースを割いて紹介 されている。