蘊蓄cafe

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「風立ちぬ」

2013年07月30日 | 音楽・映画レビュー

この映画、観た人の評価が極端に分かれているようだ。それは、戦争、震災、恋愛、ゼロ戦、実在の人物、同名などの小説、時代・・・など色々な要素が盛り込まれているため、それぞれが興味のあるところから取り付くためだろう。これまでのジブリ作品との違いも大きい。

ただ、この作品は、ゼロ戦の開発物語でも、戦争の悲惨さを描いたものでも、恋愛を描いたものでもないはずだ。二郎の夢の中で「夢」が語られているが、「夢」に相当するのが、飛行機であり、ピラミッドであり、菜穂子の美しさであり、それぞれその裏には、お腹を空かせた子供たち・戦争、使役される人々、病いを隠す化粧など、現実には残酷で悲しいもの、犠牲が存在する。そのようなものがあったとしても「夢」に「生きねば」ということではないか。最後に奈穂子が「あなたは生きて」と言っているのは、主人公へのゆるしではないか。そして、宮崎監督にとっての夢が、まさに映画作りであって主人公にダブっているのだろう。だから監督は試写を観て泣けたのだと。


天気晴朗ナレドモ波高シ

2013年07月29日 | 歴史

写真は、日本海海戦で連合艦隊が出撃した際の「敵艦隊見ユトノ警報ニ接シ聯合艦隊ハ直チニ出動、コレヲ撃滅セントス。本日天気晴朗ナレドモ浪高シ」の打電の暗号送信文と翻訳文である。

私は、兵器マニアではないし、戦争は避けるべきと思う。しかし、兵器や戦争について、興味があるし、知りたいと思う。戦争があってはならないから兵器を見るのもイヤ、原発は嫌いだから見るのも聞くのもイヤ、考えるのもイヤ、とにかくいや・・・という人にはモノ事の本質は分からないだろうし、戦争や原発の恩恵を受けていながら、目と耳をふさごうとするのはいささか卑怯だろう。

この時代、東南アジア各国が列強の植民地となり、清(中国)も列強の租借地とされていき、ロシアが南下してくる・・・という状況のなかで、戦争は避けられなかったのだろう。

日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を破った我が国、連合艦隊の4隻の戦艦はいずれもイギリスに発注して建造されたものである。悲しいことに、その頃の日本には、鋼鉄を大量につくる技術も設備もなかったのである。日本が生き残るか否かは紙一重の状況だろう。そして、先人は必死になって学び技術立国日本を残したのだろうと。