今日のデイサービスには新しい人がいた。

Sさんは元、小学校の音楽の先生であった。話を聞いてみると、私とは病気のタイプが違うが、同じ特定疾患の難病であった。歩くことが、不自由であるらしく、車椅子に乗っておられる。発病して１７年が経過したとおっしゃっていた。前置きはこれぐらいにして、本題に入ることにしよう。Sさんはピアノの達人だったのである。どうしてわかったかというと、いろいろ話しているうちに、我々が火曜日に集まったときに、皆で歌を歌っていることを話したのである。”りんごの歌””みかんの歌”など、誰でもが気楽に歌えるものである。Sさんは、エレクトーンのある室内に案内されるや、見事な演奏を始めたのである。譜面など必要がないのである。最初の走りを歌うだけで、指が自由に動き、音楽を奏でるのである。びっくりした我々は、ただただ感心して、聞き入っていた。

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