国立大学附属病院・独立行政法人移行議事録開示訴訟の判決に対する、翌日3日付、報道各社の記事から、重要視した特徴的な部分を抜粋してみます。
各紙を総合してみますと、世界に勇名を馳せた日本の官僚達が、いかにその「牙城」を守ることに徹しているか、心根がうかがえます。
【毎日新聞】 裁判長の「各病院の担当者(病院長)ではなく、国が指導した会議だと明らかになるのを避けたい意向がうかがえる」とした点を批判したことを伝えています。
核心部分をついています。
さらに、附属病院長会議・ワーキンググループの議事録の開示を求めたのに対して、文部科学省が民主党議員への政府答弁書で、議事録の存在を否定したため、作成・保管していた九州大学は「正式な議事録ではない」と判断し、文書不在を理由に一旦は非開示としたが、一部の報道を受けて政府答弁書が撤回されたことで、「ようやく開示した」経過を詳細に報じたのは、毎日新聞でした。
【東京新聞】 文部科学省の不当な関与を隠すために「不存在」と虚偽の回答をしたことに至った経緯を述べていて、裁判長の「議事録を見ると、文科省の意図が提言に一定程度反映され、開示を避けたいと考えていたことがうかがわれる」と、認定した経過を伝えていて、さらに「隠したとする証拠はないものの、不存在という誤りの回答を是正せずに放置した重大な過失がある」と判断した、と報じています。
また、議事録の存在が報道され、原告柴田洋一氏の元へ議事録が突然送付されたが、不開示決定を取り消した2ヵ月後だったこと。
さらに国側が、「職員の記憶から議事録が欠落していた」との主張に裁判長は「到底信用できない」と退け、政府は野党の質問趣意書に「関与していない。議事録も存在していない。」と答弁していたが、後に議事録の存在がバレて、文部科学省の事務次官ら数人の処分が行われたことまで詳細に報道していました。
それでも、記者のイタビューに文科省医学教育課は「判決内容を精査中で、提言に関与してないという立場は変わらない」と話していることを伝えています。
核心部分の報道では、各社に先んじて、優れている突っ込み取材と感じました。
【産経新聞】 公開請求のあった議事録は九州大が管理し、文科省が管轄していたこと。
文科省の「議事録の存在を忘れていた」との主張に対して、裁判長は「忘れていたとの主張は信用できず、情報公開法に基づく法的義務を尽くさなかったのは重大な過失で違法」と判断したことを伝えています。
さらに、「意図的に隠した」との原告の主張に対しては「文科省の指示で九州大が意図的に議事録を隠したと認めることはできない」とのくだりも報じていました。
【朝日新聞】 国と事務局だった九州大に「重大な過失があった」ことを報道。
【読売新聞】 【日本経済新聞】 ともに「故意に議事録を隠したとまでは認められないが、議事録があるのは明らかなのに、漫然と放置した重大な過失がある」ことを報じていました。
【裁判の根源的な意味】
この裁判の根源的な要因は、患者さんの治療に必要な、「輸血」という重大な治療行為に際して、「輸血」に伴うリスクを最小限に抑えるべき医学的検査を、病院自ら行うことを放棄して、民間業者に全面的に委託してしまう提言に至る、病院長会議の議事録、その公開請求拒否に端を発していたことは云うまでもありません。
議事録が存在したのか、しなかったのかと言う点では、はっきりしている訳で、議事録の持つ意味と、隠さねばならなかった、文部省の
意図を報道してこそマスコミの役割があるように思うのですが・・
いつも裏切られます。
判決全文(40ページ)を入手したので、判決の最大焦点を投稿する予定です。
文科省官僚の虚偽証言の数々を、3人の裁判長も、厳しく審議して指弾、まるでドラマを見ているようです。