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インシデントレポートの目的外転用(8)

2012-11-27 10:25:10 | 臨床検査技師の業務

       検査技師への違法な配置換 

 臨床工学技師で検査科長でもあり、病院事務長も兼任している証人が審問のなかで、次のような重大な過ちを犯していることがはっきりしました。

 

 審査委員の「臨床検査技師の採血行為は、臨床検査技師の本来業務ですか」の審問に「本来業務です」と答えています。

 

 検査技師採血行為について、昭和45年12月3日・医事201・各都道府県医務主管部局長宛・厚生省医務局医事課長通知・第3 臨床検査技師の行う採血行為について

 

 「・・・診療の補助として医師の具体的な指示を受けて・・・採血行為それ自体は臨床検査技師の本来業務ではないこと。・・・その業務として採血行為が明示されていないものであること」このように明確な通知がされていることを、検査科長として認識がされていないことは職務上、重大な過ち、認識不足にあることは明白です。

 

 これによって、インシデントレポートのすべてに、検査技師の「認識不足」によるヒヤリ・ハットだと断定し、患者への危険を避ける目的で検体検査業務から排除し、検査技師の本来業務でない採血専門技師として、外来の小部屋に隔離するような配置転換を強行したのです。

 

 検査技師の遭遇するアクシデントで最も多い業務は、採血行為によるもので、いくつかの裁判も提起されています。

 

 国家試験により免許を取得して30年のベテラン検査技師を、「ミスが多い」「認識が足りない」「モチベーションが低い」との理由をつけて、最も危険の伴う、そして例のない採血行為専従に配置換することは、病院側の大きな自己矛盾です。

 

 その裏には、病院自前の検体検査を、下請け検査所に全面委託する、いわゆるブランチラボ化の計画が着々とすすめられ、労働組合幹部を排除する下心が垣間見えてきます。

 

 「検査技師としての給与を払っているから、不利益はないだろう」という病院側の金銭感覚に怒りさえ覚えました。