新・臨床検査の光と影

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インシデントレポートの目的外転用(6)

2012-11-18 11:09:48 | 臨床検査技師の業務

           報告者を「吊るし上げ?」 

 厚労省のリスクマネジメントマニュアル作成指針は「インシデントレポートと評価の分析について、「ヒヤリハットレポートを提出した者に対し、当該報告を提出したことを理由に不利益処分を行ってはいけない」と敢えて強調しています

 各大学病院や大学院などについて検索したり、指針を取り寄せたりした結果、ほとんどのマニュアルは、・・・・・

 ①絶対にミスやエラーの責任を問うものであってはいけない。  ②非懲罰性の禁止 ③報告者への配慮  ④報告者へのフォロー体制  ⑤フィードバック体制(作成者に懲罰的な目的を負わせない)  ⑥「吊るし上げなどもってのほか」

 などなど、インシデントレポートの目的をふまえ、より良い制度に高めるために、注意し守るべき具体的な事例まであげて、目的外転用や、経営者にとって都合のいいように悪用することを厳に戒めています。

 標的のように睨まれた検査科についてのインシデントレポートは、7年間で49件、そのうちレベル3は僅かに4件、あとはすべてレベル0~2、外来や障害病棟・一般病棟に比較しても、発生比率・人員比率・数/人にしても、けっして「報告数が多い」とは言えません。

 検査室は、どんな小さなヒヤリハットも、真面目に忠実に報告していた跡が見えます。

  リスクマネジメント委員会の迷走劇

  しかし、病院側は、インシデントレポートの数が多いことで、医療の質が維持できない、と云ったストーリーに添って、リスク(危機・損害)マネジメント(管理・管理者)委員会は、その設置目的と任務を果たすどころか、あらぬ方向に迷走します。

 本来の任務は、レポートの収集、整理、事件の共有、発生原因の究明、危険度の判定、これらを総合して再発防止の具体的方針を策定、これを公開、広報し、危機や損害の再発防止、または最小限にくい止める任務と責任を負うはずです。

 ところが、レポート提出者に対して執拗にレポートの減少と、そのための対策案の提出を求め、再三にわたって、一方的にインシデントの発生の責任追及を迫る挙にでました。

 その裏には、労組結成の中心である検査科と、今回審問の申立人で、労組幹部でもあるO検査技師への標的化の意図が隠されているのでしょうか。

 その一方、裏では、検体検査の全面ブランチラボ化(民間検査会社への外注化)の計画が着々と進められていて、O検査技師の解雇も秘かに練られていました。