明日の風に吹かれて

日々の感じることを感じるままを綴っていきます。 明日が佳き日になりますように。

茶人のたしなみ@湯木美術館 (茶事へのいざない-夏の茶道具)

2016年08月06日 16時30分09秒 | お茶
茶人のたしなみ@湯木美術館
茶事へのいざない-夏の茶道具

湯木美術館の創設者であり、吉兆の料理人であり、茶人でもあった湯木貞一(湯木吉兆)が、昭和30年7月14日 に開催した「朝茶事」の道具を中心に。

当日は朝6時から催されたとのこと。

ケース1
寄付の掛物は、与謝野蕪村筆の大井川画賛

句は「みじか夜や 浅瀬にのこる 水の月」
夏の短い夜が明けきらない時分の大井川の絵図に朝茶事の始まりを誘う

乾山焼の流水分瓶掛
白地に紺の釉薬で流水を描く。大胆で現代的でもあり、極めて勢いあり

煙草盆は、宗旦好の一閑虫籠煙草盆で夏の風情

火入は呉須文字入水鳥で、白地に青の水鳥


ケース2
炭手前の道具を中心に
炭斗は唐物木足四方で、正方形の台の上に炭斗が乗ってる感じ

釜敷は利休藤組

灰器は雲華焼で、意外と大きい。
それまでの炭手前の道具がみんな小ぶりなので、この大きさが意外

香合は瓢達磨香合で、小さな瓢箪をそのまま香合に仕立てたもの
瓢箪の表面に松平不昧の書き付けがあり、形といい、内容といい、クスっと笑ってしまう


ケース3
濃茶の点前道具
風炉は利休形切合朝鮮風炉
釜は真形釜
とてもすっきりとした風炉と釜の組み合わせ

水指は小ぶりの備前 銘は水月
備前でも荒々しい風合いに加えて、蓋は赤い焼き跡あり
朝茶事なのでもっと端正なものの取り合わせかと思っていたので、強い意思を放つ水指が意外だった。
銘水月と寄付の掛物大井川との取り合わせを意識してのことか?

茶碗は、絵高麗梅鉢茶碗
時は七月だが梅茶碗を使うんだ...
そんな辺りはあまり関係ないのかな〜


ケース4 茶入
利休瀬戸茶入 銘有明 他


ケース5 茶碗
祥瑞沓形茶碗
実際に茶事で使われた薄茶茶碗
楕円形の口部、くびれさせた胴下部
青の文様が夏らしい

仁清 色絵扇流文茶碗
美しい扇が水に流れていく絵図で涼しさを醸し出す 仁清の代表作の一つと言われている なかなかいい


ケース6
あさがお絵賛
濃茶の時の掛物
松花堂昭乗の墨絵のあさがおに、小堀遠州、江戸宗玩と昭乗が合同で賛を書いたもの
それにしても、昭乗のあさがおが実にいい。

近松門左衛門筆の鷺の画賛
あの門左衛門の絵!
鷺に託して人の欲望には限りがないことを書き添えているが、これがまた面白い
「おもうことひとつかなへはまたふたつ 三つ四つ五つむつかしの世や」


ケース7
唐物籠地黒四方盆
これで干菓子をお出ししたらしい


茶室
当日の懐石の道具組
それにしても、大内蒔絵画賛の会席腕は立派だが、立派過ぎて朝からいきなりこの蒔絵では私にはちょっとしんどいかも...


ともかく、こんな一連の道具の取り合わせなどを見ていると、ちゃんとした大人にならないといかんな、とつくづく思う。