諸宗教の開祖と預言者（孔子からムハンマドまで）

🌸諸宗教の開祖と預言者（孔子からムハンマドまで）

⛳東アジア生まれの宗教の開祖（孔子・老子）
　☆儒教と道教は相互補完的な宗教セットである

　☆儒教は祖先祭祀の儀礼に重きを置く

　＊孔子や孟子の倫理的教えに従つて社会の秩序や儀礼を守る

　＊孔孟思想や儒教が人生のパブリックな側面を仕切る

　＊儒教の開祖である孔子はしばしば冠をかぶって正装する

　☆道教は儒教に対するカウンターカルチャー

　＊老子と荘子の無為自然を奉じたり、不老長寿を理想とする
　＊仙界のフアンタジーに遊んだりする
　＊老荘思想や道教はプライベートな本音に沿う形となっている

　＊道教の開祖老子は水牛に乗った姿で描かれる

　＊元祖仙人らしく隠者然としている

⛳インド生まれの宗教の開祖（ジャイナ教、シク教）
　☆インド生まれの宗教

　＊仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教、シク教

　☆ヒンドゥー教は茫漠たる民族的伝統で開祖がいない

　☆ジャイナ教には開祖がいる

　＊ジャイナ教は、仏教に似た修行の宗教

　＊不殺生においても無所有においても仏教よりもはるかに厳しい

　☆シク教には、開祖がいる

　＊イスラム教を含む様々な思想を吸収した宗教

　＊改革派ヒンドゥー教として立ち上げたことが起源

⛳中東生まれの宗教の開祖（ゾロアスター、イスラム教、ユダヤ教）
　☆ゾロアスター教の開祖はゾロアスター

　＊ゾロアスター教は、善神・悪神の善悪二元論
　☆イスラム教では神を図像化せず

　＊開祖を描くことにも否定的

　＊描いている場合でも、顔の部分をヴェールで覆うか空白にする

　☆ユダヤ教には開祖はいない

　＊ユダヤ教の実質的な開祖に近いモーセの表象

⛳旧約聖書の精神世界

　☆ユダヤ教のモーセ

　＊エジプトで奴隷状態イスラエルの民を神の命で救出した

　＊その後、シナイ半島の山の中で神から十戒を戴いた

　＊十戒が刻まれた二枚の石板がこの図像
　＊ミケランジェロ作のモーセ像だが、角が生えている

　☆旧約聖書の精神世界は開祖一代で切り開かれたものではない

　＊人祖アダムや箱舟のノアに始まって諸預言者まで続く

　＊宗教的キャラクターの織りなす長大な大河ドラマ

　☆言うなれば集団的開祖だ

　＊ヨシュア（モーセの後継者でイスラエルの民を指導する）
　＊ダビデ（少年時代、巨漢ゴリアテを石投げでやっつけた）

　＊エゼキエル（神と奇妙な天使を幻視した預言者）
　＊ヨナ（大きな魚に呑まれ、また吐き出される）
　＊ヨブ（義人であるにもかかわらず苦難を受ける）

⛳後光が射す?

　☆「後光が射す」開祖の図像には霊性の光輝が添えられる

　☆キリストの場合は、円盤の内部に十字架状の模様が描かれる

　＊キリストの全身を光明を表すマンドルラ表現
　☆仏教でもガンダーラなどの釈迦像へ

　＊ニンブス様のシンプルな円盤を添える

　☆イスラム教のムハンマドの図像へ
　＊火炎状の光背が添えられる

　＊火炎を用いる仏教美術と何らかの影響関係があるかもしれない

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（敬称略）

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⛳出典、『宗教図像学入門』

諸宗教の開祖と預言者（孔子からムハンマドまで）

（『宗教図像学入門』記事より画像引用）