健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

秋石

2013年04月12日 | 健康
○秋石(しゅうせき)

 明石には淡秋石と鹹秋石とがあり、人尿を加工したものを淡秋石、石塩を加工したものを鹸秋石あるいは盆秋石という。

 淡秋石の作り方は、秋に童尿を集め、石膏を加えて沈殿させ、上澄み液を捨てるという行程を何回か繰り返し、白く練り上げて小方形の塊にする。鹹秋石の作り方は、石塩に泉水を加えて濾過し、その濾液を加熱蒸発させてできた粉末(秋石霜)をとり、これを蓋のついた磁器の碗に入れて強火で加熱し、塊状の固体にする。

 淡秋石の成分は主に尿酸カルシウムとリン酸カルシウムであるが、鹹秋石の成分は塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムである。漢方では補陰・清虚熱の効能があり、結核による発熱、咳嗽、咽頭腫痛、頻尿、遺精、混濁尿、帯下に用いる。高齢者の体力低下、精力減退、手足のしびれやだるさ、尿失禁などに全鹿・人参・地黄などと配合する(全鹿丸)。

臭梧桐

2013年04月11日 | 健康
○臭梧桐(しゅうごとう)

 日本の各地、朝鮮、中国などに分布するクマツヅラ科の落葉低木クサギ(Clerodendrum trichotomum)の若い枝や葉を用いる。根は臭梧桐根という。キリ(梧桐)の葉に似て特異な臭いがあるため臭梧桐とか、クサギ(臭木)という名がある。

 クサギの成熟した果実は碧色となり、江戸時代にはこれを常山の実と呼んで浅青色(はなだ色)の染料として利用していた。現在でもしばしば草木染めに利用されている。また若芽は食用になる。

 茎葉の成分にはクレロデンドリンが含まれ、降圧作用、鎮痛作用が認められている。漢方では去風湿の効能があり、リウマチなどによる疼痛や半身麻痺などの症状に用いられる。

 近年、製剤化したものを高血圧の治療に応用している(風湿豨桐片)。臭梧桐根も同様の効果があり、筋肉痛や関節痛、麻痺などに桑枝・虎杖根などと配合する(桑枝虎杖湯)。

戎塩

2013年04月10日 | 健康
○戒塩(じゅうえん)

 古い地質時代に内海や塩湖が干上がって沈殿した食塩が、再結晶してできた岩塩(ハーライト:Halite)を用いる。中国では古くから戎地(西戎)と呼ばれた青海省の塩湖から産出している。

 天然の食品の結晶は光明塩といい、海水を日干しして結晶化させたものは食塩という。いずれも塩化ナトリウム:NaClを主成分とするが、戎塩には來雑物としてカルシウムやマグネシウム、鉄や微量のヒ素なども含まれている。

 漢方では性味は鹸・寒で、止血・明目の効能があり、血尿や歯肉出血、歯痛、結膜炎などに用いる。また滋腎の効能があり、尿失禁の治療に用いる固脬丸には桑螵蛸・菟絲子などと配合されている。金匱要略では尿の出にくいときに茯苓・白朮とともに戎塩を反佐薬として用いている。

じゅう蔚子

2013年04月09日 | 健康
○茺蔚子(じゅういし)

 日本の各地、朝鮮半島、中国から東アジアに賭けて分布するシソ科の越年草メハジキ(Leonurus sibiricus)の果実を用いる。メハジキの花をつけた全草は益母草という。

 果実は長さ2~3mmくらいの小さな褐色の三稜形をしている。成分にはレオヌリニンやビタミンA、脂肪油が含まれる。漢方では益母草と同様に活血・調経・明目の効能があり、月経を整え、目の充血や視力の低下を改善する。ただし多量に服用すると全身虚脱の副作用が出現することもある。

しゃ虫

2013年04月08日 | 健康
しゃ虫

 ゴキブリ科の昆虫シナゴキブリ(Eupolyphaga sinensis)、またはマダラゴキブリかに属するサツマゴキブリ(Opistoplatia orientalis)の雌の成虫全体を乾燥して用いる。

 シナゴキブリは中国全土に分布し、スッポン(鼈)に似た形をしているため、地鼈虫とか土鼈虫と呼ばれている。サツマゴキブリには前方に淡黄色の縁取りがあるため金辺土鼈とも呼ばれ、中国南部、台湾、日本などに分布している。中国では民家などで普通に見られるゴキブリであるが、薬用として各地で飼育もされている。いずれも体長3cmくらいの黒く光沢のある偏平な虫で雌には翅がなく腹節が見える。

 成分にはd-ガラクトサミンなどが含まれ、肝障害抑制作用などが報告されている。漢方では水蛭・虻虫と同様の強い駆瘀血薬のひとつで、活血・化瘀・消癥の効能があり、婦人の無月経や産後の腹痛、腹部腫瘤、打撲傷に用いる。

 産後の腹痛や瘀血による月経閉止には大黄・桃仁と配合する(下瘀血湯)。腹部の腫瘤や無月経、皮膚の甲錯には水蛭・虻虫などと配合する(大黄しゃ虫丸)。骨折や捻挫には骨砕補・続断などと配合する(接骨Ⅱ号方)。ただし、流産の恐れがあるので妊婦には使用しない。

 また香港や台湾の市場にはしゃ虫としてゲンゴロウ科のコガタノゲンゴロウが混入されている。これは俗に水鼈虫・水亀子といわれるもので、正式な生薬名を龍虱という。

蛇退皮

2013年04月06日 | 健康
○蛇退皮(じゃたいひ)

 各種のヘビ(蛇)の脱皮した抜け殻を用いる。中国産の蛇退皮はサキシマスジオ(Elaphe taeniurus)、シュウダ(E.carinata)、ウショウダ(Zaocys dhumnades)などの脱皮膜である。日本産はアオダイショウ、シマヘビ、ヤマカガシなどの抜け殻が用いられる。

 神農本草経には蛇蛻の名で収載され、古くから薬用にされていた。漢方では止痙・定驚・退翳・消腫の効能があり、小児のひきつけ、口内炎、角膜混濁、乳腺炎、腫れ物、皮膚病などに用いる。一般に火であぶって粉にしてから使用する。

 内服と外用のいずれにも用いられる。小児のひきつけにや咽頭腫痛に粉末を服用する。腫れ物に粉末を豚脂で調整して塗布する。民間では黒焼きにして胡麻油と混ぜ、中耳炎に点滴する。

車前子

2013年04月04日 | 健康
○車前子(しゃぜんし)

 日本各地、東アジアに広く分布するオオバコ科の多年草オオバコ(Plantago asiatica)の種子を用いる。中国ではムジナオオバコ(P.depressa)も用いられる。オオバコの全草は車前草という。

 花穂が成熟したころに刈り取って、手で揉み選別して種子を集める。なお車前子はおもに花期に採取する。路傍によく生えているため車前の名があり葉が大きいことから大葉子という。

 全草には配糖体のアウクビンやプランタギニン、種子には粘液質のプランタゴムシラーゲAやアウクビン、プランテノール酸、アクテオシドなどが含まれ、プランタギンには鎮咳・去痰作用がある。薬理的には車前草に気道粘液の分泌作用による去痰作用、車前子に利尿作用が認められる。車前草のエキスには鎮咳・去痰薬として医療用にも用いられている(フスタギン)。

 漢方では利水・通淋・居痰・止咳・明目の効能があり排尿障害や膀胱炎、血尿、下痢、咳嗽、多痰、関節痛、結膜炎などに用いる。車前草にも清熱・利水・去痰・明目の効能があり、同様の症状に用いる。一般に利水作用は車前子、清熱・去痰作用は車前草が優れている。

 民間では葉をあぶって腫れ物に貼り、毒を吹き出すのに用いられる。ヨーロッパでも同属のヘラオオバコ(P.lanceolata)やプシリウム(P/psyllium)の葉をオオバコと同様に肺疾患や膀胱炎に、またそれらの種子を緩下薬として用いている。

沙参

2013年04月02日 | 健康
沙参(しゃじん)

 中国東北部の遼寧・杏林・黒龍江省に分布するキキョウ科の多年草サイヨウシャジン(Adenophora terraphylla)、中国中部に分布するトウシャジン(A.axilliflora)およひ同属食部の根を用いる。

 日本でも古くからトウシャジンが栽培され、東北地方では野生化している。また同属植物のツリガネニンジン(A.triphylla)の根も沙参として扱われ、日本産や韓国産はおもにこれを用いている。ところで中国市場には北沙参と南沙参の2種類があり、日本でも沙参としっているのは南沙参のことである。北沙参はハマボウフウ(Glehnia littoralis)の根であるが、これは日本の浜防風に相当する。

 沙参の成分にはサポニンやイヌリンが含まれ、局所刺激作用や去痰作用が知られている。漢方では補陰・止咳・去痰の効能があり、肺熱による咳嗽や咽頭腫痛、口渇、咽乾などに用いる。北沙参と南沙参の薬効はほぼ同じであるが、補陰作用は北沙参のほうが強く、去痰作用は南沙参が強い。

蛇床子

2013年04月01日 | 健康
○蛇床子(じゃそうし)

 中国東北部、モンゴル、シベリア、朝鮮半島に分布するセリ科の越年草オカゼリ(Cnidium monnieri)の成熟果実を用いる。日本では一般に同じセリ科のヤブジラミ(Torilis japonica)の成熟果実を蛇床子(和蛇床子)といっている。ただし、中国ではヤブジラミの果実を鶴虱のひとつである華南鶴虱にあてている。

 オカゼリの乾燥した果実は、長さ2mm、直径1mmの小さな楕円形で、芳香があり、味は辛くしびれる感じがある。成分にはピネン、カンフェン、ボルネオール、イソバレレイトなどの精油のほか、オストールなどのクマリン類が含まれ、抗トリコモナス・抗真菌作用、性ホルモン作用などが知られている。

 漢方では補陽・止痒・殺虫の効能があり、陰部湿疹、外陰部掻痒症、湿疹、インポテンツ、不妊症などに用いる。古くから婦人の陰部疾患の治療に用いられ、トリコモナス膣炎や陰部掻痒症、陰囊湿疹などに蛇床子の煎液で洗浄する。

 金匱要略の中では婦人の陰部を温める坐薬として蛇床子と白粉の粉末を真綿にくるんで使用している(蛇床子散)。また湿疹、掻痒症の治療には蛇床子の煎じた液や粉末にしたもの、最近ではワセリンに配合した蛇床子油膏などを外用する。

 また補腎・強壮作用もあり、インポテンツや冷感症、不妊症の治療に菟絲子・五味子を配合する(三子丸)。また痔患の治療に燻じて用いる方法もある。日本の民間ではヤブジラミの果実を明礬と煎じてやはり外陰部の腫れ物の洗浄に用いる。近年、アメリカの精力剤にクニディアム・モニアーの名前で配合されている。