健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

燕窩

2012年03月05日 | 健康
○燕窩(えんか)

 熱帯地域の沿海部や島に生息するアナツバメ科のアナツバメ(Collocalia esculenta)の巣を用いる。アナツバメは体調9cmくらいの小さなツバメで、主に東南アジアのマレー半島、インドネシア及び南洋諸島に分布し、海岸の絶壁や洞窟に巣を作る習性がある。産卵期になると雄鳥は肥大化した唾液腺から粘質の唾液を出し、この唾液を約1ヶ月かけて固めて巣を作る。この巣は唾液と絨毛からなり、白くてハスの花弁のような形をしている。中国料理では最高級の材料とされ、採取するのが困難なため非常に珍重されている。

 燕窩にはたんぱく質、ビタミンA・B1・B2、カルシウム、鉄分などのミネラルのほかに、糖タンパク質のシアル酸が含まれている。近年、細胞表面に存在する糖鎖が研究されているが、燕窩には糖鎖を構成する8種類のうち6種類が含まれており、中でもシアル酸(N-アセチルノイラミン酸)を含むことから、健康食品の素材として注目されている。

 シアル酸の誘導体にはさまざまな生理機能があり、抗インフルエンザ作用のほか、癌の転移抑制、アルツハイマー病予防などにも期待されている。また燕窩には表皮成長因子(EGF)が含まれ、DNA合成を活性化すると報告されている。

 漢方では養陰・益気の効能があり、虚弱体質の改善、疲労回復、労す予防をはじめ、結核などの慢性病、咳嗽、下痢、悪心、嘔吐などに用いる。一般に薬膳料理として用いられるが、近年ではサプリメントとしても商品化されている。

エブリコ

2012年03月03日 | 健康
○エブリコ

 北海道、択捉島、色丹島、中国の東北部、シベリア、ヨーロッパの北部などに分布し、カラマツなどのマツの幹に寄生するサルノコシカケ科の担子菌類エブリコ(Fomes officinalis)の子実体を用いる。樹幹から垂れ下がり、下方が膨らんで馬蹄形ないし釣鐘型をしている。エブリコはアイヌ語で、東北地方ではトボシ(トウボシ)とも称され、また江戸時代の本草書にはテレメンテイコの名でも呼ばれていた。

 エブリコにはアガリチン酸やエブリコ酸が含まれ、アガリチン酸は汗の分泌を抑制する作用があると報告されている。旧ソ連ではアガリチン酸は製剤化され、結核などによる盗汗の治療に応用されているという。副作用として胃に対する刺激がある。噛むと苦味が強く、苦味のため時に悪心がみられる。

 エブリコはイケマ(牛皮消根)とともにアイヌの霊薬のひとつで、疝気、腹痛、食あたり、眼病、脚気、結核、盗汗、火傷、創傷などの万能薬として用いていた。江戸自体に緩経湯という四物湯にエブリコを加えた処方があり、月経痛の治療に用いられた。中国の民間療法では気管支炎や胃酸過多、関節リウマチなどに用いられている。

 最近、毛穴を収縮し、皮膚分泌を抑制すると同時に、皮膚を乾燥から防ぐことから化粧品にも配合されている。

エニシダ枝

2012年03月02日 | 健康
○エニシダ枝

 地中海沿岸部を原産とするマメ科の落葉低木エニシダ(Cytisus scoparius)の枝を用いる。日本には江戸時代に渡来し、今日では庭園などに広く栽培されている。エニシダという名はオランダ語のヘニタス、あるいはスペイン語のイエニスタに由来する。4~6月に鮮黄色の蝶形の花が小枝に群がるように咲く。

 枝や葉にはアルカロイドのスパルティン、サロタムニン、ゲニステインなどが含まれ、スパルティンには強心作用がある。エニシダは浮腫や頻脈、不整脈の治療に用いられるほか、また抹消血管収縮作用があり、月経過多にも効果がある。

 現在、スパルティン硫酸塩は子宮収縮薬として微弱陣痛に用いられている(ウテロスパン)。ただ、毒性が強く、誤って服用すると流涎、胃腸痙攣、知覚麻痺、嘔吐、下痢などをひきおこす危険性がある。現在、スパルティン硫酸塩は子宮収縮薬として家畜の微弱陣痛に用いられている。

衛矛

2012年03月01日 | 健康
○衛矛(えいぼう)

 日本各地、朝鮮半島、中国、サハリンなどに分布するニシキギ科の落葉低木ニシキギ(Euonymus alatus)の翼状物のついた枝を用いる。紅葉が美しいためにニシキギといわれ、庭木としてよく植えられている。枝に沿ってはコルク質の薄い翼状物が2~4枚つくが、中国ではこれを矛や矢羽にみたてて衛矛、鬼翦羽という。一般に中国でも日本でもこの翼状部分のみを用いる。煎液には血糖降下作用が報告されている。

 漢方では活血・通経の効能があり、無月経や産後の腹痛などに用いる。日本漢方では枝を煎じて心痛の治療に用いている。また日本の民間では昔からトゲ抜きの妙薬としてよく知られ、黒焼きにしたものを米飯とねって、紙にのばしてトゲの部分に貼り、1~2時間たって紙を剥がすとトゲが出るといわれている。秩父地方ではニシキギをシラミコロシと呼ぶが、これはニシキギの果実に毒性があり、すり潰してアタマジラミの治療に用いたことによる。