健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

あまちゃづる

2012年01月19日 | 健康
○あまちゃづる(甘茶蔓)

 日本では北海道から九州、朝鮮半島、中国、インドなどに分布するウリ科のつる性多年草アマチャヅル(Gynostemma pentaphyllum)の葉あるいは全草を用いる。中国では生薬名を七葉胆といい、欧米では絞股藍(jiaogulan)の発音からジアオグランと呼んでいる。ブドウ科のヤブガラシによく似たつる性植物であり、葉を噛むと甘味があるのでこの名があるが、アマチャとは関係ない。1976年に日本生薬学会でアマチャヅルのサポゲニンが発表され、朝鮮人参の成分と類似することから注目されてアマチャヅルが健康茶としてブームとなった。

 アマチャヅルにはトリテルペノイドサポニンのジペノサイドが含まれ、高脂血症改善作用のほか、抗酸化作用や免疫機能の向上、抗癌作用などが認められ、欧米ではジアオグランという名でアンチエイジングサプリメントとして注目されている。中国の民間では七葉胆に解毒・止咳・去痰の効能があるとされ、粉末を老人性の慢性気管支炎などに用いている。

あまちゃ

2012年01月18日 | 健康
○あまちゃ(甘茶)

 本州の山間に自生し、日本各地で庭木などとして栽培されているユキノシタ科の落葉低木アマチャ(Hydrangea macrophylla var.thunbergii)の葉を用いる。アマチャはヤマアジサイと外見は区別できないが、このヤマアジサイの甘味変種とされる。日本の民間薬のため、中国の生薬名はない。

 アマチャの生の葉は苦くて甘味はないが、発酵させると甘くなる。夏に葉を採取し日干しにしたものを水をうって桶の中に積み重ね、一晩ぐらい発酵させ、揉んでから日干しにする。つまり葉の中の甘味成分は配糖体として含まれているため甘くないが、この配糖体が酵素の作用で加水分解されると甘味の強いフィロズルチンに変化する。フィロズルチンは砂糖の約1000倍の甘さがあり、かつて砂糖が普及するまでは甘味料として利用されていた。なお4月8日の灌仏会(花まつり)に、甘露の法雨の代わりとしてアマチャを誕生仏に注ぐようになったのは江戸時代からだといわれている。漢方では用いないが、今日、甘味料及び矯味薬として用いられている。

あへん

2012年01月17日 | 健康
○あへん(阿片)

 西アジア原産のケシ科の越年草ケシ(Papaver somniferum)の未熟果の乳液を凝固したものを用いる。果皮を刃物で浅く傷つけると直ちに白色の乳液が分泌する。この乳液は大気中で次第に微紅色から褐色に変化して粘稠化するが、翌朝に竹の刀でそぎとり、乾燥させたものが阿片である。阿片の名はアラビア語のアフィウーンに由来する。英語名のオピウム(opium)は乳汁という意味である。また漢方では成熟したケシの果殻を罌粟殻という。なお、50種以上あるケシの仲間のうちアヘンを生産できるのはこのケシとパパベル・セティゲルム(P.setigerum)の2種類のみである。

 アヘンには成分としてモルヒネ、コデイン、パパベリン、ノスカピンなど20種以上のアルカロイドが含まれ、モルヒネやコデインには中枢神経に作用して鎮痛、催眠、鎮咳などの効果がみられる。アヘンを過量に用いると大脳の機能が麻痺して陶酔感や幻覚が出現し、さらに量が多いと小脳・延髄の機能が冒され、呼吸中枢が麻痺して死に至る。九精中毒症状として昏睡・瞳孔縮小・呼吸抑制の特徴がある。アヘンは習慣性が非常に強いため慢性中毒の状態となり、耐性を生じるので次第に量が増える。慢性中毒では服用後に多幸的な陶酔状態が出現し、不安や苦痛を感じなくなり、効果が切れると強い禁断症状が出現する。

 現在、アヘンは麻酔性鎮痛薬のモルヒネ塩酸塩や鎮咳薬のコデインリン酸塩の原料となるが、麻薬及び向精神薬取締法によって使用は制限されている。また麻薬のヘロインとはモルヒネをアセチル化したジアセチルモルヒネのことで、鎮痛作用は弱いが多幸作用や習慣性は強くなっている。漢方でも止痛・止咳・止瀉の効能があるが、止痛・止咳より、むしろ止瀉薬として用いられていた。津軽藩の秘薬として知られる一粒金丹にもアヘンが配合されていたが、明治10年に阿片配合の売薬は禁止された。

あせんやく

2012年01月16日 | 健康
○あせんやく(阿仙薬)

 アカネ科のつる性常緑低木ガンビールノキ(Uncaria gambir)の葉や枝を煮詰めて濾過した後、濃縮・乾燥したエキスをいう。これとは別にマメ科の落葉高木アセンヤクノキ(Acacia catechu)の心材を煎じて濃縮・乾燥したペグ阿仙薬というのがある。中国では両者をともに孩児茶といい、商品名では児茶膏という。中国では主にペグ阿仙薬を用いるが、日本ではペグ阿仙薬はあまり用いない。ガンビールノキはマレー半島やスマトラ、ボルネオなどで栽培され、アセンヤクノキはインド、インドシナに分布し、中国南部などで栽培されている。いずれもタンニンを多く含み、皮なめしか、褐色染料などにも用いられている。東南アジア、台湾などではガンビールと檳椰子に石灰を加え、キンマの葉で包んだものをベテルと称して咀嚼する習慣がある。

 一般に阿仙薬の薬材は1辺が3cmの方形状のもので、茶褐色~黒褐色をし、表面ににかわ様の光沢がある。阿仙薬にはカテキンなどのタンニン、ケルセチン、アルカロイドのガンビリンなどが含まれ、抗菌作用や止瀉作用が認められている。収斂性があり、口に入れると苦くて渋い。このため仁丹などの口中清涼剤や正露丸などの家庭薬の原料として大量に使用されている。

 漢方では止瀉・止血・化痰の効能があり、咳嗽や咽頭炎、種々の出血、下痢、皮膚炎などに用いる。声を出しすぎて声がしゃがれた時には連翹・訶子などと配合する(響声破笛丸)。咽頭炎に用いる家庭薬のクララにも配合されている。ちなみに江戸時代の倍薬としてよく知られている万金丹などの胃腸薬の主成分も阿仙薬である。また江戸時代には五倍子のエキスから百薬煎を作り、これを阿仙薬と偽称したため、阿仙薬のことを百薬煎とも読んでいた。

あせび

2012年01月13日 | 健康
○あせび(馬酔木)

 東北地方以南、四国、九州の暖温帯の山地に自生するツツジ科の常緑低木アセビ(Pieris japonia)の茎葉を用いる。生垣などの庭園樹としてもよく植えられ、春に白い鈴のような花が並んで下垂する。アセビは日本特産のため馬酔木というのは和製漢名である。有毒植物で、ウマやウシが誤ってこの葉を食べると麻痺することからアセビ(アシシビレ)とか馬酔木の名がある。普通、ウマやウシはこの葉を食べることをせず、奈良公園ではシカが食べないためこのアセビの木が多く繁殖している。

 葉には有毒成分のアセボトキシン(グラヤノトキシンⅠ)やグラヤノトキシンⅢ、ピエリストキシンなどが含まれ、中毒すると悪心、嘔吐、腹痛、下痢、痙攣、四肢麻痺、呼吸麻痺などをおこす。古くから葉の粉末や煎液は農用殺虫剤としてウマやウシの皮膚寄生虫の駆除、農作物の害虫駆除、便槽のウジ駆除などに用いられた。

あしたば

2012年01月12日 | 健康
○あしたば(明日葉)

 関東、東海地方、紀伊半島などの温暖な海岸地帯に生えるセリ科の多年草アシタバ(Angelica keiskei)の葉を用いる。成長が早く、葉を摘んでも明日になるとまた葉がのび出すことからアシタバの名がある。春先の若葉は食用にでき、ゆでて浸し物、和え物にする。多少苦味が残るが、特有の香りがある。八丈島の島民が蔬菜として利用したのが始まりで、ハチジョウソウ(八丈草)とも呼ばれている。

 葉にはルテオリン配糖体やイソケルセチンのほか、各種のビタミンが含まれる。茎や葉を切ると黄色い汁が出るが、その主成分はカルコン類のキサントアンゲロール、4-ハイドロキシデリシンであり、抗菌、抗炎症、胃酸分泌抑制、血管拡張といった作用があると報告されている。近年、アシタバの抽出成分に糖尿病の合併症を防ぐ効果、神経成長因子や骨形成蛋白の産生増強物質が含まれていることが発表され、糖尿病や認知症、骨粗しょう症への効果が検討されている。かつて痘瘡の治療に用いられていた。

 また乳牛の牧草にすると乳の出がよくなるといわれ、催乳・強精作用も伝えられている。最近では健康食品として生活習慣病、便秘、貧血などに用いられているほか、ダイエット効やセルライト解消などの効果も謳われている。

あきょう

2012年01月11日 | 健康
○あきょう(阿膠)

 ウマ科動物のロバ(Equus asinus)の皮を、毛を取り除いてから煮て膠(にかわ)にしたものをいう。にかわとは煮皮のことで、粗製のゼラチンのことである。現在はロバ以外にもなどの皮も用いる。主産地は中国の山東・浙江省で、古くから山東省の東阿に産するものが優れていたため阿膠の名がある。ロバの皮を用いたものは驢皮膠といい、ウシの皮を用いたものは黄明膠とい。驢皮膠が漆黒の色をしているのに対し、黄明膠は黄褐色である。日本では主としてウシの皮や骨からとる局方のゼラチンが用いられている。このほか鹿角膠や鹿茸膠などもあるが、効能は異なる。膠は接着剤などに用いるほか、現在でもカプセルや坐薬、ゼラチンスポンジなどの医薬品の原料として応用されている。

 阿膠の成分は硬質タンパク質のコラーゲンとゼラチンで、ゼラチンとはコラーゲンを熱処理により精製した変性タンパク質のことである。これらのタンパク質のアミノ酸の組成としてグリシン、プロリン、オキシプロリンなどが多い特徴がある。ただし阿膠の代用にゼラチンが適するかは議論の余地がある。

。漢方では止血・補血・補陰の効能があり、種々の出血や虚労、慢性的な咳嗽などに用いる。阿膠は加熱すれば溶けるが、低温ではゼリー状に凝固するため、煎剤に用いるときは滓をこした後に溶かしながら服用する。またタンニン酸によって沈殿するので配合に注意する。

あぎ

2012年01月10日 | 健康
○あぎ(阿魏)

 中央アジア、イラン、チベット自治区、新疆ウイグル自治区などの乾燥地帯で産するセリ科の多年草アギ(Ferula assa-foetid)の茎や根茎からとれる樹脂を用いる。

 開花前の茎を切断すると断面に乳液が進出して10日ほどで凝固するので、これを削りとる。ニンニクの腐ったような臭いがあり、インドでは香辛料(ヒーング)、中近東ではソースなどの味付けとして、またヨーロッパでは香料に用いている。ニンニク様の不快臭は精油成分に二硫化物(2-ブチルプロペニルジスルフィド)が含まれているためである。かつてはこの臭いが嗅覚神経を刺激して作用する汚臭性神経安定薬、たとえばヒステリーに対する嗅ぎ薬や刺激性の去痰薬として使用された。現在でもインドや南西アジアでは重要な生薬とされている。

 漢方では消積・駆虫・駆お血の効能があり、消化不良などによる腹部硬結や寄生虫症、マラリア、婦人の腹中の血塊などに用いる。近年、内服はあまり用いられず、膏薬に配合して腹部種瘤の外用薬として用いる(阿魏化痞膏)。

あかめがしわ

2012年01月07日 | 健康
○あかめがしわ(赤目柏)

 本州以南、中国南部、台湾などに分布しているトウダイクサ科の落葉高木アカメガシワ(Mallotus japonica)の樹皮を用いる。若芽が赤いためアカメといい、柏餅の柏の葉のように食べ物を包んだりしたためアカメガシワという。ただし、葉の形はブナ科のカシワとは似ていない。

 日本の民間療法として、古くは「切らずに治す腫れ物の薬」として用いられていたが、明治以降は煎じて胃潰瘍や胆石症の治療に用いられることが多い。樹皮にはゲラニインなどのタンニンやベルゲニン、ルチンなどが含まれる。成分のベルゲニンには胃液分泌抑制作用や抗潰瘍作用がみられ、樹皮のエキスは潰瘍治療薬として製剤化されている(マロゲン)。また胆汁排出に関して葉のエキスは少量で促進、大量で抑制、樹皮のエキスには抑制作用がある。胃、十二指腸潰瘍、胃酸過多、胆石症には樹皮を煎じて服用する。

 近年、樹皮エキスには腸壁の腸平滑筋に直接作用し、腸の緊張を高め、便秘、下痢、便秘下痢交代といった便通異常に効果のあることが見出され、過敏性腸症候群の治療にも期待されている。そのほかや腫れ物には樹皮の煎液を内服したり、葉の煎液で洗ったりする。痔の痛みには生の葉の汁を患部に塗る療法もある。またあせもの治療に葉を浴湯料として用いる。

あかしょうま

2012年01月06日 | 健康
○あかしょうま(赤升麻)

 日本の北海道から九州にかけて北から南に分布するユキノシタ科の多年草アカショウマ(Astilbe thunbergii)の根茎を用いる。アカショウマの近縁植物であるトリアシショウマ(A.thinbergii var.congesta)、チダケサシ(A.microphylla)、アワモリショウマ(A.japonica)などの根茎も赤升麻として用いる。かつて黒升麻、すなわち升麻(サラシナショウマ)の代用にされたため、その名がある。しかしサラシナショウマはキンポウゲ科の植物であり、現代では代用されない。

 根茎にはフラボノイドのアスチルビンのほか、イソクマリン系のベルゲニンが含まれる。アスチルビンとベルゲニンは体内で脂肪に働きかける作用を持つノルアドレナリンを補助する作用があり、ダイエット効果が期待されている。またアカショウマポリフェノールはリパーゼの酵素活性を阻害し、腸管からの脂質吸収を抑制することも報告されている。

 民間療法では煎じて風邪、頭痛、下痢などのときに服用する。また口内炎や咽頭炎には煎液でうがいする。あせもや湿疹などには煎液を塗布する。脱肛には浴湯料として用いる。