健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

ビタミンD

2011年11月14日 | 健康
ビタミンD

 抗くる病因子としてタラ(鱈)の肝油中から発見された脂溶性ビタミン。キノコなどに含まれるビタミンD2(物質名はエルゴカルシフェロール)と、動物性食品に含まれるD3(コレカルシフェロール)の2種類があるが、どちらも体内では同様の作用を持つ。また、酵母やキノコに含まれるエルゴステロールや動物性食品に含まれる7-デヒドロコレステロールは、紫外線が当たるとD2、D3に変わるプロビタミンDである。

 ビタミンDは体内に入ると肝臓と腎臓で活性型に変わり、甲状腺ホルモンと共に働いてカルシウムとリン酸の骨への沈着を助ける。また、筋肉や血液中のカルシウム濃度をコントロールする働きをしており、カルシウム不足のときには骨からカルシウムを溶出させる調整役もしている。ビタミンDは魚肉、レバー、バター、卵黄、シイタケなどに多く含まれる。「食事摂取基準05年度版」では、ビタミンDの目安量は1日あたり成人男女ともに5ugで、上限量は50ugとしている。また保健機能食品制度では、ビタミンDを1日摂取量あたり1.5~5ug含む食品にはビタミンDの機能を表示することができる。

※エルゴステロール

 不飽和ステロールの一種で、エルゴステリンともいう。シイタケなどキノコ類や酵母に多く含まれており、紫外線が当たるとエルゴカルシフェロールになり、体内に振り込まれてビタミンDに変化する。生シイタケは食べる前に日光に当てるとビタミンD2の含有量を増やすことができる。

深海鮫エキス

2011年11月12日 | 健康
深海鮫エキス

 サメ(鮫)は軟骨魚類からエイ類とギンザメ類を除いたものの総称で、アイザメ、アブラザメ、シュモクザメ、ホシザメ、ネコザメ、ノコギリザメ、ジンベイザメなど大小種々のものが含まれる。肉はカマボコなど練製品に使われるが、肝臓からは肝油が作られる。特にアイザメの肝油は良質で、女性の高級美顔料として使われているほか、健康食品としては深海鮫エキスとして加工されている。

 このエキスに含まれる油性物質のスクアレンは細胞の新陳代謝を活発にし、健康の維持・増進に役立つ機能成分とされている。深海鮫の肝臓は体重の17~27%に及び、特にアイザメは肝臓の重さが体重の25%を占め、その1/4が肝油であり、9割近くをスクアレンが占めている。スクアレンは、日本の油脂科学のパイオニアであって辻本満丸が1906年(明治39)年にアイザメ肝油から発見した高純度不飽和炭化水素(油脂)である。

 この油脂は化学的に安定するために水を還元して水素を取り込み、その結果、酸素を発生させる。これは深海で生息するサメの体内で必要とされる酸素を補給する働きをしているのではないかと考えられている。

 深海鮫エキスは栄養やエネルギー源としてばかりでなく、臓器の機能回復を手助けする”整備エンジニア”のような役目を果たす。その作用として、①浸透性がよい(化粧品素材として利用)、②賦活作用がある(細胞や皮膚の発育を促進させる作用)、③殺菌作用がある、④浄化作用がある(体内の新陳代謝を促す還元作用)、などが挙げられる。

インドボダイジュ

2011年11月11日 | 健康
○インドボダイジュ

 クワ科の常緑高木。別名にアッシュバッタ、ピッパラ、菩提樹、印度菩提樹、思惟樹などがある。原産地のインド、スリランカを中心に、南アジアから東南アジアなど熱帯地域に分布する。葉は先のとがった広卵心形で、わずかな風にも揺れてさらさらと音をたてる。花はイチジク形花序(隠頭花序)といって、花軸の先端が大きく膨らんで壷型となり、その壷の内側面に雄しべ・雌しべのいずれか一方だけをもつ単性花をつける。雌花と雄花とを同一の個体につける雌雄同株。同じクワ科のガジュマルのように気根をおろして大きくなる。

 原産地では10数メートルから20メートル以上に及ぶ大木に生長するものもあり、大きな茂みとなる。お釈迦様が49日間の思惟の後、その下で悟りを開いた木とされており、ヒンドゥー教の整地でもあり仏教の最高聖地とされるインドのブッダガヤに植えられ、神聖な木とされている。東アジアでは、仏教寺院に中国原産のシナノキ科シナノキ属の落葉高木ボダイジュが植えられているが、葉の形がインドボダイジュに似ていることから、熱帯植物で栽培しにくいインドボダイジュの代わりに栽培したと考えられている。わが国では、鉢植えの小さなものが観葉植物として販売されている。

 インドボダイジュの樹皮は、収斂作用があり、インドでは歯痛やひび割れして炎症を起こした足の治療などに用いられるほか、中国では歯痛や歯茎の強化に用いられている。薬理効果としては抗菌作用、脂質低下作用、血糖降下作用などが報告され、用途としては止血、月経過多、子宮出血、吐き気、眩暈に50%アルコール抽出物が用いられる。

くま笹(改訂版)

2011年11月10日 | 健康
○くま笹

 クマ笹はイネ科の笹の一品種で、葉の緑が白くなる(隈ができる)ために隈笹、冬眠から覚めた熊が好んで食べて体力の回復を図るところから熊笹とも書かれる。古くから若葉を煎じたものが民間薬として胃病・糖尿病・高血圧・喘息などの改善に利用されてきた。

 クマ笹にはタンパク質や葉緑素が豊富に含まれているほか、生体の免疫力を高め、ガン細胞の増殖を抑える作用があるといわれる笹多糖体の存在も注目されている。九州大学農学部の村上浩紀、山藤一雄が、クマ笹の葉から抽出したリグニンに動物実験で制ガン作用を認めたと報告している。また、ささの防腐作用をつかさどる多糖体のパーフォリンにも、生体の免疫力を強くしてガンの増殖を抑えること、なおかつ正常細胞に対する害がないことなどがわかり、その効用が期待されている。

 最近、クマ笹の有効成分を効率よく抽出する循環多段式加圧抽出法(菊地式抽出法)が考案され、より多くの多糖成分が抽出できるようになった。この抽出法は、最初に100℃以下の熱水抽出によって主としてミネラル、ビタミン、アミノ酸を採り出し、その後、加圧のレベルを何段階かに変えることによってさらに多糖成分を抽出するという方法である。近藤勇(東京慈恵会医科大学名誉教授)らは、これによって得られたクマ笹エキス(AHSS)をヘリコバクター・ピロリ菌に作用させ、鞭毛を溶かすことで菌が死滅することを発見、第11回国際ピロリ菌学会(2001年9月、ドイツ)で報告している。

 慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍の発症に大きく関わっているとされるピロリ菌だが、日本では50歳以上の70%以上がピロリ菌感染者であるこという報告もあり、ピロリ菌対策が本格的に始まっている。しかし、抗生物質を使った除菌では耐性菌の問題も大きなネックとなっている。近藤らの研究結果は、クマ笹エキスが植物由来の天然物質であることから抗生物質が直面している耐性菌問題にも新しい展望を開く可能性を秘めているといえよう。

穀物酢

2011年11月09日 | 健康
○穀物酢

 JAS(日本農林規格)では、醸造酢のうち、原料の穀物使用量が40g/L以上のものを穀物巣としており、米を40g/L以上使用しているものを米酢、それ以外のものを単に穀物酢としている。

※米酢

 わが国を代表する伝統的な穀物酢で、こめずともいう。調味料として最も多く使われている食酢である。蒸米を麹で糖化し、酵母でアルコール発酵させた後、酢酸菌で酢酸発酵してつくる。JASの食酢品質表示基準により、製品に米酢と表示できるのは原料の米を40g/L以上使用しているものである。

 玄米酢に比べるとアミノ酸の含有量は少ないが、米に由来する独特の芳香があり、料理にコクと深みを加えるので寿司飯や酢の物に使われる。市販されている米酢製品の中には、酢1Lにつき100~200g(JAS規格の2~5倍)の米を使い、濃厚な旨味を持つ米酢もある。

※粕酢

 米酢と共にわが国を代表する伝統的な醸造酢で、JASでは穀物酢と果実酢以外の醸造酢に分類される。1年以上貯蔵・熟成された酒粕に水を加えて粥状にし酢酸発酵を経てつくられる。高級品は色が濃く、米酢とは異なる独特の香りと旨味を持ち、江戸前寿司の赤酢として使われている。

※麦芽酢

 イギリスやアイルランドを代表する穀物酢の一種で、モルトビネガーという。大麦小麦、ライ麦を原料とし、麦芽の酵素で糖化した後、アルコール発酵、酢酸発酵を経てつくられる。麦に含まれるタンパク質からアミノ酸が多量に生成されるため、米酢などとは違った香り、コクがある。イギリスではフィッシュ・アンド・チップス(鱈のフリッター)にかけて食べたり、ピクルスやマヨネーズなどに使われる。

果実酢

2011年11月08日 | 健康
○果実酢

 JAS(日本農林規格)では、醸造酢のうち、原料の果実搾汁使用量が300g/L以上のものを果実巣としており、ブドウの搾汁を300g/L以上使用しているものをブドウ酢、りんごの搾汁を300g/L以上使用しているものをリンゴ酢、それ以外のものを果実酢としている。

※ぶどう酢

 フランスを代表する果実酢で、ワインビネガーという。ブドウ果汁を酵母でアルコール発酵させ、酢酸菌による酢酸発酵を経て作られる。ヨーロッパで最も多く使われている酢である。ワインと同じく、白と赤の2種類がある。穀物酢に比べて酸味度が高く、カリウムやポリフェノールの含有量も多い。主にドレッシングソースやマリネなどの調理に使われる。

 フランスなどではわが国の米酢のように古くから伝わる製法で作られるものが多いが、酸敗ワインやブドウ粕を原料にしたものもある。わが国ではJASの食酢品質表示基準で、製品にブドウ酢と表示できるのは原料にブドウの搾汁を300g/L以上使用しているものである。

※バルサミコ酢

 バルサミコ酢は北イタリアのモデナ地方に古くから伝える果実酢で、バルサミコはイタリア語で”芳香がある”を意味する。イタリア産のワインと白ブドウ果汁を煮詰め、木樽で長期間熟成させて作られる。色は濃い茶色で、酸味や香りが強く同時にまろやかな甘味もある。イタリアでドレッシングソースといえば、オリーブオイルとバルサミコ酢の組み合わせである。

 バルサミコ酢はリンゴや赤ブドウ酢に比べてカリウムが2倍以上、ポリフェノールが黒酢の3倍以上含まれている((独)農林水産消費技術センター調べ、2001年)。最近はわが国でもよく知られるようになり、高価ではあるが日常的に利用する家庭も増えている。JASでは、果実酢の中のブドウ酢に分類されている。なおイタリアでは、伝統的なバルサミコ酢は最低12年の熟成と原料となるブドウの種類が厳格に決められており、モデナ産のバルサミコ酢はDOP(原産地保護名称)指定になっている。

※りんご酢

 アメリカを代表とする果実酢で、アップルビネガー、シダービネガーともいう。リンゴ果汁を原料としてアルコール発酵させ、酢酸発酵を経て作られる。リンゴ酸が多く含まれるため酸味がまろやかで甘い香りがあり、サラダドレッシングやマヨネーズ、ソースに使われる。アミノ酸の含有量が少ないが、カリウムを多く含んでいる。

 わが国ではJASの食酢品質表示基準で、製品にリンゴ酢と表示できるのは原料にリンゴの搾汁を300g/L以上使用しているものである。リンゴ酢は調味料のほか、ハチミツで薄めて健康ドリンクとして用いられることも多い。

牛乳

2011年11月05日 | 健康
○牛乳

 牛乳は三大栄養素の糖質・脂質・タンパク質をほぼ同じ割合で含み、さらにカルシウムやカリウムなどのミネラル類も豊富に含むことから、子供の成長期には欠かせない栄養食品として古くから用いられてきた。わが国で市販されている牛乳(市乳)は、厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」によって細かく規定されており、大きく「牛乳」「加工乳」「乳飲料」に分けられる。牛乳とは生乳のみを原料とし、無脂乳固形分(水分と乳脂肪分以外のタンパク質、炭水化物、カルシウム、ビタミンなど)を8%以上含むもので、、しぼったままの生乳をそのまま加熱殺菌したものと、生乳から水分、乳脂肪分、ミネラルなどなどの一部を取り除いた成分調整牛乳とがある。前者は、牛乳パックの種類別欄に「牛乳」と表示されている最も一般的な牛乳で、乳脂肪分は3%以上。一方、成分調整牛乳の内、乳脂肪分を0.5~1.5%にしたものを低脂肪乳、0.5%未満にしたものを無脂肪牛乳という。

 加工乳は、生乳のほかに脱脂粉乳や無塩バターなどの乳製品を加え、乳成分を増やしたり、乳脂肪分を減らしたりしたもので、無脂乳固形分は牛乳と同じく8%以上含む。「特濃乳」などがそうである。

 乳飲料は牛乳や脱脂粉乳を主原料とし、これに糖分や香料、コーヒー、果汁、ビタミンやミネラル類を配合したもので、無脂乳固形分の含有量は規定されていない。一般に”コーヒー牛乳””フルーツ牛乳”などとも呼ばれているが、乳飲料の商品名には「牛乳」「ミルク」「乳」という言葉は使用できないことになっている。

 牛乳の摂取で最も期待されている栄養成分はカルシウムで、100g中110mgと豊富に含まれている。カルシウムは体内へ吸収されにくい成分だが、牛乳・乳製品の吸収率は高く、約50%である。因みに古くから日本人のカルシウム供給源となっていた小魚で約30%、青菜で約18%である。牛乳のカルシウム吸収率がよいのは吸収を助ける乳糖やアミノ酸のリジンなどが含まれていることによる。

 さらに牛乳のタンパク質の約80%を占めるカゼインが体内でCPP(カゼインホスホペプチド)に分解され、カルシウムの吸収を高める働きをする。ただし、牛乳を飲んでお腹がゴロゴロする人や下痢をする人(乳糖不耐症)は乳糖を分解する酵素ラクターゼの活性が低く、牛乳からのカルシウムの吸収率も低下する。乳糖不耐症の人用に乳糖分解乳が市販されている。牛乳にはもう一つの効能として安眠作用がある。牛乳に含まれる必須アミノ酸のトリプトファンが催眠作用のある神経伝達物質セロトニンの原料となるからである。神経を鎮静化する作用はカルシウムにもある。

※粉乳

 牛乳を濃縮して乾燥させ、粉末状にしたもの。そのまま粉末にした全粉乳、乳脂肪を取り除いた脱脂粉乳、成分を調整した調製粉乳がある。母乳の成分に近くなるように調整したものは乳児用粉ミルクである。

※練乳

 練乳は牛乳を濃縮したもので、そのまま濃縮したエバミルク(無糖練乳)、加糖して濃縮したコンデンスミルク(加糖練乳)がある。

中国茶

2011年11月04日 | 健康
○中国茶

 中国茶には非常に多くの種類があるが、中国茶葉学会が編集している農業学校用教科書では、次の通り精茶を色によって6つに分類している。

※緑茶

 中国で生産される茶の半数以上(約54%)が緑茶である。日本の緑茶は摘み取ったばかりの生葉を水蒸気で蒸して乾燥させるが、中国緑茶は生葉を釜の上で加熱して酵素活性を止める。そのため日本の緑茶のような青臭さが少なく、軽快な風味がある。不発酵茶に分類される。

※黄茶

 新芽の未成熟の部分を用い、加熱後、悶黄(堆積して変色させる)の工程があるのが特徴である。生産量は極めて少ない。不発酵茶に分類される。

※青茶

 成熟した新梢を用い、製造工程は細かく分けて17工程もあり、上品質のものほど手数をかけている。発酵は最初に葉を日光に当てて行い、その後、室内でも萎凋(葉を萎えさせる)が行われる。做青(青色出し)の工程があるのが特徴である。これらの一連の過程で青茶に特有の香気成分が生じる。中途で加熱により酵素活性を止めて乾燥するので半発酵茶に分類される。ウーロン茶がよく知られている。

白茶

 大白、小白、水仙白といった特別な茶樹の銀白色の産毛に覆われた若芽からつくられる。わずかに発酵させるので弱発酵茶に分類される。福建省産の「銀針白毫」「白牡丹」などが知られている。点てた茶は色が淡く、香りや刺激性も強くない。

※紅茶

 英語ではブラックティーだが、中国や日本では紅茶と呼んでいる。十分に発酵させるので強発酵茶または全発酵茶に分類される。カテキン類の多くが高分子のテアフラビンに変化しているのが特徴である。

黒茶

 新梢の成熟した茶葉を用い、最初に緑茶の一種である釜炒り茶を製造し、集散地で黒麹菌を用いて発酵熟成させるので後発酵茶に分類される。茶葉組織が柔らかく易溶性になっており、茶葉のカテキン類や他の成分が前述の5品目と異なった成分となり、栄養学上の有用性を高めている。中医学で「薬茶」と呼んでいるのは、この黒茶のことである。蒸気を加えて加圧成型したものもある。代表的なものにプーアル茶がある。

 中国茶にはまた、花茶と呼ばれる付香茶が数多くある。これは加湿した中国緑茶やウーロン茶に様々な花を加えて香り付けをし、その後に花を除いて乾燥させたもので、中国料理に添えられるジャスミン茶がよく知られている。

茶類

2011年11月03日 | 健康
○茶類

 茶の始まりは非常に早く、既に5世紀の中国の農業書にその記録が残されているが、やがて”茶聖”陸羽が「茶は南方の嘉木なり」で書き始められる「茶経」(760年頃成立)を著したことによって中国全土に広められ、その書は茶に関する最も有名な聖典として取り扱われるようになった。

 茶樹そのものはツバキ科のチャ(学名Camellia sinensis L.)で、中国南部・雲南の山岳地帯で発見されたものが最初と伝えられている。大部分の栽培種は喬木で、葉の大きさから小葉種、中葉種、大葉種の3種に分かれる。小葉種は中国や日本の緑茶、大葉種は紅茶の原料となる。中葉種は主にウーロン茶の原料に使われている。

 陸羽によって中国全土に広まった中国茶の栽培は、温暖な地域で昼夜の温度差の多い山岳地方に良品を産するが、その消費は中国全土に及ぶようになり、その消費は中国全土に及ぶようになり、さらにまた中国人の古来の思想である”薬食同源”のもとに、より健康によいものをつくる努力が長い間続けられ、加工方法によっても数えきれないほどの多種類の製品が生産されるようになった。中国茶は葉中の酵素活性を利用して発酵させるが、その程度によって発酵茶、半発酵茶、不発酵茶に分かれる。さらに、微生物を利用して発酵させる後発酵茶がある。

納豆

2011年11月02日 | 健康
○納豆

 蒸し煮した大豆に枯葉菌の一種である納豆菌を加えて粘質発酵させた糸引き納豆と、蒸した大豆に麹を加え、塩水につけて熟成させた塩納豆(豆鼓)の2種類がある。近年、機能性食品として注目されているのは糸引き納豆である。植物性タンパク質の供給源であるだけでなく、骨の健康に役立つ、血栓を溶かす、動脈硬化の進行を抑える、お腹の調子を整える、抗菌力があるといった機能性が明らかになってきた。

 納豆の栄養組成を見ると、タンパク質やリノール酸、ビタミンK、パントテン酸、葉酸、ビタミンB2、カリウム、鉄、銅、マグネシウムなどが多く含まれていることがわかる。納豆中のタンパク質は納豆菌によって分解されているため、大豆の状態より消化しやすく、また、ほとんどの栄養成分が大豆(ゆで)の時よりも増えている。そのほか、ナットウキナーゼイソフラボン、ポリアミンといった成分も含まれる。

 納豆はビタミンKの含有量がトップクラスの食品である。天然のビタミンKは2種類あって、植物の葉緑体で作り出されるビタミンK1と、微生物が合成するビタミンK2だが、納豆は後者のほうである。ビタミンK2には骨のカルシウムの流出を防ぎ、骨を丈夫にする働きがある。ビタミンK2の作用を生かしたトクホ納豆も市販されている。さらに、納豆には骨量の減少を防ぎ、骨粗鬆症の予防に働くイソフラボン、骨の主成分であるカルシウム、骨の正常な代謝に必要なマグネシウムなど、骨の健康に役立つ成分が多い。厚生労働省の調査によると、中高年女性の骨折の割合は東日本が低く、西日本は高い傾向があり、これは納豆の消費量とほぼ比例しているという。

 納豆のネバネバ部分に含まれる酵素のナットウキナーゼには、脳卒中や心筋梗塞の原因となる血栓を溶かす作用があることが知られている。ナットウキナーゼの血栓溶解作用は強力で、血栓溶解剤ウロキナーゼと同様な効果があるという。また最近では早田邦康(自治医科大学大宮医療センター)らが、納豆に多く含まれるポリアミン(低分子有機化合物)の動脈硬化抑制作用について報告している。日本は動脈硬化の因子となる喫煙率が先進国で最も高く、コレステロールの摂取量もアメリカを超えているといわれているが、動脈硬化による疾患の発生率は低い。その背景には大豆類を多く摂ることが関係しているのではないかという。

 納豆は昔から、”風邪の引き始めにはネギ入り納豆汁がよい”といわれたり、食中毒予防の民間薬に使われたりしたが、これはジコピリン酸やリゾチームといった抗菌成分が含まれているためである。ジコピリン酸は病原性大腸菌O-157への抗菌効果が既に確認されている。納豆1パック(50g)に約10mgのジコピリン酸が含まれている。リゾチームは納豆のネバネバに含まれている溶菌酵素である。さらに、納豆菌は腸内で善玉菌の働きをするので整腸作用もある。また、納豆に含まれる大豆サポニンは強い抗酸化作用を持ち、老化やガン、生活習慣病の予防も期待できる。このように、身近な機能性食品といえる納豆だが、抗血液凝固薬(ワーファリンなど)を服用している場合、ビタミンKが薬の作用を低下させる可能性があるので、納豆の摂取については医師に相談したほうがよい。