健康食品辞典

サプリメント・健康食品・食材・食品・飲料などに利用されている素材・成分を中心に掲載しました。

ファイトケミカル(5)

2007年05月09日 | 健康
◇アルカロイド

 アルカロイドは植物体内で作られる窒素を含んだアルカリ性化合物の総称で、2500種以上が見つかっている。ナス科、ケシ科、アカネ科などの植物に多く含まれており、有機酸と結合した存在している。強い生理作用があり、モルヒネ、エフェドリン、キニーネ(抗マラリア薬)、コカイン、ニコチンなどは医薬品として使われている。

◆カフェイン

 コーヒー豆や茶葉、カカオなどに含まれている苦味成分で、アルカロイドの一種。覚醒作用や疲労回復作用、利尿作用がある。また、強心剤としても使われる。カフェインの過剰摂取は不整脈、虚脱感、めまい、不安感などを招くので注意が必要。なお、茶葉にはカフェインと同物質のテインが含まれている。

◆テオブロミン

 カカオ豆やココアに微量に含まれているアルカロイド。覚醒、治療、強心作用がある。

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◇フェルラ酸

 フェニルプロペン化合物の一種で、植物の細胞壁を形成するリグニンの前駆体として特に米糠に多く含まれる。ラジカル消去と活性酸素除去という2つの作用が認められ、食品や化粧品分野での活用、また医薬品原料としても注目されている。1995年に化学的合成品以外の食品添加物として、2001年は紫外線カットの化粧品原料として認可され、さらに04年6月には食薬区分の改正で非医薬品成分に移行した。

◇γ-オリザノール

 米胚芽や米糠油から分離された機能成分で、トリテルペンアルコールのフェルラ酸エステル。米胚芽油には1.5%含まれている。成長促進・間脳機能調節・抗酸化作用が認められている。

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◇カプサイシン

 唐辛子の果皮に含まれる辛味成分。体内のエネルギー消費を促進させる働きがあり、結果的に肥満を防止するという効果がある。体内に入ったカプサイシンは中枢神経を介して交感神経を刺激し、副腎皮質からアドレナリンやノルアドレナリンなどの分泌を促すため、エネルギー代謝が盛んになって肝臓や筋肉内のグリコーゲンの分解などが促進される。

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◇イソシオシアナート

 キャベツやカリフラワーなどアブなら科の野菜に含まれるイソシオシアン酸の一種で、ガンの原因となるDNA損傷を抑える作用がある。また、ブロッコリーに含まれる同類のサルフォラフェインには発ガン物質の増殖を抑える作用のあることが知られている。

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ファイトケミカル(4)

2007年05月08日 | 健康
◇硫黄化合物

 ニンニクやタマネギなどユリ科の植物が持つ独特の臭気は硫黄化合物によるものである。硫黄化合物には抗酸化作用があり、老化やガンなどの予防に有効であることが知られている。また血液の粘度を低める作用もある。

◆アリシン

 ニンニクの臭気成分で、前駆物質のアリインが酵素のアリイナーゼで加水分解されて生じる。アリインとアリイナーゼは細胞中では別の場所に存在して反応することはないが、ニンニクを切ると細胞が破壊され、両者が接触して反応が始まりアリシンが生成される。アリシンは人の消化管の中でビタミンB1と反応してアリチアミンという物質に変わる。アリチアミンの血中濃度は長時間維持されるため、ビタミンB1の働きが通常より長く持続するという効果がある。

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◇リグナン

 リグナンはケイ皮酸から誘導される低分子化合物で、顕花植物の茎や根、種子などに配糖体や遊離の状態で存在している。抗酸化作用が強く、食品の酸化防止剤などに利用される。特にゴマの趣旨に多く含まれている。

◆セサミン

 ゴマに含まれるリグナンの一種で、胡麻に0.5%程度しか含まれていないが、強力な抗酸化作用のあることで知られている。肝臓の機能を強化し、アルコールの分解にも寄与している。また、中性脂肪を減らす作用があることがラットを使った実験でわかっている。

◆セサミノール

 ゴマの脂質(ゴマ油)に多く含まれるリグナンの一種で、ゴマ湯などの変敗しにくい性質から見出され、強い抗酸化作用のあることが認められている。セサミノールが過酸化脂質の生成を抑制することで、抗がん効果が得られるとする実験結果が報告されている。

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◇サポニン

 サポニンは大豆や人参、ジャガイモの皮などに含まれるえぐみや苦味の成分で、配糖体の一種である。水溶液が石鹸のように泡立つ性質があることから、石鹸を意味するサポに由来してこう呼ばれる。サポニンは水と油の両方に溶ける性質を持っており、血管についた脂肪を除去する働きや、血中コレステロールの低下、過酸化脂質の除去などに有効であることが認められている。

◆大豆サポニン

 大豆の胚軸に含まれるサポニンで、大豆の苦味や渋味、えぐみの成分。生の大豆に約0.3%含まれている。大豆サポニンは脂質の過酸化抑制と代謝促進に関係しており、高脂血症、高血圧症、動脈硬化などの改善に効果があるとされる。

大豆イソフラボンの商品

◆ジンセノサイド

 人参に含まれるサポニンの総称で、人参サポニンとも呼ばれる。1854年に米国のガリッケスが人参の薬効成分としてパナロキンと名付けたサポニンを分析したことに始まり、これまでに30種類以上のジンセノサイドが発見されている。高麗人参には鎮静作用と興奮作用を併せ持つジンセノサイドが含まれており、大脳を鎮静させる作用がある反面、体の細胞や臓器の働きを活発にして体調を整える作用がある。また、アメリカ人視線には中枢神経の興奮を抑制し、緊張性のストレスを緩和するジンセノサイドRb群が多く含まれるため、高麗人参に比べて頭をスッキリさせ、集中力をつける作用が強いといわれる。

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ファイトケミカル(3)

2007年05月07日 | 健康
○タンニン

 タンニンは植物の組織内に存在する渋味成分で、ポリフェノール化合物である。植物体から水で抽出され、分解するとフェノール類が得られる。タンパク質を凝固させる性質があることから皮革のなめしに使われる。タンニンは未熟な柿の果実などに多く含まれる。また、緑茶のカテキン、紅茶のテアフラビンもタンニンの一種である。

◇カテキン

 水溶性のポリフェノール化合物で、茶葉に含まれている茶カテキンがよく知られている。茶葉の種類によって含有量は多少異なるが、平均すると乾燥葉重量の8~15%である。茶カテキンは抗酸化力が非常に高く、発ガン抑制、動脈硬化予防、脂肪代謝異常の改善、血圧上昇の抑制、血栓予防、抗糖尿病、抗アレルギー、抗ウイルス、抗菌、虫歯予防、口臭予防、腸内細菌叢正常化など多岐にわたる分野で研究成果が発表されている。食品分野では、花王が茶カテキンを関与成分にして体脂肪予防でトクホを取得したヘルシア緑茶がヒット商品になった。

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◆エピガロカテキンガレート

 茶カテキンの約半量を占めている。1999年にスウェーデンのカロリンスカ研究所がエピガロカテキンガレートがガン細胞の血管新生を阻害させることをインビトロ実験で明らかにし、英国の科学雑誌ネイチャーに掲載された。

◇テルペノイド

 テルペノイドは柑橘類や香辛野菜などの香りや苦味の成分で、テルペン、イソプレノイドとともいう。体内で発がん物質を無毒化する機能を強化したり、発ガン遺伝子の働きを弱める作用があるとされている。

◆ショウガオール

 日本産生姜の根に含まれる辛味成分で、抗菌・殺菌・解熱・鎮痛作用がある。また、ヒスタミンを抑制する高アレルギー効果も認められている。

◆ジンゲロン

 生姜の根に含まれる辛味成分で、強力な抗菌作用(コレラ菌やチフス菌)のほか、抗酸化作用も認められている。

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◆ギンコライド

 イチョウ葉から分離・同定された成分で、テルペノイドの一種。これまでの研究で①血小板凝集や血栓の生成阻害作用、②大脳去血の拮抗阻害作用、③心臓アナフィラキシーに対する拮抗作用、④炎症やアレルギーの阻害作用、⑤角膜再生の活性化作用、⑥中枢神経の覚醒作用、などが明らかにされている。

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ファイトケミカル(2)

2007年05月04日 | 健康
○フラボノイド

 フラボノイドは植物に含まれる水溶性色素で、早く黄、果実、種実などに広く分布し、現在まで4000種類以上が見つかっている。化学構造はポリフェノール化合物で、多くは糖と結合して配糖体として存在している。赤、紫、青色を呈するアントシアニン類、淡黄色のフラボノイド類に大きく分けられる。

◇アントシアニン

 フラボノイド色素のアントシアニジンに糖が結合した配糖体。ブルーベリーやサツマイモの皮、黒豆などの色素成分として存在している。活性酸素の発生を抑制する抗酸化物質として知られているが、ロドプシン(網膜の色素体で、光の刺激を脳に伝える働きをする)の合成を促進して、目の疲労回復や近視予防の効果が認められていることからサプリメント素材として人気を呼んでいる。アントシアニンはまた、肝臓機能の改善にも有効に働くことが知られている。軽度の肝機能障害に対して、紫イモのジュースが有効に作用したという研究報告がある。

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◇フラボノイド

 狭義のフラボノイド類には、構造の違いからフラボノール類(淡黄色)、フラボン類(淡黄色)、フラバノリール類(無色)、イソフラボン類(無色)があり、その多くは糖と結合して配糖体として存在している。

◆ケルセチン

 フラボノイドのうち、フラボノールに分類されるポリフェノール化合物。タマネギやホウレン草、ケール、パセリなどに多く含まれ、LDLコレステロール酸化を抑制することで、動脈硬化を防ぐ作用のあることが知られている。ケルセチンは通常、配糖体のルチンとして存在することが多い。

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◆ルチン

 ケルセチンに糖のルチノース(グルコース+ラムノース)が結合したフラボノイド配糖体で、ビタミンCの研究過程で発見された抗酸化物質です。ビタミンPとも呼ばれる。そば(蕎麦)やトマト、アスパラガスに多く含まれている。ルチンは毛細血管の透過性を保ち、血管がもろくなるのを防ぐ。また、血圧を下げる作用があるため、血管補強剤や毛細血管の止血剤として高血圧、脳出血、血圧異常の疾患などに使われている。

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ファイトケミカル(1)

2007年05月03日 | 健康
○ファイトケミカル

 植物の色素成分や香気成分などに含まれる微量化学物質をファイトケミカルという。ファイト(phyto)はギリシャ語で”植物由来の”という意味がある。ファイトケミカルは従来の栄養素とは異なり、身体の組織やエネルギー源となったり、欠乏症を起こす栄養素ではないが、健康の維持に役立つことがわかってきている。その生理作用についてはまだ体系的に説明されていないが、ずば抜けた抗酸化作用を中心にして、栄養学の新しい波として研究も進んでいる。

◆クロロフィル

 クロロフィルは植物や藍藻類に含まれる緑色の脂溶性色素で、葉緑素と呼ばれる。植物の葉緑体にたんぱく質やリポタンパクと結合した状態で存在し、二酸化炭素、水、太陽エネルギーから炭水化物(デンプン)作り出す光合成を担っている。クロロフィルは脊椎動物の赤血球に含まれる色素タンパク質のヘモグロビンと構造がよく似ており、どちらも同じポルフィリン核の構造で、その中心金属はクロロフィルはマグネシウム、ヘモグロビンが鉄である。クロロフィルは人の体内でヘモグロビンの生成を助け、造血作用を示す。また、健胃作用、殺菌効果も認められている。

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◆キサントフィル類

◇ルテイン

 緑葉の野菜類に多く含まる黄橙色のカロチノイド系色素で、植物の光合成の補助色素として働いている。人の体内では網膜の黄斑に存在している。網膜が老化による影響を受けると網膜の中心部にある黄斑が変性し、視力の低下が起こるが、ルテインや同じ種類のゼアキサンチンは黄斑変性を予防する働きがある。食品ではホウレン草、芽キャベツ、ブロッコリー、トウモロコシ等に多い。

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◇ゼアキサンチン

 トウモロコシやカボチャなどに多く含まれる黄色のカロチノイド色素。卵黄や動物脂肪、肝臓などなどにも存在している。人の体内では網膜の黄斑に分布している。網膜が老化による影響を受けると網膜の中心部にある黄斑が変性し、視力の低下が起こるが、ゼアキチンサン黄斑変性を予防する働きがある。

◇カプサイシン

 トウガラシやピーマンの果実に含まれる赤色のカロチノイド色素。カロチン類より色が濃く、抗酸化作用はβ-カロチンの1.5倍あるとされる。

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緑茶エキス食品

2007年05月02日 | 健康
○緑茶エキス食品

 緑茶は煎茶の形でその浸出液を飲むことができるが、溶け出す成分であるビタミンC、カフェイン、カテキン、アミノ酸などは1回お茶を出したときは約40%、2回目のときは20%程度が茶殻の中に残っている。また、残った茶殻の中には不溶性成分であるビタミンA・E、ミネラル、脂質、食物繊維も多く含まれており、近年その積極的活用が求められるようになった。

 大森正司(大妻女子大学)、加藤みゆき(香川大学)らは、成長するにつれて高血圧になる遺伝的特性を持つラット群に対し、1回お茶を出した中級煎茶の茶殻の粉末を与える実験を行なった。生後6週間のラット10匹ずつ2グループを使い、実験期間は18週である。その結果、茶殻粉末を10%混入した餌を与えたグループは普通食を与えたグループに比べて最高血圧が低く(241mmHg対221mmHg)、血液中の中性脂肪は少なく(1dl当たり75.0mg対47.7mg)、体重増加も少ない(353g対321g)という結果が出た。

 茶殻の粉末には食物繊維の含有量が多く、それが腸の蠕動を促進して有害菌の抑制、中性脂肪の吸着、ナトリウム排泄など多様な効能を発揮するのではないかと考えられている(1993年、日本農芸化学大会で発表)。

 このほか、ビタミンC・E、β-カロチンなどの抗酸化作用も注目されている。最近、食べるお茶というキャッチフレーズで、緑茶エキスを粉末や顆粒、ゼリー状にした健康食品も多く出ている。

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ワイン(ポリフェノール)

2007年05月01日 | 健康
○ワイン(ポリフェノール)

 フレンチ・パラドックスの言葉とともに、1990年頃からワインの健康機能性が注目され始めた。その端緒となったのがフランスの科学者セルジュ・リヌーが唱えた「フランス人は動物性脂肪を多く摂っているのにかかわらず、他のヨーロッパ諸国に比べ虚血性心疾患による死亡率が低いのは赤ワインを日常的に飲むため」という説である。健康志向の高まりを見せていた日本でも90年代後半に赤ワインブームが起こっている。

 赤ワインには渋み成分のタンニンや色素のアントシアニンなど、抗酸化作用のあるポリフェノール類が豊富に含まれている。これらの成分がLDL(低比重リポ蛋白)の酸化を抑え、虚血性心疾患の原因となる動脈硬化を予防すると考えられている。国立健康栄養研究所の板倉弘重らは、30~50代の男性10日に1日400~500mlの赤ワインを2週間飲んでもらい血液中のLDLの酸化抵抗性を調べた結果、飲用前に比べ上昇していることがわかった。また、赤ワインに含まれるほとんどのポリフェノールに抗酸化作用があることを確認している。(1994年)

 ポリフェノールの含有量とはブドウの品種によって異なる。赤ワインの中でもカベルネ・ソーヴィニヨンでつくるボルドーワインや、ネッビオーロが原料のイタリアのバローロなどが高い。一方、白ワインは抗菌性に優れている。米ウエストバージニア大学のマーチン・E・マイズらは、白ワインがサルモネラ菌、大腸菌、赤痢菌に対して抗菌作用があることを実験で確認している。

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