健康食品辞典

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茯苓

2014年11月07日 | 健康
○茯苓(ぶくりょう)

 日本、中国、北米に分布し、アカマツやクロマツなどの根に寄生するサルノコシカケ科のマツホド(Poria cocos)の菌核を用いる。菌核とは菌糸の塊で、不規則な塊状をなし、大小も様々である。中には重さ1kg以上で人の頭ぐらいの大きさのものもある。

 表面は灰褐色であるが、中は白くてチーズ状である。木材腐朽菌の一種で伐採後4~5年経ったマツなどの切り株の根に寄生する。従来、マツホドは枯死したマツの根に寄生すると考えられていたが、生きたマツやその他の植物の根にも寄生し、菌核を作ることが確認されている。

 地下20~30cmのところに隠れているため、かつて日本でも「茯苓突き」といわれる専門家が探す仕事をしていた。茯苓の名は「松の神霊の気が伏してできたもの」という「伏霊」に由来する。マツホドの中にマツの根の通っているものを特に茯神といい、その根を茯神木という。また外皮は茯苓皮、外皮に近い淡紅色の部分を赤茯苓という。茯苓は無味無臭で噛むと歯に粘りつく。

 硬くて、断面が純白できめの細かいものが良品とされ、雲南省に産する天然品が有名である。また 安徽省などではマツの材でマツホドを培養し、土の中に埋めて生産する人工栽培が行われている。かつて日本に流通していた茯苓は、日本産、韓国産、北朝鮮産の野生品であったが、近年、多量に輸入されている中国産茯苓はほとんどか栽培品である。

 茯苓にはトリテルルペノイドのエブリコ酸、パキマ酸、ツムロース酸、多糖体のパキマン、ステロールのエルゴステロールなどが含まれ、水製エキスには利尿、抗潰瘍、血糖降下、血液凝固抑制作用が、パキマンには免疫増強作用などが知られている。

 漢方では利水消腫・健脾・安神の効能があり、水腫や痰飲の治療には必ず用いられる要薬である。とくに脾胃の気虚による湿や痰飲の症状に適している。茯苓は「補にして峻ならず、利にして猛ならず」といわれるように性質は穏やかで、正虚(脾虚)と邪盛(湿盛)の両面から扶正去邪を行うとされている。また心脾を補い、情緒不安定や動悸、不眠などにも用いるが、一般に安神には茯神の方を用いる。

 茯苓皮は補益作用はないが、利水作用に優れ、皮膚の水腫に用いる。赤茯苓には清熱利湿の効能があり、熱淋や血淋といわれる膀胱炎などの排尿以上に用いる。ちなみに茯苓の粉末と米粉を混ぜて作った薄い餅に、胡麻や胡桃、松の実などの餡をはさんだ「茯苓もち(茯苓夾餅)」が北京特産の銘菓として知られている。