音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

パット・ベネター、ブルースを歌う

2009年07月29日 | インポート

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 常識を打ち破る快挙というのは数多あるけれど、彼女ほど語り継がれる女性ロッカーはいないんじゃないのかな。パット・ベネター。実に4度もグラミー賞を受賞し、ジャニス・ジョプリン以来の存在感を表した。彼女はまだまだ女性ロッカーの少なかった1970年代に活動を始め、1980年代になると一躍脚光を浴び、瞬く間にトップミュージシャンの仲間入りを果たした。

 当時彼女の音楽は、パワーポップとも呼ばれ、ジャニス系譜のロックからは一線を画するロックスタイルだった。パット・ベネターの登場が多くの女性ハードロッカーに与えた影響は計り知れない。

True Love

 そんな彼女が1991年に『True Love』というこれまでの路線とは打って変わってブルース色の強いアルバムを発表した。これには僕も驚いたが、彼女の音楽の多様性やヴォーカリストとしての才能を考えるとそれほど俄か的なアルバムでもなかったかもしれない。

 パット・ベネターは今年56歳になる。しかし、とてもそんな年齢には見えない若さと美貌を保っている。その秘訣はきっと愛する夫ニール・ジェラルドがいつもそばにいるからではないだろうか。

 もっとも夫婦喧嘩は豪快で、怒ると夫に靴を投げつけたりするらしい。妊娠中にもかかわらず、『Tropico』のレコーディングに臨んだり、大きなお腹にオーバーオールを着てPVにも出ていたそうだから、そのパワフルな伝説は留まるところを知らない。家庭でもLIVEでもロック魂を持ち続けるパット・ベネターは正真正銘のロックの女王だ。