音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

ブルースに夢中だった頃を思い出させてくれるロバート・クレイ・バンドの新作

2013年11月27日 | インポート

 ロバート・クレイを語る時、欠かせないいくつかの作品があるが、その中でも『ストロング・パースウェイダー』は屹立する名盤の一つだ。

 そのアルバムに肉迫する傑作が、今年還暦を迎えたロバート・クレイの最新作『ナッシン・バット・ラブ』だ。

 (Won't Be) Coming Homeを筆頭に、魂を揺さぶるブルースが疾駆する。 アルバム・ジャケットに映るアメ車がそれを暗示するかのように 。

 『ストロング・パースウェイダー』はブルース・アルバムとしては異例のヒットを飛ばし、今作でグラミー賞最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバム賞を受賞。

 ご他聞に漏れることなく、この僕もこのアルバムからロバート・クレイを知ることに…。

 ミック・ジャガーやキース・リチャーズのインタビューでこのブルースマンの名が出るたびに彼への興味は頂点に達していた。

 当時の感想は、漸く本物が出てきたなという思いだった。

 ギター・サウンドはもう終わりかなと思っていた頃なので、ロバート・クレイの登場はまさしく衝撃そのものだった。

 黒人がギターを弾いている。

 それだけで衝撃だったよ。

 とにかくわかりやすいんだ。

 彼のブルースって。

 ブルース以外にもたぶんソウルやジャズを吸収してきたんだと思う。

 それもかくべつ良質なやつを。

 マーヴィン・ゲイがアルバート・キングのようにギターを弾くとおそらくこうなるなという。

 『ナッシン・バット・ラブ』にはあの頃のフィーリングが戻っている。

 そう。

 僕がブルースに感動していた頃だ。

 メンバーはあの頃に比べてずいぶん顔ぶれも変わってしまったが、結成当時からロバート・クレイを支えてきたベースのリチャード・カズンズが久しぶりに参加し、”哭き”のサウンドが蘇っている。

 ロバート・クレイ・バンドはこうでなきゃいけない。

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Robert Cray Band-Strong Persuader(1986)

Robert Cray(g,vo) ロバート・クレイ(ギター、ヴォーカル)

Peter Boe(key) ピーター・ボー(キーボード)

Richard Cousins(b) リチャード・カズンズ(ベース)

David Olson (ds) デヴィッド・ オルソン(ドラムス)

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YouTube: Robert Cray - Smoking Gun

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Robert Cray Band-Nothin But Love (2012)

Robert Cray(g,vo) ロバート・クレイ(ギター、ヴォーカル)

James Pugh(key) ジェイムズ・パウ(キーボード)

Richard Cousins(b) リチャード・カズンズ(ベース)

Tony Braunagel(ds) トニー・ブラウナジェル(ドラムス)   

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YouTube: Robert Cray - (Won't Be) Coming Home


ザ・ローリング・ストーンズ“スウィート・サマー・サン” ストーンズ・ライブ・イン・ロンドン・ハイド・

2013年11月05日 | インポート

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 「再び、ハイドパークへ」という記事を一部訂正する。この記事で、「ロンドン・ハイド・パーク公演」でミック・テイラーとビル・ワイマンのふたりを招待すると書いたと思うが、実際は、ミック・テイラーのみの参加

 どうも飛行機嫌いのビル・ワイマンから契約を取るのは難しかったようだ…。

 ともあれ、先日、この野外コンサートを収録したBLU-RAY&CD『ザ・ローリング・ストーンズ“スウィート・サマー・サン” ストーンズ・ライブ・イン・ロンドン・ハイド・パーク 2013』がAmazonから届きました。

 早速、謹んで拝観。

 [感想]

  ① 野外コンサートとあって時間の経過が手に取るようにわかる。

 夕方の比較的明るい時間から開始したコンサートは、時間の経過と共に夕暮れ⇒日没⇒あたりが漆黒の闇となった時に映る夜景とコンサート会場だけが煌々と明かりを照らしている。

  ② 演奏がとてもリアル。

 ヴォーカルや楽器の音を拾う瞬間瞬間が、あたかもそこにいるような臨場感を伝えていること。 2013

 ③ ダリル・ジョーンズの急成長。

 プレイする見せ場が多くなっていること。

 ストーンズ側が見せ場を作っているといっても過言ではない。

 「ミス・ユー」のロング・プレイが見もの。

  ④ リサ・フィッシャーが増量。

 あのソウルの女王、アレサ・フランクリンを彷彿させる豪快な歌いっぷりと迫力満点のカラダ。

 「ギミー・シェルター」のリサは、いつにもまして凄かった。

  ⑤ キース・リチャーズの銀髪。

 ここ数年で急激に年をとったなという印象がある。

 演奏も以前のような迫力は感じないし、もはやピークはすぎたなって感じかな。

 でも、それに反して、歌はとても奥深く、技術的にも歳を重ねるごとに向上している。

 いつからこんなに歌がうまくなったのか。

 ⑥ やはり、今回の目玉はゲストとして参加したミック・テイラーのプレイだ。

 あの頃(44年前)のように黙々と演奏する姿は変わらないけど、ステージの中央に、誰よりも前にきて演奏する姿は自信に満ち溢れていた。

 「俺は、この場所に帰ってきたぞ」。

 その思いが一番強いのは彼かもしれない。

 「ミッドナイト・ランブラー」は必見。

 今回のコンサートは、ストーンズのメンバーよりもその脇を固める演奏者が僕の目には新鮮に映ったが、もちろん、ミックや他のメンバーも見どころ満載の映像である。

 さて、休日にもう一回観るとするか。

 まだまだ未発見な映像もあるかもしれないぞ。