音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

JOSS STONE 『THE SOUL SESSIONS VOL 2』

2012年08月25日 | インポート
 

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  ジョス・ストーンの新作は、2003年のデビュー作『THE SOUL SESSIONS』の続編。前作同様ベティ・ライトが全面的にバックアップしたソウル・カヴァー集の第2弾だ。
 1960年代から1970年代を中心にあまり知られていないソウルミュージックを発掘した意味深いコンセプトで制作されている。The_soul_sessions_vol_22
 個人的には「TEARDROPS」がベスト・トラックだろうか。
 原曲はウーマック&ウーマックの1988年リリース『CONSCIENCE』に収録されている。
 リンダが歌う「TEARDROPS」はとてもクールで耳に心地いい。
 それに比べ、ジョスが歌う「TEARDROPS」は、粘っこく、こちらのほうが黒っぽさが強調されているような…。

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YouTube: Womack & Womack - Teardrops

今から約9年前にリリースしたデビューアルバム『THE SOUL SESSIONS』は、ソウルミュージックに縁遠い音楽ファンのみならず、ソウルのオールドファンの度肝を抜いた。Photo_3
 それは弱冠17歳の少女にしては極めて円熟した歌声だったのだ。
 デビューから9年が経過し、彼女の周囲はデビュー当初の頃と違い、ただならぬ喧騒と混迷が渦巻いていた。
 昨年は、ミック・ジャガー等とともにスーパーへヴィというグループを結成し、そのレコーディングで意気投合したユーリズミックスのデイヴ・スチュアートと『LP1』をリリースした。
 しかし、ここ数年の彼女の動向や身に起こった災難などを考えると、決していい環境にいなかったことだけは事実だ。
 音楽的なブレが出始めていた『LP1』からはソウルへの一途さは希薄となり、スーパーへヴィへの参加にしてもファンを不安にさせる材料のひとつには違いなかった。Joss_stone_lp
 とはいえ、スーパーへヴィにしろ『LP1』にしろ、彼女自身、ある程度のクオリティを維持しつつも、次に行く方向性を模索していたような気がする。
 そうして近頃リリースされた『THE SOUL SESSIONS VOL 2』がその答えであったように思う。
 混迷に至ったとき、彼女は原点に戻ることを選択した。
 戻る場所を持っているシンガーはやはり強い!
 次に紹介する映像は、ジョス・ストーンがカヴァーした「TEARDROPS」のスタジオライヴ。
 アルバムに収録されているものと違い、限りなくアンプラグドに近いアコースティックヴァージョンだ。
 これもなかなかいいね。

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YouTube: Joss Stone - "Teardrops" LIVE Studio Session


セレブの肖像―ケヴィン・ウエステンバーグの視線―

2012年08月18日 | インポート

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  今月16日、神戸ファッション美術館の写真展『セレブの肖像-ケヴィン・ウエステンバーグの視線-』を見に行きました。

 アイランドセンター駅を降りてすぐのところ。

 建物の前には大きな水路があって、そこでは子供たちが水浴びをしていました。午後の日差しが暑く照りつけ、巨大なポスターの前で記念撮影をしましたが、木々が日光を遮り、あいにく被写体に影を作ってしまった。

 けれど、予想外にも写真展のポスターは光の反射もなく、良い塩梅に写っている。

 建物の中は重厚な自動扉。入ってすぐ右手に受付があり、そこで入館料(コープこうべ会員証提示で一般500円⇒400円に割引)を支払い、トイレを済ませてから、いざ観覧。

 薄暗い空間にはライトアップされた巨大なフォトグラフが壁一面に所狭しと飾られていました。Photo_2

 もともと建築家を目指していたケヴィン・ウエステンバーグがいかにして写真家になったかについては僕の拙い説明よりも⇒こちら

 長きにわたり音楽写真家として名を馳せ、多くの有名なミュージシャンやセレブリティを撮り続けて今年で20年。

 彼が撮り続けた作品は今も、膨大な数の雑誌やCDの表紙を飾っています。 

 とにかくキース・リチャーズのフォトがよかった。ただ年老いた老人の姿を撮っただけなら見る側に感動は与えない。

 顔に刻まれた傷のような皺の奥深くにストーンズの栄光と苦難とロックの継承者としての使命感すら覚える。ロック人生50年。たかがロックかもしれない。

 けれど、それを50年も続けると軽々しく口にできない重みを感じる。

 ちなみに帰りに「ケヴィン・ウエステンバーグ写真集」を購入。インターネットで購入希望者は、⇒こちらを

 *最後に交通ルートを記しておきます。あとで気づいたんですけど、三ノ宮から直通のシャトルバス便があるみたいです。こちらのほうが電車を利用するより格安になるみたいです。

■特急バス 「豊田」発-「三ノ宮」着

■JR     「三ノ宮駅」発-「住吉駅」着

■阪神電車 「住吉駅」発-「魚崎駅」着

■六甲ライナー 「魚崎駅」発-「アイランドセンター駅」着、下車。東南へ徒歩すぐ。


ブルースが輝きを取り戻した瞬間、『ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ』

2012年08月05日 | インポート

Muddy_waters   結成50周年を迎えるザ・ローリング・ストーンズとマディ・ウォーターズが同じステージで共演したライヴDVD『ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ』が最近リリースされた。

 実際には、チャーリー・ワッツとビル・ワイマンを除くメンバーのみが参加し、ピアノでイアン・スチュアートが参加している。

 大御所が登場するまでの場繋ぎ的に演奏する連中のブルースもなかなか良くてつい聴き入ってしまうが、いよいよマディがステージに立つと場の空気は一変する。

 バックで演奏するギター弾きのプレイとは違い、荒々しいけれど、独特のボトルネック奏法で聴衆を魅了するマディの演奏は「さすが、キング・オブ・ブルース!」と思わず叫んでしまいそうなほどに素晴らしい。

 お忍びでやって来た感じのミック、キース、ロニーの面々が、マディが歌う前の席に陣取り、まるで招待を受けたVIP待遇のお客のようにリラックスしている。

 彼らの存在に気づかないように演奏に聴き入っているほかの客の反応にも驚いたけれど、ストーンズのメンバーが、一般客のように酒を飲みながらライヴを楽しむ姿にも驚かされた。

 このライブハウスは異空間のようだ。さしずめストーンズのメンバーもマディの一ファンに戻り、この場の雰囲気というか、ライヴの熱気に呑みこまれているようだ。 Tatoo_you_3

 1981年というと、あの『刺青の男』がリリースされた年だ。70年代のリメイク。音楽的枯渇などこの頃のストーンズのイメージは決していいものではなかったけれど、音楽的な完成度は高く評価され、『刺青の男』は80年代における傑作アルバムと謳われた。

 僕は『刺青の男』を聴くと何となくマディ・ウォーターズとザ・ローリング・ストーンズが共演を果たしたこのライヴ映像を思い出す。

 初めて観たのは、結成25周年記念ビデオのショートカット版で、YouTubeでも関連映像を観た事もあるけど、この『ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ』で完全版が観られた事にとても感謝している。

 バディ・ガイやジュニア・ウェルズの姿も拝めた。この頃のマディは一時期のパワーを取り戻したように溌剌としてとても若々しい。

 ミックもキースも若い。イアンのピアノがスウィングしてる。

 イアンか…この頃は元気だったのにね。

 もしもこのライヴがなかったら、『シャイン・ア・ライト』もまた別のコンセプトになっていたかもね。

 ストーズとバディ・ガイが同じステージに立ち、あの歴史的ライヴで共演したのは、きっとマディの存在が大きかったと思う。

 『刺青の男』の「ブラック・リムジン」はマディへのオマージュいっぱいなブルース・ナンバーでこのアルバムの中で最も好きな曲である。

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YouTube: The Rolling Stones - Black Limousine - Hampton Live 1981 OFFICIAL

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YouTube: Muddy Waters & The Rolling Stones - Mannish Boy - Live At Checkerboard Lounge