音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

B.B.KING / DEUCES WILD

2007年07月14日 | B.B.King
Deuces Wild

Deuces Wild
価格:¥ 1,288(税込)
発売日:1997-11-04

(★★★★★)

 降っています、雨が。台風4号が接近しています。その影響か、熄む気配がありません。今日は午後から会社を退けて土砂降りのなか、母親を車に乗せてマックスバリューへ。CDデッキにB.B.KINGの『DEUCES WILD』を挿し込む。この雨音に負けないくらいのサウンドとB.B.キングのヴォーカル、そしてギター。この特徴のある歌いっぷりとジャズ・ギターのような音色が好きなんだよね。この何ものにも染まらない強烈な個性が。

 この『DEUCES WILD』もB.B.キングの最近のアルバム傾向として定着してきているデュエット・アルバムだ。しかしながらこれは単なるデュエット・アルバムではない。まず、その顔触れを見ていただこう。ヴァン・モリソン、トレイシー・チャップマン、エリック・クラプトン、ミック・ハックネル、ボニー・レイット、ディアン・ジェロ、ユールス・ホランド、Dr.ジョン、マーティー・スチュアート、ディオンヌ・ワーウイック、ポール・キャラック、ズッケロ、ジョー・コッカー、ヘヴィ・D、デビット・ギルモア&ポール・キャラック、ウイリー・ネルソン、そして我がアイドル、ローリング・ストーンズ!全17曲。殆ど道楽である。

 タキシードに蝶ネクタイ。正装したB.B.キングがやる気満々でルシールを抱えながら、どっかりと腰をおろしている。『DEUCES WILD』を暗示したKと2のトランプ・カード。今度はどいつとデュエットだ?と、言わんばかりの迫力のあるヴォーカルとギターに、組まされたミュージシャンはたじろいでいるのがわかる。ローリング・ストーンズでさえ「Paying the cost to be the boss」でやや遠慮気味にプレイしている。ミックのヴォーカルはいつもより抑え気味だ。反対にB.B.キングの声は冴え渡っている。ところがさすがストーンズ! 押さえどころは心得ている。オレ様を忘れるなよ!といわんばかりの曲中盤のギターソロはキース・リチャーズだ。ややたどたどしくといおうか、詰まりながら弾くスタイルはキース独特のもので、ファンならすぐにわかる。後半の締めとなるハーモニカを吹きまくっているのはミック・ジャガーだ。B.B.キングも褒め称えたミックのハーモニカはこの曲での一番の聴かせどころであろう。B.B.キングの代名詞ともなっている名曲「hummingbird」をB.B.キングと共に一緒にデュエットしているのはディオンヌ・ワーウイックだ。これがこのアルバムでもっともいかしたナンバーとなっているのは、ディオンヌ・ワーウイックとB.B.キングのヴォーカルが一体化して、決して気取ることなく調和が取れているためだ。とにかく…、とにかくこの「hummingbird」だけは聴き逃がさないでいただきたい。目を閉じながら満足そうに微笑んでいるB.B.キングを象徴する素晴らしいアルバム。それが『DEUCES WILD』である。最後に「the thrill is gone」をあのトレイシー・チャップマンとデュエットしているPVがあるのでご覧ください。このナンバーも鳥肌ものですぞ。

B.B.KING&TRACY CHAPMAN/the thrill is gone


B・Bキング 80歳記念アルバム

2007年03月11日 | B.B.King
80

 80
価格:¥ 2,548(税込)
発売日:2005-10-26

お薦め度(★★★★)

 お疲れ様という以外にない。80歳の大台に乗ったB・Bキングの93年から頻繁にリリースされ、定番化しているデュエットアルバムの新譜だ。これほど愛され、長きに渡り新譜を量産しているブルースマンはさすがにいないだろう。B・Bキングといえばもう自らのスタイルを確立しているミュージシャンだ。あの太く説得力のあるヴォーカル。独特の泣きのブルース・ギター。誰にも染まらず、多くのミュージシャン達にリスペクトされ続ける偉大な男。そんな男がヴァン・モリスンやエリック・クラプトンらとトリビュートアルバムを完成させた。過去に発表した93年の『ブルース・サミット』、95年の『ルシール&フレンズ』、97年の『デューシス・ワイルド』に続くデュエット企画盤であり、それらを凌ぐ楽曲で占められている。楽曲の殆どが過去に吹き込んだナンバーの再録音だが、ご存知シカゴ・ブルースの大御所であるジミー・ロジャーズの名曲『ロック・ディス・ハウス』をエルトン・ジョンと共に挑戦している。『80』を冠した素晴らしいブルースアルバムの完成をひとりのブルース・フリークとして祝いたい。