Deuces Wild
価格:¥ 1,288(税込)
発売日:1997-11-04
(★★★★★)
降っています、雨が。台風4号が接近しています。その影響か、熄む気配がありません。今日は午後から会社を退けて土砂降りのなか、母親を車に乗せてマックスバリューへ。CDデッキにB.B.KINGの『DEUCES WILD』を挿し込む。この雨音に負けないくらいのサウンドとB.B.キングのヴォーカル、そしてギター。この特徴のある歌いっぷりとジャズ・ギターのような音色が好きなんだよね。この何ものにも染まらない強烈な個性が。
この『DEUCES WILD』もB.B.キングの最近のアルバム傾向として定着してきているデュエット・アルバムだ。しかしながらこれは単なるデュエット・アルバムではない。まず、その顔触れを見ていただこう。ヴァン・モリソン、トレイシー・チャップマン、エリック・クラプトン、ミック・ハックネル、ボニー・レイット、ディアン・ジェロ、ユールス・ホランド、Dr.ジョン、マーティー・スチュアート、ディオンヌ・ワーウイック、ポール・キャラック、ズッケロ、ジョー・コッカー、ヘヴィ・D、デビット・ギルモア&ポール・キャラック、ウイリー・ネルソン、そして我がアイドル、ローリング・ストーンズ!全17曲。殆ど道楽である。
タキシードに蝶ネクタイ。正装したB.B.キングがやる気満々でルシールを抱えながら、どっかりと腰をおろしている。『DEUCES WILD』を暗示したKと2のトランプ・カード。今度はどいつとデュエットだ?と、言わんばかりの迫力のあるヴォーカルとギターに、組まされたミュージシャンはたじろいでいるのがわかる。ローリング・ストーンズでさえ「Paying the cost to be the boss」でやや遠慮気味にプレイしている。ミックのヴォーカルはいつもより抑え気味だ。反対にB.B.キングの声は冴え渡っている。ところがさすがストーンズ! 押さえどころは心得ている。オレ様を忘れるなよ!といわんばかりの曲中盤のギターソロはキース・リチャーズだ。ややたどたどしくといおうか、詰まりながら弾くスタイルはキース独特のもので、ファンならすぐにわかる。後半の締めとなるハーモニカを吹きまくっているのはミック・ジャガーだ。B.B.キングも褒め称えたミックのハーモニカはこの曲での一番の聴かせどころであろう。B.B.キングの代名詞ともなっている名曲「hummingbird」をB.B.キングと共に一緒にデュエットしているのはディオンヌ・ワーウイックだ。これがこのアルバムでもっともいかしたナンバーとなっているのは、ディオンヌ・ワーウイックとB.B.キングのヴォーカルが一体化して、決して気取ることなく調和が取れているためだ。とにかく…、とにかくこの「hummingbird」だけは聴き逃がさないでいただきたい。目を閉じながら満足そうに微笑んでいるB.B.キングを象徴する素晴らしいアルバム。それが『DEUCES WILD』である。最後に「the thrill is gone」をあのトレイシー・チャップマンとデュエットしているPVがあるのでご覧ください。このナンバーも鳥肌ものですぞ。
B.B.KING&TRACY CHAPMAN/the thrill is gone