音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

暑中お見舞い申し上げます

2009年07月19日 | インポート

The Rolling Stones -Shine A Light (DVD)

ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト デラックス版 [DVD]

 このタイミングでどうかとは思ったのですが…このブログをごらんの皆さん、暑中お見舞い申し上げます。毎日暑い日が続きますね。日本全国ほぼ平均的に毎夜、熱帯夜が続いていると思うのですが、いかがお過ごしでしょうか? 自称音楽フリーク(?)のわたくしめはもう完全に夏バテです。原因は自分でも自覚しているのでこの際くどくどと書く気はございません。とにかく、この梅雨独特の蒸し暑さに参っているわけです。えっ? それはお前だけではない?…これは的確なご指摘ありがとうございます。 

 さて今回はこの辺で冒頭のつまらない挨拶を終えることにして最近購入したDVDについて語らせてください。そう、僕も遅ればせながらローリング・ストーンズの『Shine A Light』を買っちゃいましたよ。発売日から数日遅れですが、当初は豪華なコレクターBOXを購入しようと思っていたのですが、ショップの「ポスター付き」の誘惑に負けてとりあえず通常版を買ってしまったわけです。豪華版はオリジナルTシャツがついてくるんですね! まあ、それ欲しさにってことはないですが、来たる(もう来てるか…)ブルーレイ時代を見据えてブルーレイ版を買っておいてもいいかなとは思っているんですがね…

 それにしてもDVDで発売された『Shine A Light』は特典映像が凄すぎて本編そっちのけで観ているんですよ。まず、今回の企画では本編からはずされた4曲のライヴ映像と本編からのライヴ映像をマルチアングルから観ることができる映像が4曲あるんです。これがファンにとっては嬉しいですね。これでようやく、サントラ盤との整合性ができてしまうわけで、ひとまず胸にわだかまっていたもやもや感は解消しますね。

 「アンダーカヴァー・オブ・ザ・ナイト」と「リトルT&A」の特典映像が個人的にはよかった。オリジナルアルバムの『アンダーカヴァー』とは一味違う21世紀風アレンジがライヴならでは。キースが歌う「リトルT&A」は『ア・ビガー・バン』のDVDと同じく落ち着いた雰囲気です。『刺青の男』だったかなぁ、原曲はもっとラフでストレートな感じだったけど、この曲を歌うキースはまるでフランク・シナトラみたいな雰囲気を醸し出しているんです。

 でもってもうひとつのマルチアングル映像はそれよりもさらに見応えあり。オリジナル映像とメンバーひとりひとりを捉えた映像の5パターン。特筆すべきは、チャーリー・ワッツを撮ったカメラワーク。これが凄かった。ちょうど、チャーリーの目線からステージとメンバー、それに観客を捉える映像ってそんなに頻繁には観られないはずですが、曲の頭からこれが観られるっていうのはなんて新鮮なんだろう。っていうか、どうしてこれまでこんな試みをしなかったのかが不思議。VHSならともかく、DVDなら可能だったはずですからね。これはこのDVDでの最大の収穫。ドラムを豪快に叩くシーンはまさしくドラマーの教本。これが観られただけでも買った甲斐があり、と思わせる内容です。

 こうしてみると、ストーンズを操作しているのは、チャーリー・ワッツではないかと錯覚するくらい彼はメンバーやコンサートの状況をよく観察しています。若い頃、ストーンズはミックとキースがいたら成立するバンドなんだと思っていましたが、これは大きな間違い。メンバーに辞められると困るっていうのは単に膨大な曲を覚えるのが困難だからというのではなく、根本的に代わりがいないバンドなんだと思う。

 そもそも毎回ベストなプレイができるわけではないから、メンバーのひとりが調子悪いと、ほかのメンバーがうまくフォローしあう。「ありがとな、この借りはきっと別のツアーでするから…」というわけです。それでライヴを通して友情や信頼感を築いてきたストーンズだからこれまでずっと続けてこれたわけなんだと思う。まあ、これはあくまで僕の想像ですけどね…。

 お互いの関係は家族以上なんでしょうね。「ここが俺の特等席」と豪語してキースはチャーリーのドラムセットの前に立つ。メンバーの中でひときわクールな男が刻むドラム。なにも説明されなくても、「あっ、チャーリーのドラムだ」とわかるスネアやシンバルの音。ここにもストーンズの長寿の秘密があるような気がして…

 でもなんだかんだ書きましたけど、冷静に考えると彼らはもう還暦を過ぎたお爺さん達ですからね。それを観て歓喜するエキストラみたいな美男美女も、古くからのオールドファンや僕みたいな中途半端なファンもずっと彼らよりも若いですから、…そんな老人バンドに熱くなってる我々は何なんだろうといつも思うわけです。

 まあそうはいってもこれからもずっとストーンズの後ろを追いかけるファンには違いないのだろうなぁとは思っています。早々に辞めて伝説になったバンドもいる。けれど、生き続けて伝説になるバンドは少ない。杖を突いた観客が観ているステージで昔と変わらず、ピョンピョン跳びはねているミックが観てみたいものです。こんな風に冗談で言っても現実的にそうなるからこのロックバンドはおそろしい…

 ところで、本編で一番気に入っているのがクリスティーナ・アギレラとの競演。でも、この映像の右下にブードゥ・ラウンジのデザインがあるのは凄く気になりますなぁ。