音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

アイ・ゴット・ザ・ブルース

2008年10月03日 | Rolling Stones

 今夜は久し振りにビール片手にローリング・ストーンズの『スティッキー・フィンガーズ』を聴く事にした。この頃のものはなぜか腰を据えて聴いた事がないので、久し振りとなると新鮮だ。僕が持っているのはソニーレコーズのCD。LP盤はジーパンの股間にファスナーが付くという念の入れようでかなり凝った作りのアルバムだったのを記憶している。

 テイラー期のアルバムは追体験によるもので、この『スティッキー・フィンガーズ』もストーンズがソニーレコーズに移籍した頃に購入した。初回盤は確かレーベル面が銀色、僕が所有している奴は黒色なので、どうも何度か再販された内の廉価盤を僕は買ったらしい。廉価盤だから値段が超安い!だが、デジタルリマスターされていないこの頃のものは、アナログ的に音が籠もった感じがして好きだ。最近は何でもかんでもリマスターしたがるけど、レコードの耳障りなノイズを嫌ってすこしくらい高くてもCDを買っていただけなのに、音が良過ぎて原曲の良さもぶち壊すような技術的配慮には些か疑問を感じる。

 この頃のロックなアルバムを聴くと追体験なのにカネのなかった少年時代を回想させる。容易く高価なレコードを買えなかった時代に対して、今はネットでしかも安く手に入る。あの頃に比べて今は物も大事にしなくなったし、物の価値観も随分変わってきた。技術躍進や合理化が進む一方で、僕らはレコードの持つ古色蒼然とした存在感や暖かさを喪ったような気もしている。

スティッキー・フィンガーズ スティッキー・フィンガーズ
価格:¥ 2,548(税込)
発売日:1994-08-31

 ―収録曲―

  1. BROWN SUGAR
  2. SWAY
  3. WILD HORSES
  4. CAN'T YOU HEAR ME KNOCKING
  5. YOU GOTTA MOVE
  6. BITCH
  7. I GOT THE BLUES
  8. SISTER MORPHINE
  9. DEAD FLOWERS
  10. MOONLIGHT MILE

 

  僕は今までずっとストーンズを愛してきて良かったと思っている。同じ思いを共有できる人にも出会えたし、ブログで自己啓発する事も叶った。ストーンズを愛する事は異性を愛する事とは又別の次元に位置付ける事なのは言うまでもない事なのだが、僕の場合は常に特別な存在であった事だけは確かだ。

 僕は今、『スティッキー・フィンガーズ』を耳にヘッドフォンを当てながらひとつひとつの音を聴き逃すまいと努めながら聴いている。ストーンズは何回聴こうが何十回聴こうが何百、いや何千回聴こうが常に新しい発見があると思う。生きている内に果たして何度こんな感想を抱きながら聴けるのかは今の段階ではいえないけれど、このアルバムに限らず、ストーンズが作り出したアルバムの音作りは、今にして思えば緻密に計算された所以だとも思うのだ。『スティッキー・フィンガーズ』…純な人であれば、意味を知れば顔を赤らめてしまうようなタイトルだ。この頃に比べると、『ア・ビガー・バン』はなんて紳士的で、知的なんだろう。ストーンズはたえず時代を見据えてアルバムを作ってきた。それがアルバムにしっかりと何の虚飾もなく刻み込まれた。それだけ今の世の中が平穏で豊かになった証なのだろうか。「少しばかりつまらなくなったな」、そう思うのはたぶん僕だけではあるまい。

♪I GOT THE BLUES


ブルースは糞溜めに棄てろ!

2008年09月23日 | Rolling Stones

Rolling_stones

 若い頃、僕は胃潰瘍が悪化し、便所で嘔吐した。吐瀉物で白い便器が汚れ、その中に血が混ざっていた。その時僕は死ぬのかと思った。腹部に激痛が走る。半身を屈めないと激痛に耐えられない痛さ。それでも夜勤を終えると車を運転して近くの診療所に駆け込む。蒼褪めた僕の顔をみた看護婦が只ならぬものを感じて即、診察室へ連れて行く。そこで下された病名は、「胃潰瘍」もしくは「十二指腸潰瘍」。早速簡易ベットに寝かされ点滴の準備。右腕に針を刺され、袋に入った黄濁の液体が体内に入っていく。冷たい液体が体の中を巡回するのがわかった。

 「どうしてこんなになるまで放置していたんですか」と診察医は眉間に皺を寄せて訊いた。

 「でも仕事が…」

 「仕事と体とどっちが大事なんですか? もう少し処置が遅れていたら大変な事になっていたんですよ!」と恫喝された。

 結局しばらく通院する事になり、ほとぼりが冷めた頃に内視鏡検査を受ける事になった。その時貰ったいくつかの錠剤は勿論もう飲んではいないが、今でも数種類の錠剤を別の病気の為飲んでいる。子供の頃は至って健康体で、高校の頃は陸上競技で二百メートル走の選手だった。中学時代にバレーボールをやっていたお陰で瞬発力が良くなり、高校に入学してすぐ陸上部に入部した。持久力ではいつも学年上位。よもや社会人になってこのような病気をするなど想定外のことだった。幸い、何度か再発はしたものの、今年になってピロリ菌の除菌により、胃潰瘍は完治した。

 こんな経験があって以来、僕の中で心境的な微妙な変化が起きた。確かに僕の場合は若い頃にこのような病気の経験をしているので、余り無理をしなくなった。偏頭痛持ちだが、薬を飲んで傷みが治まらないようなら、迷わず休みを貰った。中性脂肪が人一倍多いので、油物やドカ喰い、飲酒はなるべく避けた。運動もするようになった。

 体重が50キロを切って腰骨と肋骨が浮き出た身体は無残なものだ。セックスにも張りがない。張りがあるのは女の円いお尻だけ。女は、ベットの上で腹這いになってお尻だけを掲げてみせる。当時付き合っていた女は肌が白かった。尻の蕾も丸見えで、なぜかそこだけは褐色だった。尻の隆起を摑んで後背位の姿勢。微妙な間合い。結局、中には出せず、女の髪を鷲摑みにして、無理矢理アレを捻じ込む。勃ってくる。泣きながら腰を使った。女も泣いていた。ショートカットの毛先が僕の腿に触れ、僕のアレは堪え切れずに爆ぜた。泣きながら舌で精液を絡め取るその女とはもう別れたけれど、もうあんな酷い事はしないと誓った。胃潰瘍で吐瀉物に血を混ぜた僕の口は、紙で拭う時、汚物と一緒に僅かながら赤い血が附着していた。その時泣きながら口を拭き、それでも仕事をしていた僕は、数日たって、女の口腔に白濁を射精していた。どちらも汚物だ。一方は便器で一方が女の口という違いはあれど…。

 気を取り直して、きょうは『ベガーズ・バンケット』を聴く。LPではジャケットデザインが物議を醸し、真っ白なアルバムジャケットに変更させられた曰く付きのアルバム。CD化になり始めて当初のデザインが復活! まさしくこれは僕が苦渋を飲まされた便所のデザイン。卑猥な落書きともろブルースを体感できる楽曲。アルバムの顔ともいえる「悪魔を憐れむ歌」は当時も今もべストトラックだ。でも僕はあの頃、糞溜めにブルースを棄ててきた。この意味がわかるかい? だから僕は『ロックンロール・サーカス』の「悪魔を憐れむ歌」を観るまでこの曲を封印してきたのさ。

ベガーズ・バンケット ベガーズ・バンケット
価格:¥ 2,800(税込)
発売日:2008-08-02

―収録曲―

  1. SYMPATHY FOR THE DEVIL
  2. NO EXPECTATIONS
  3. DEAR DOCTOR
  4. PARACHUTE WOMAN
  5. JIG-SAW PUZZLE
  6. STREET FIGHTING MAN
  7. PRODIGAL SON
  8. STRAY CAT BLUES
  9. FACTORY GIRL
  10. SALT OF THE EARTH

恋をするって事

2008年09月13日 | Rolling Stones

Shinealight1

 ローリング・ストーンズの『シャイン・ア・ライト』公開が待ち遠しい。いっとき、日本では公開されないとか噂されていたようだけど、いよいよ2008年12月5日に公開される事に決定したらしい。⇒映画『SHINE A LIGHT』公式サイト。この映画公開に関していえば、僕自身も大いに期待していて、出来れば観に行きたいと思っている。けれど、たとえその機会を逃してもいずれはDVD化されて観る事ができるので、なんとなく今回ばかりは安心している。そこがライヴとは違うところだ。映画の場合はライヴのような切迫感がない訳で、実のところ僕もその時になってみないと判らない。これまでから待たされるだけ待たされて公開中止という可能性もきっとあった訳で、そのあやふやな情報のお陰で、最近はDVDが観れるならいいやという気持ちにもなっている。

ザ・ローリング・ストーンズ×マーティン・スコセッシ「シャイン・ア・ライト」O.S.T. ザ・ローリング・ストーンズ×マーティン・スコセッシ「シャイン・ア・ライト」O.S.T.
価格:¥ 3,800(税込)
発売日:2008-04-09

 YouTubeでは予告編を手軽に観る事ができるので公開前だというのに、凡その劇場の雰囲気をなんとなくだが掌握したような気持ちにもなっている。それと公開に先立って発売されたサントラ盤の『シャイン・ア・ライト』の音源からもそのライヴならではの迫力が伝わってくるので、あえて本当に観る必要があるのかという疑問すら湧いてくる。とはいっても耳で聴いたものと映像から得たものとでは比べようもない緊迫感がある筈だ。今度はどんなパフォーマンスをみせてくれるのかとか、ゲストとして招かれたジャック・ホワイトやバディ・ガイ、クリスティーナ・アギレラと名曲の数々をどんなふうに料理しているかなど、正直興味が尽きない。

 「ラヴィング・カップ」なんてオールドソングに思わず感動したり、歳甲斐もなく「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ(涙あふれて)」で涙潤ませたり、バディ・ガイと録ったマディ・ウォーターズの「シャンペン&リーファー」でブルースの心の邂逅をしたり、キース・リチャーズが歌う「ユー・ガット・ザ・シルバー」を聴きながら久し振りに『ベカーズ・バンケット』が聴きたくなる衝動と闘いながら、僕は全くもって十代の頃から何も変わらないのだと気付かされる。一つのロックバンドに拘り続けるという事、それは即ち僕が未だに大人になっていないという確かな証拠であろう。ストーンズに出会ってからもう30年を迎えた。好きな女をずっと愛し続ける事も難しいのに、僕はこんな歳になっても、ずっとこのバンドに恋をし続けている。

♪Rolling Stones w. Buddy Guy - Champagne & Riffer (live 2006)

♪Rolling Stones - You Got The Silver (live in NY 2006)


今宵は珍品づくし

2008年07月13日 | Rolling Stones

 久し振りにローリング・ストーンズの『レアリティーズ』 を聴いた。『レアリティーズ』は『ア・ビガーバン』と『シャイン・ア・ライト』に挟まれるようにリリースされたのだが、アウトテイクやライヴ音源を中心に構成されていた為、インパクト的にはネタ切れの印象も否めなかったが、内容的にはこれがなかなかのもので、個人的には「IF I WAS A DANCER」がベストトラックだった。この曲は『エモーショナル・レスキュー』に収録された「DANCE」の別テイク。このナンバーについてはキース・リチャーズが強く推していたインストゥルメンタル・ヴァージョンがあるとはきいていたが、このヴァージョンはヴォーカル入りなのでそれとは違うようだ。いずれにしても発売当時からずっと聴きたかった別バージョンがこのアルバムで聴けたのは嬉しかった。

 「MIXED EMOTIONS(12"VERSION)」も気に入っている。オリジナルは『スティール・ホイールズ』だ。イントロのキースのギターソロがいいね。思わず体が動き出すようなロックのリズムだ。ひょっとしたらこちらの方がオリジナルのよりいいんじゃないかなとも思ってしまう。さすがに「珍品」と謳ったアルバムだけに興味の尽きないアルバムだ。冒頭で「アウトテイクやライヴ音源を中心に構成されたアルバム」と書いたけど、勿論、「THROUGH THE LONELY NIGHTS」や「LET IT ROCK」みたいなテイラー期の埋もれた音源もあるので往年のファンもそれなりに楽しめる内容になっている。未発表音源だけで一枚のアルバムを作ってしまうんだからきっとストーンズは今も無尽蔵な”隠し財産”を持っているんだろうね。

Rarities 1971-2003 Rarities 1971-2003
価格:¥ 3,042(税込)
発売日:2005-11-28
―収録曲―

  1. FANCY MAN BLUES
  2. TUMBLING DICE(LIVE)
  3. WILD HORSES(LIVE STRIPPED VERSION)
  4. BEAST OF BURDEN(LIVE)
  5. ANYWAY YOU LOOK AT IT
  6. IF I WAS A DANCER(DANCE PT.2)
  7. MISS YOU(DANCE VERSION)
  8. WISH I'D NEVER MET YOU
  9. I JUST WANNA MAKE LOVE TO YOU(LIVE)
  10. MIXED EMOTIONS(12"VERSION)
  11. THROUGH THE LONELY NIGHTS
  12. LIVE WITH YOU(LIVE)
  13. LET IT ROCK
  14. HARLEM SHUFFLE(NY MIX)
  15. MANNISH BOY(LIVE)
  16. THRU AND THRU(LIVE)

 今夜はこんな流れで僕的珍品映像をいくつか紹介しようと思っている。まず手始めはキース・リチャーズのソロプロジェクト第2弾アルバム『メイン・オフェンダー』に収録されている「HATE IT WHEN YOU LEAVE 」。このナンバーはこのアルバム中もっとも僕が気に入っているソウル風ナンバーで、曲調からもアル・グリーンを髣髴させている。こんな歌を聴くと、キースって男は心底ソウルを愛しているんだなぁと思ってしまう。

 つづいて紹介するのはアルバム『ヴードゥ・ラウンジ』に収録されている「LOVE IS STRONG 」をキースがヴォーカルをとっているヴァージョンだ。ずっと前に「アイリーン」のミニアルバムでキース版の「ギミー・シェルター」は聴いたことあるけど、今回のヴァージョンはおそらく初めての方が殆どではないだろうか。聴き応えがある「珍品」である。

 そして最後は、キース・リチャーズがニューオリンズのコンサート会場で「I’M READY」を歌っている映像だ。曲名からてっきりマディ・ウォーターズの曲かなとも思ってしまったのだが、聴いてみるとさりあらずカントリーロックのようなナンバーだ。おそらくオリジナルがどこかにある筈だが、…。前半のインタビューに答えて破顔するキースの瞳が不良少年のように輝いている。眼窩が窪んで精悍な目に優しさが宿るのはこのギタリストがロックを語るときだけのような気がする。老人になってもいつまでもロック魂を持ち続けるこのギタリスト/ヴォーカリストはまさしくロックの鑑だ。そしてこの映像をみると「世界で一番ギターが似合う男」だとも改めて実感する。


史上最強のボーカリストは誰だ?

2008年06月17日 | Rolling Stones

Photo_8 ローリング・ストーンズとの出会いはたまたま中学生の頃に聴いたFMラジオがきっかけだった。当時は余りロックの音楽雑誌など買ったことがなかったから専らロックとの繋がりはラジオが殆どといってよかった。その時聴いていたラジオ番組のDJが誰だったかは忘れたけれど、ゲストに竹中直人氏が招かれて、ロック談義を展開していたのは覚えている。そしてその中心になっていたのが、ローリング・ストーンズだったのだ。竹中直人氏がストーンズの大ファンであった事を知ったのもちょうどその番組からだった。話の内容なんかもとより覚えていない。もう30年以上も前の話だ。ストーンズってロックバンドも名前を知っている程度の知識だった。でもその時はっきり覚えているのは、竹中直人氏が「すげえ!」「最高!」を連発していたこと、その時懸かっていたレコードがストーンズのライヴ盤であったこと、そして日常ではけっして耳にする事のないその音に僕は甚く衝撃を受けたことであった。その時初めてストーンズというバンドのエネルギッシュなロックンロールを知ったし、ロックの「黒い」部分をはっきり意識したのもこの頃だった。そうして後年聴く事になる海賊盤ライヴや『レット・イット・ブリード』、そして僕にとって決定的となる『サム・ガールズ』や『刺青の男』と出会うのである。今でもそれらのレコードは大切に傍に置いている。『サム・ガールズ』なんかはCDを持っているのに時々レコードプレーヤーに懸けて聴いていたりする。そのレコードは、決まった場所でノイズが酷くなるんだけど、それも僕にとっては音楽の一部として享受できる。3年前、姫路の中古レコードショップで、中学生の頃にあのラジオ番組で懸かっていたレコードを買った。勿論CDでは持っているんだけど、僕にはどうしてもあの頃の記憶を埋める作業が必要だったかもしれない。下世話な話をすればそのレコードは当時3600円だった。当たり前の事だが、中古盤だと当時の価格よりも高くなる。正確な値段は覚えていないが概ね6000円くらいだったと記憶している。おそらく僕は価格の3倍の値段でも5倍の値段であっても買っていただろうと思う。マニア、否ファンとは本来そういうものなのだろうと思うのだ。あの頃ラジオから流れていた『ラブ・ユー・ライヴ』が僕にロックの扉を開いてくれたレコードだった。その衝撃波は今でも僕を刺激してやまない。

大人のロック!2008年夏号【Vol.15】 大人のロック!2008年夏号【Vol.15】
価格:¥ 880(税込)
発売日:2008-05-31

 さて本題はここからだ。普段僕は音楽雑誌は買わないことにしている。もっとも好きなバンドやアーティストが載っていたらつい衝動的に買ってしまうのだが、一度買ってしまうと本の類は捨てられないので、読み終わっても置き場所に困る羽目になり、仕方なく押入れの中に仕舞うのだが、もうそんな事を何十年も続けている男なので、最早押し入れもパンパン状態。結局押入れからはみだして畳の上に積み重ねている。その様は無様だ。とても客人を呼べるような状態になく、さながら物置小屋と化している。そんな訳で本屋に行っても大抵の場合は雑誌コーナーは素通りしてなるべくなら眼が留まらないように努力しているのだが、そこはCDが置いてある棚の傍に雑誌の棚があり、それはつい眼に留まってしまった。それは昨年から度々購入していた『大人のロック』。これはロックファンを唸らせるいい本である。でも買わないぞ、と念じながら、ふと表紙の人物を見てしまった為に禁断の掟を破ってしまった。

 2008年[夏]号の『大人のロック』は今号の目玉である「史上最強のボーカリストは誰だ?」という特集が組まれていた。表紙をみてミック・ジャガーが写っていたので中身も読まずになんとなく買ってしまったのだが、家に帰ってページを開いてみると、予想通りというか、全うな結果だなと思いながら読んでいたのだが、ミック・ジャガーがロバート・プラントやエリック・クラプトンを抑えての堂々のナンバー1ヴォーカリストという結果には驚かなかったけど、ロバート・プラントが4位っていうのが意外だったし、ジャニス・ジョプリンが2位に選ばれていたのには驚いた。ジャズやポップスと違い、ロックヴォーカルに求められるのは、歌の巧さだけではなく、歌い手の訴求力やカリスマ性、それとなによりも他に類を見ない独自性や個性が高く評価されるようだ。最近買ったローリング・ストーンズの映画サントラ盤『シャイン・ア・ライト』を聴いても判るようにミックのヴォーカルは随分ヴォーカルスタイルが変わってきたなという印象を持っている。日々進化し続けるシンガーとしての評価も加味された今回の結果だったのかなとも思う。 

ザ・ローリング・ストーンズ×マーティン・スコセッシ「シャイン・ア・ライト」O.S.T. ザ・ローリング・ストーンズ×マーティン・スコセッシ「シャイン・ア・ライト」O.S.T.
価格:¥ 3,800(税込)
発売日:2008-04-09

 新作を聴くとどういう訳か旧作を聴きたくなるのはファンとしての性だ。そこでこれを機会に数枚のアルバムを取り出して聴いてみたが、やはり良いですね。もう10年ぶりに聴く『ベカーズ・バンケット』や『山羊の頭のスープ』、それにミックが唯一失敗作と呼んでいた『アフターマス』なんかは月日と共に音が冴え渡ってくるような気がしている。

アフターマス(UKヴァージョン)(紙ジャケット仕様)

アフターマス(UKヴァージョン)(紙ジャケット仕様)
価格:¥ 2,548(税込)
発売日:2006-03-16

 

『アフターマス』には僕が好きな「アンダー・マイ・サム」が収録されている。「アンダー・マイ・サム」は元々ストーンズのライヴ盤で知ったナンバーなんだけど、ずっと誰かのカヴァーソングだと思っていた。ストーンズには余りに似合わない美しいナンバーだったし、当時はライナーも熱心に読まなかったのも原因しているんだよね。けれど、90年代の初めに『アフターマス』を聴いた時は驚いたね。「えっ、これってストーンズの曲だったの?」みたいなね。だからそれ以来ずっと「アンダー・マイ・サム」が聴きたい時は『アフターマス』を懸けている。勿論ライヴ盤のほうも大好きなアルバムなのだが。