音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

大事なお知らせ

2009年08月09日 | インポート

Keith_richards3_2

 当ブログもはじめてからもう3年近くになりました。当初は読書ブログとしてスタートし、以前ここでも書きましたように半年をめどに終了する予定でしたが、それから紆余曲折があり、その間に、皆さんのあたたかいコメントもいただき、現在に至りました。なにとぞ今後とも相変わりませずご愛顧よろしくお願いします。

 さて、冒頭に書きましたようにブログをはじめてもうすぐ3年。書きたいものもそのつど変わってまいりまして、今回、思案熟考重ねた末、表現の場をほかに移すことに決意しました。たいそう大袈裟に書いておりますが、要は主力を別に置き、当ブログはとうぶんの間、休止かもしくは最低限の投稿に留めるように考えています。

 表現の場を変えても著者はこれまでどおり何も変わりませんが、これまでブログの性質上お蔵入りになっていたような記事も書くことになるので、より幅広い視野で物事を描写することになると思います。

 ぼくも著者でありながら、当ブログの熱心な読者であることにかわりはなく、あらたな船出に期待感が膨らんでいます。音盤工房別館として始動することになるブログ名は「いつもおいらは夢の中~カルタ主義~」といいます。これまでのような音楽をメインにしたブログではないですが、勿論、音楽のことも書くつもりです。ですが、何を主体に書いていくかは今後の世の中の動向次第で変わることにもなります。

 最後になりましたが、メインブログである当ブログもこれまで通りマイペースで書いていきますので、あたたかい応援よろしくお願いします。


ノイズも音楽の一部~『女たち』を語る~

2009年08月05日 | インポート

Sugar_blue

 ローリング・ストーンズの『女たち』を僕は3枚持っている。最初に買ったLP盤とCBSソニー時代のCDとその後に買ったヴァージンのコレクターアイテムの紙ジャケット盤がそうである。

 よもやこの場で自慢話するつもりなどは毛頭ないのだが、CBS時代にリリースされたCDのアルバムジャケットというのがこれまたオリジナル版とは似ても似つかぬデザインであったのがその後に紙ジャケット盤を購入した理由になる。

 アルバムジャケットが音楽の重要なアイテムのひとつというのは、いまさら記することでもないと思うけれど、レコードを聴く愉しみは、まさに音楽のイメージを形にしたジャケットのデザインにこそアーティストのメッセージが込められており、だからこそ、音楽とは耳で聴き、目で楽しむ芸術であると思っている。

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 この『女たち』ではシングル曲の「ミス・ユー」が全米チャートNo.1を記録し、ジャンキーだったキース・リチャードがこれまでとは打って変わって意欲的に取り組んだアルバムでもあった。その変わりようを示すかのようにキースは芸名のリチャードを本名のリチャーズに改名、相棒ロニー・ウッドとともに新たなストーンズサウンドの構築に尽力している。

 さて、このアルバムにはクレジットされていなかったようだが、ヒット曲「ミス・ユー」で豪快なブルース・ハープを吹いているのが、当時殆ど無名だったシュガー・ブルー(写真上:映像下)というブルースマンであったことはあまりにも有名。

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発売日:2008-03-25

 現在も地道な音楽活動を続けているらしく、昨年にはアルバム『コード・ブルー』をリリースして、ますます脂の乗ったものすごいプレイを見せてくれている。

 話は、僕が持っているストーンズの『女たち』に戻るけれど、このアルバムのLP盤はターンテーブルに乗せると、いつ付けたのかわからないが、決まった場所でノイズがひどくなる。何度か聴いているうちに僕の不注意で付いてしまった傷のようだ。

 針飛びを起こすくらいひどくはないからずっと我慢して聴いていたが、爾来、僕はレコードはすべてカセットにダビングして、カセットだけを聴くようにしていた。もっとも今ではそのノイズも音楽の一部として共有できる。考えようによっては世界でたった一つの『女たち』でもあるわけだ(笑)。

 ちょっと前の話になるのだが、BS熱中夜話の今年1月のラインナップは「ロック黄金時代(60年代、70年代)」だった。おそらくこの番組は過去に放送されたBS音盤夜話の流れを汲むものではないかと思う。MCはビビる大木と田丸麻紀だが、ゲストとして萩原健太なんかが出演していると、BS音盤夜話『レット・イット・ブリード』の回で、ピーター・バラカンや近田春夫それにムーンライダーズの鈴木慶一なんかが、このビンテージ・アルバムについて熱く語っていたのを思い出す。 

 BS熱中夜話ではほかにもかまやつひろし、ローリー寺西なんかも出演していて、いかにもマニアックといったロック談義を白熱させるのだが、なかでも安齋肇と萩原健太が繰り広げるレコード談義は面白かった。レコードの話になると饒舌になるこのふたりの話に耳を傾け、「僕と同じじゃないか!」と安齋肇に賛同したり、「言われてみるとそうだ」と萩原健太を弁護したり、ジョーダン半分の安齋のトークにビビる大木が突っ込んだり、とても楽しい時間をすごさせてもらった。


キース・リチャーズの魔性の左手

2009年08月03日 | インポート

Keith_richards_2

 フジテレビが1993年10月から1994年3月にかけて20回にわたり放送した「音楽の正体」は、月曜午後11時から放送されていたこともあり、この番組を毎回欠かさず観たという人は非常に少なかったのではないかと思う。

 なにしろ、音楽について語られる番組なのにヒットチャートを紹介するようなくだけたところは微塵もなく、内容が専門的かつ高尚なところもあったので、なんとなくつけた番組で、音楽理論云々などという堅苦しい講釈を論じられると僕の場合、途端に見る気がしなくなる。

 そこで寝る前の何分間かの暇つぶしに見る程度の番組としてみていたわけだが、たまにしか観なかったので、この番組の第16回が、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズを取り上げた内容だったということ知らず、最近YouTubeを彷徨っていて偶然そのことを知ったわけである。

 テーマは、「キース・リチャーズ魔性の左手~偶成和音とは何か~」というもの。それにしても偶成和音なんて音楽用語は、これを観なければおそらく一生涯耳にする機会などなかったと思う。そもそもロックに刺繍音が使われていることさえ知らなかった男であるからして、勉強になるよなぁ、などと頼りなくも感動に咽び、前途多難な当ブログの行く末を案じる今日この頃である。

YouTube:楽の正体#16 偶成和音とは何か(1/3)

 さて、この番組でも取り上げている『スティッキー・フィンガーズ』の「ブラウン・シュガー」で偶成和音が効果的に使われ、ギターで言うところのサスペンション・コードがそれに深く関わっているなんて言うのも目から鱗的な情報だった。なんともこんな説明の後でこうして改めて「ブラウン・シュガー」を聴くとまた違った音楽の楽しみ方ができるというものだ。

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 最近、この『スティッキー・フィンガーズ』の高音質CD(SHM-CD)を購入したので、是非、この点に注意を向けながら聴いてみたいものだ。ローリング・ストーンズはかつてエリート意識の強いバンドと何かの専門誌には書かれていたが、パンクみたいな荒削りな演奏を聴くとどうしてもそこから美意識みたいなものは感じられなかったけれど、派手な早弾きに活路を見出すギタリストを尻目に、アイデアの積み重ねで作曲していたことを知ると、やはり当時からほかのバンドとは一線を画するところがあったんだろうなと思った。

 番組の終わりで解説者が言っているように「ブラウン・シュガー」から偶成和音を抜くと高校の文化祭のバンドのように礼儀正しくなる。そこに偶成和音を加えることで同じ曲が化粧を施したようにチャーミングになる。踊りながらでも酔っ払っていても弾けるこの曲をとことん分析したらきっとストーンズの隠れた秘密が垣間見られるかもしれない。

音楽の正体#16 偶成和音とは何か(1/3)

音楽の正体#16 偶成和音とは何か(2/3)

音楽の正体#16 偶成和音とは何か(3/3)