まずはじめに久しぶりの投稿だということを断っておきたい…
今年の夏はとにかく暑かった。
日本中が節電の夏だった。
かくいう僕自身も今年ばかりは節電に協力をさせていただいた。
今年ほど扇風機がフル稼働した夏もない。
文化生活に慣れ親しんだ僕の体はいつの間にか軟弱になり、ついクーラーの電源に手が届きそうになる。
それを押し留めたもの。それは言葉では説明できない、何かだ。
つい最近、コープにある喜久屋書店で中山康樹氏の『伝説のロック・ライヴ名盤50』を買って読んだ。
ふと、ロックについて考えてみたくなったためである。
内容的にもとても興味深い良書なんだけど、著者との趣向の違いからか僕的にはいくつか名盤が洩れているように思った。
今更AC/DCは外せない。
なんたってマイケル・ジャクソンが現れるまでは彼らがレコードセールスのトップだったのだから。
まさにロック界随一の成功者であり、公演では常にスタジアムを満杯にするモンスター・バンドなのである。
2009年の12月2日、4日、6日の3日間にわたりアルゼンチン・ブエノスアイレスRIVER PLATE STUDIUMで行われたライヴでは、その相変らずパワフルな姿を見せつけ、その模様は、『LIVE AT RIVER PLATE』として映像に収められた。
ここ十数年くらいの彼らの音楽活動をみていると、80年代中盤から完全復活を遂げる『THE RAZOR‘S EDGE』までの低迷期が嘘のように、まるで二十代の若者のように瑞々しく精力的だ。
その証拠に、これまで活発にライヴ音源を残さなかった彼らが久々に「THE RAZOR‘S EDGEツアー」のライヴ盤となる『LIVE』を発表したのを契機に、ツアーごとにライヴ映像を置き土産のように残してきた。
勿論、ライヴ盤『LIVE』も同時に映像化され、我々ファンの度肝を抜いた。
『LIVE AT RIVER PLATE』は『悪魔の氷/BLACK ICE』のライヴ映像として、少し前にリリースされたばかりだが、いつになく新作『悪魔の氷/BLACK ICE』からのラインナップが多いのが特徴だ。
アルバムの顔となる「ROCK N ROLL TRAIN」を皮切りに、「BIG JACK」や表題曲の「BLACK ICE」、「WAR MACHINE」までラインナップに加えている。
僕が記憶している限り、このようなライブ構成は初めてだ。
『BLACK ICE』もなんとなく、『BACK IN BLACK』を連想させるネーミングだから、もしかしたらこのアルバムに期するところがあったのかもしれない。
アンガス・ヤングは初期の頃のようなスクール・キッズの井出達をしてステージを縦横無尽に動き回る。
相棒のギブソンの真っ黒なSGを抱えながら。
あたかも会場がさざなみのように揺れ、俄かにはそれが人の群れだとは信じがたい。
防波堤のように設えたステージを濁声で歌いながら進むブライアン・ジョンソンに呼応するようにその波の揺れが大きくなる。
コーラス隊も、ホーンセクションもなくそのステージはやや華やかさにかけるもののそこは男臭いブルースで充満している。
陶酔と耳を聾するサウンド。
それに負けない観客の熱気と歓声。
世界でもっとも二酸化炭素を放出するロックンロール・バンドがここにいる。
エコとは無縁のバンドがいる。
そもそもロックとはこういうものだと、AC/DCは僕たちに教えてくれている。
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YouTube: AC/DC Live At River Plate: Rock`N`Roll Train HD