唯一、ソウル界に於いて「THE LAST SOUL MAN」の称号を与えられた男が逝った。
その男の名前は、ボビー・ウーマック。
その訃報を知ったのは、昨晩のことだった。
「うそだろ?」
思わず呟いた。
彼の名を知る者は、余程ソウルに造詣深い人物か、ローリング・ストーンズを知る人物以外は、おそらく少ないと思う。
最初に彼の名前を知ったのはローリング・ストーンズの『DIRTY WORK』だった。
あまり目立ったクレジットではなかったと思うが、名だたるゲスト陣(JIMMY PAGEやTOM WAITS)らの中に確かにBOBBY WOMACKの文字が読み取れ、そこから彼の音楽的足跡を辿ることになるわけだけれども、当時、彼の作品はレコード屋にもあまり置いてなくて、ようやく貸しレコード屋で見つけた『THE LAST SOUL MAN』って作品で衝撃的な出会いをしたわけです。
そしてそれが同時に僕にとっての純粋なソウル・ミュージックとの出会いになる。
もしも、ローリング・ストーンズの『DIRTY WORK』を聴かなければ、そもそもローリング・ストーンズを聴く機会がなければ、ボビー・ウーマックを聴くこともなく人生を終えていたかもしれないし、訃報を知ってもこれほど敏感な反応を示すことなく、単なるひとりの米国人歌手の死亡記事として読んでいたと思う。
また一人、ソウル界に於いて正統な継承者を喪った。
どうして彼が「THE LAST SOUL MAN」と呼ばれていたか、きっとこれからじっくりと噛み締めることになるだろうと思う。
その太くハスキーな歌声で歌うSOULは、掛け替えのないアメリカの財産だ。
その魂を引き継ぐローリング・ストーンズがカヴァーした「IT'S ALL OVER NOW」で追悼したい。
さらば、ラスト・ソウルマン。
安らかに眠ってください…
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YouTube: The Rolling Stones - Bobby Womack Tribute - It's All Over Now