矢野久美子著、中公新書刊
政治哲学の分野で活躍したハンナ・アーレントの生涯を描いた著作です。アーレントの名を何冊かの本で目にし、気に掛かっていたので本書を手に取りました。ドイツで生まれ、美貌と才能に恵まれ、マルティン・ハイデッガー、カール・ヤスパースに才能を認められるも、ナチの台頭によって亡命を余儀なくされ、紆余曲折の末にアメリカに亡命した。アメリカでの言論活動が評価され著名となったが、「イエルサ . . . 本文を読む
15年以上ブラウンの電気シェーバー(5シリーズ)を使用しました。一枚刃より簡単に髭が剃れる。しかも、一週間毎に髭くずを掃除すれば、刃は一年半程度持ちました。しかし、剃り残しが結構あり、普段は老眼気味で余り見えない物が、良い具合に光が当たると、あちらこちらに剃り残しが見えます。これを反るのが難しく、大体抜く事になります。
新しい製品を調べると、現行の5シリーズは、深ぞりではなく満遍なく剃れる、とのこ . . . 本文を読む
嵐山光三郎著、新潮文庫刊
久しぶりに嵐山さんの著作を読みました。今回は、著者が長年親しんできた芭蕉の紀行作品に登場する地(「歌枕」と言うそうです)を辿り、紀行に込めた芭蕉の感覚と意図を探っています。私には不向きな分野で読み通すのに時間が掛かりましたが、平易で感覚に訴える表現で助かりました。昔、芭蕉が幕府の隠密として・・・、とか何とかという小説があると聞きましたが、弟子の曾良が幕府の隠密であったそう . . . 本文を読む
聴力が弱くなって、体温計が測定を完了したことを知らせるビープ音が聞こえません。ある時、掛かり付け医で良い製品に出会いました。30秒で測定が終了し、測定終了をかなり大きな音量で教えてくれます。体温をこまめに測るには打って付けの製品です。表示が大きく、電源がボタン電池のCR203というで有り触れたのであり、握りの太い部分に挿入口が付いてメンテナンスが簡単そう。類似品が見当たらず、3,000円の値段はや . . . 本文を読む
池宮彰一郎著、新潮文庫刊
物語の始まりは朝鮮出兵の末期から。やがて強稈島津と有名を轟かせる島津義弘率いる3,000人程の薩摩軍が、明朝の総大将率いる20万の軍勢に挑みます。薩摩言葉と格調高い文章が激動の時代と人々を描いて秀逸です。やがて迎える関ヶ原の合戦へ向けた数々の謀略を描きながら、島津義弘の苦しい胸中、家人達の義弘への篤い思いなど、関ヶ原前夜の様々な動きを描きつつ、島津義弘の戦略眼と島津軍独自 . . . 本文を読む
若い人は高い音を聞き分けるが、年齢と共に聴取周波数の一部が失われる。一方で、熟練のオーディオ評論家は年配の人が多い。これは矛盾ではないか。耳が衰えても、それなりに良い音を聞き分けられるののでしょうか。
友人が所有する高価なオーディオセットで音楽を聴くと、びっくりするほど音が繊細で美しい。しかし、文字通りの「ディスクトップオーディオ環境」で聞いている私には、そのような間接音を交えて作り上げた立派な機 . . . 本文を読む
吉村昭著、文春文庫刊
江戸末期から明治に掛けて活躍した高松凌雲を描いています。吉村さんの丹念な取材と、ひたひたと押し寄せるような文体の作品です。
主人公は農民の子ながら、医師を志して出奔した兄を頼って、やがて自らも医学への道を歩み始めます。そして・・・。
実在の人、出来事を描いて見事な作品を作り出す吉村さんの筆力に、今回もノックアウトされました。
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2018年日本公開のイギリス、フランス、アメリカの合作映画です。過去のトラウマ故に職を辞して殺し屋を稼業とする主人公は、過去の悪夢に苛まれながら、認知症と思しき母親と二人暮らしをしている。ある日、行方不明になった議員の娘の奪還を依頼され動き出すが・・・。
普通に描けば、ありがちな映画になるのでしょうが、本作は、見事な演出と主演のホアキン・フェニックスの説得力ある演技が、素晴らしい作品にしています。 . . . 本文を読む
高杉さんの著書の内「祖国へ、熱き心を」、「新巨大外資銀行」に続き手に取った三作目です。今日の日本触媒を起業した八谷(やたがい)氏の会社経営の苦闘を描いています。起業から現代までを駆け足で描いていますが、「炎の経営者」八谷氏を見事に描き出しています。人並みでは達成し得ない性かを、意思と努力で達成した生き様を臨場感たっぷりに描いています。その基盤となっているのが人に惚れられるお人柄とぶれない志です。作 . . . 本文を読む
2018年日本公開のアメリカ映画です。恋人をテロで失った主人公が、たった一人でテロ集団への復讐を目指していたが、CIAにリクルートされ暗殺者としての訓練を受ける。規格外れの主人公は、テロを憎む一心で指示を無視して突っ走る。やがて、恐るべき陰謀が動き出し・・・。
主人公を「メイズランナー」のディラン・オブライエンが演じていて、主人公の心の葛藤を十分に演じています。しかし、脚本がイマイチで助演の俳優に . . . 本文を読む
鳴海章著、光文社文庫刊
初めは、時系列に従い断片的な情景が描かれて行き、突然テロに至ります。この段階で、登場人物が、ほぼ出揃います。そこからまた、平行して情景が断片的に描かれ、次第に謎が浮かび上がってくる。最後まで読み終わると、仕掛けが大風呂敷に感じます。それ程の陰謀とも思えず、強烈なオーラを放つ悪役も登場しない。幾分肩すかしの感がありました。
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2018年日本公開のアメリカ映画です。アンジェリーナ・ジョリーが主演のトゥームレイダー・シリーズを楽しみましたが、本作は主人公が若い時代の物語として作られています。ゲームの「トゥームレイダー」の映画化と言うことですが、ゲームの内容は知りません。
主演のアリシア・ヴィキャンデルは、「コードネーム U.N.C.L.E.」では容姿が幼くミスキャストに感じましたが、「エクス・マキナ」では見事に役柄を演じて . . . 本文を読む
乙川優三郎著、新潮文庫刊
現代を対象とした乙川さんの作品では、「R.S.ヴィラセニョール」に続いて読みました。本書は13編から成る短編集です。1遍だけ男性が主人公の作品です。他の作品は様々な境遇にある女性達の心の揺れを丁寧に描いています。
「R.S.ヴィラセニョール」は長篇で、言葉がゆっくりと身体に染み込み、主人公の生き方を飲み下すことが出来ましたが、短編集は、こうした作品に慣れないせいか、そこに . . . 本文を読む