サジッタ&清史郎の部屋

相棒3頭と暮らす馬日記

駈歩発進

2005-11-10 21:12:31 | 美子
美子の練習を見ていて、色々と問題は多いのが、もっとも問題が多いのが駈歩発進です。
通常の駈歩発進だけに限らず、シンプルチェンジのタイミングも含めてです。

以前の記事で、馬との連携が交換手のいた時代の電話と例えたことがありました。流石に少しは進歩したか、そのようなことはなくなりましたが、相変わらず手前の信頼性が無い、馬に滑らかさがなくてビックリしたような動作になる、シンプルチェンジのタイミングが間延びするなど、数々の問題があります。これらの問題は、初級の騎手に共通している部分と、美子の感性に問題ありと思われる部分がありますが、今日の指導で面白い表現をして、『意外と・・・』というかドンぴしゃり改善した部分がありましたので記事にして見ましょう。
駈歩発進の時、重心の移動・脚の扶助・発進動作への随伴など様々なことを一気に実行しなければならないのですが、常歩~の場合は拳を引っ張りすぎないで馬を前進させながら扶助を与えることが重要です。これが進歩してくると完璧なバランスバックから収縮駈歩発進へと進むのですが、今日のところは馬体の状態が充分丸くなっていない、新馬に近い馬の話です。

清兎は、右と左のバランスが非常にアンバランスで、右は正しいバランスの尋常駈歩発進が出来ますが、左の場合ハミを強く持つと駈歩発進時に前に進めなくなり膠着を起こすことがあります。今日の美子の運動がそうでした。来月の全日本学生選手権大会に向け、選手権馬場の経路練習をさせていましたが、左が全く発進できない。何度か行なう内に完全に膠着状態になり、競技であれば反抗の継続で失権という状態です。
何故馬が膠着するのか、原因はどこにあるのか本人に問いただしましたが、バランスが悪いとか、左右の脚扶助の問題だとか、本質的には間違っていませんが問題解決の回答になっていない返事でした。
何故失敗したかというと、左手前発進が上手く行かないものだから右手前と同じく手綱を強く握り締め強い脚を使っていたのです。だから馬は前に進むことが出来なくなって、強い膠着を起こしたのです。

美子に言ったことは、『傾斜した地面に馬を立たせて駈歩発進していることをイメージしてごらん・・・』でした。馬体の柔軟さ、後駆の踏み込みが良好な右手前は、急傾斜は無理としても多少の上り坂には発進が対応できます。同じ傾斜でも左手前の場合、馬が自分からハミを前方へ押さないため馬体が後方へ引っくり返ってしまい、駈歩発進は出来ません。
手綱を強く握って、ハミに馬を追い込みながらの駈歩発進は正にそのような状態だったのです。
『上り坂の下に馬を立たせないで、滑らかな下り坂の上に馬を立たせて発進時のバランスが後駆でなく前駆に掛かるような重心移動をイメージして左駈歩を発進してごらん・・・』と、人間の両膝を馬の飛節に例えて後駆の沈下を説明し、その状態から発進する収縮駈歩と、直立している人間が頭を前に倒して行ったらドタンと倒れないために足が自然と1歩踏み出すタイミングでのバランスバックしていない駈歩発進を説明しました。
文章にして指導のニュアンスが伝わるかどうかは不明ですが、騎手にとっては理解し易かったようです。

バランスバックした状態の右駈歩、踏み出す左前肢にバランスの残った左駈歩と、先程までの膠着が嘘のようにスイスイ動きました。
指導を受けて、直ちに実行できたのは美子の進歩ですが、馬のバランスを理解して次からは言われる前に対応して欲しいな~。全日本学生では5分間の試乗でどこまで馬の感覚をつかめるかな~、と不安になったところです。

シンプルチェンジの問題については、また明日です。
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