人生の謎学

―― あるいは、瞑想と世界

玄関前のアドリブ施工 -2

2014-05-09 02:39:41 | 日記
 ブロック塀の長さの中間に、幅40センチほどの隙間をつくった。出入りとしては狭いが、その狭さを意図的に考えた。
 はじめは深く考えなかったが、この隙間を何度も出入りしているうちに、この狭さが、とても印象的な何かをもたらしていることに、わたしは気づいた。それはたんに、狭いので注意をする、ということから生じる緊張感のようなものだけではない。

 またこのブロック塀は、自分のウチだから思いつくままに遊んだ。目地を入れていないのは、いずれ全体を上塗りして仕上げるつもりだからである。ジョリパットが一般的なのだろうが、コスト的な問題を考えて、ちょっと違ったプランがある。
 ジョリパットを施工する現場を何度か手掛けたことがあるが、個人的には高すぎると思っている。しかし品質は安定している。
 中には、予算のない現場もあり、それでもできれば塀などをきれいに仕上げたいという注文が入ると、わたしは「骨材」と「下地材」と「仕上げ材」の選択・選別に頭を痛めることになる。
 躯体の状態が、仕上がりイメージに近い場合は、塗料でもいいこともある。しかし塀や壁面、外壁は、「艶なし」の塗料を使いたい。艶があってテカテカと光るような仕上げ面は、なんとも見苦しい。となると、選択できる製品が少なくなり、しかも色バリェーションが極端に乏しくなる。場合によっては「調色」しなければならなくなる。
 コンクリート・ブロックの目地あるいは繋ぎ目を潰して、コテあとを残すパターン仕上げとなると、まず全体をしごかなければならない。これには左官の技術が必要となる。
 コテあとのパターンを演出するにしても、全体に色ムラがなく、いい色で、表面に艶がなくて、なめらかな面を仕上げるのは、低予算では不可能に思える。まして、それは直射日光や風雨に耐えるだけの品質性能を有していなければならない。

 ――現在のところ、玄関前のこれらの「線」と「面」と「空間」は、よく見ればユニークかもしれないが、まだおそらくありきたりな印象を免れないだろう。
 しかしわたしには自信がある。思い浮かぶプランを実行に移したら、とても美しい快適な空間が創出できるはずである。
 全体のプランはまったく皆無で、ぽつぽつと具体化するにつれ、それとの整合性や遊び心だけが次の展開をはらんでいく……。普通では考えられないやり方だが、ここには考える愉しみや苦しみが凝縮している。

玄関前のアドリブ施工 -2__1


玄関前のアドリブ施工 -2__2





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