人生の謎学

―― あるいは、瞑想と世界

西脇順三郎 ―― 覆された宝石

2008-06-20 00:55:33 | 日本文学
西脇順三郎が日本語による第一詩集『Ambarvalia』を刊行したのは、1933年9月のことである。
1933年9月といえば、日本のシュルレアリスム絵画のさきがけとなった古賀春江が、39歳で病没している。さらにその翌年には、象徴詩に新しい可能性をひらいた大手拓次が、46歳で亡くなっている。
――詩集『Ambarvalia』は日本近代詩に革新的な衝撃を与え、エポックを画することとなった。西脇順三郎は、時代の趨勢にあったダダやシュルレアリスムに対して、いささか距離を持していた。ダダやシュルレアリスムは、この詩人にとって「人生の破壊された廃墟であり、人間の生きようとする積極的な意志を欠いた」ものであり、「現実を忘れてしまう」ようなものだったのである。西脇順三郎はあくまでも、知性と想像力によって、倦んだ現実を新鮮に保つことを企図した。


西脇順三郎 ―― 覆された宝石__1


西脇順三郎 ―― 覆された宝石__2



この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ホラー小説《占ひ師》 -17 | トップ | 『リプレイ』をめぐって »
最新の画像もっと見る

日本文学」カテゴリの最新記事