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人生の謎学

―― あるいは、瞑想と世界

落語のシュールな死体

2008-07-05 00:54:15 | 文化・芸能
■落語《あたま山》の主人公は、身投げ自殺をする結末であり、《粗忽長屋》では笑いの中心に行き倒れした死体の存在が居座っています。――落語には死や死体をめぐる対応、処世を扱った演目が実に多いことに気づかされます。

そこに死があり、死体が存在する以上は、弔いをしなければなりません。《黄金餅》では、その死体をめぐる陰惨な内容が、笑いとしてはばかりなく開陳されます。
さらにまた、もしも死体が葬儀の終了する前に愚弄されれば、かなり常軌を逸した物語になり、その意味では、かなり異色の落語であると思われます。

落語《らくだ》は、題名になっている「らくだ」なる人物が、冒頭ですでに死者となって「登場」し――このことをもって映画《ソウⅣ》と類似性があるとするのは無理があるとしても――当然のことながら一言も口を利かないという設定が、どこかヌーボーロマンの文学や前衛的作品を思わせますし、その不条理はアラバールの戯曲とかカフカの文学あるいはスタニスワフ・レムの作品世界にも通じているように感じられます。《シックス・センス》や《アザーズ》あたりの製作水準を、もしかすると軽々と超えているかもしれません。――つらつら考えてみるに、《黄金餅》や《らくだ》のような演目が、放送禁止にもならずに、視聴者の娯楽に供されていることに、私はいまさらながら驚きを禁じ得ません。


〈落語のシュールな死体〉____1

〈落語のシュールな死体〉____2

〈落語のシュールな死体〉____3

〈落語のシュールな死体〉____4


短編小説《その言葉》

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