■――予知の成立には、また確率の問題も含まれているに違いない。百のことを予知して、結果的にひとつのことが予知的に成立したとき、そのひとつ以外はすべて忘れ去られる、ということが考えられる。さらには、あるひとつのことを、あるゆらぎを認めたまま予知したとすると、現実の到来にしたがって具体化するその程度に応じて、ゆらぎにおけるさまざまな可能性をしだいに限定してゆき、やがて「決定的」な予知内容を外在的に確認することは、それほど不可能ではない。このような考え方に立脚するならば、極端な場合には、なんの予知内容の持ち合わせもないまま、任意のある出来事にさいして、それを自分が予知的にあらかじめ知っていたと感じることも、決してあり得ないことではない。――
〈予知能力と夢〉_1
〈予知能力と夢〉_2
〈予知能力と夢〉_1
〈予知能力と夢〉_2