人生の謎学

―― あるいは、瞑想と世界

ルドルフ・ハウスナー 《オデュッセウスの方舟》

2008-06-22 00:06:25 | 美術
■ルドルフ・ハウスナー(ハウズナー)は、ウィーン美術学校卒業後に第二次大戦に徴され、歩兵連隊に配属された頃、何かのきっかけで木の表面に異様なイメージを幻視するようになり、以来絵筆を持たず頭のなかで「絵を描きつづけた」時期があったといいます。
その後参加した芸術家協会で、ハウスナーはエルンスト・フックスをはじめ、のちに〈ウィーン派〉を形成することとなるフッターやレームデン、ブラウアーらを知ります。

ウィーン派の5人は、いずれもナチス・ドイツによってもたらされた忌しい現実の被害者である点で共通しています。ハウスナーは1914年生まれの最年長で、他の4人は1928年から30年の生まれですが、8歳の時に両親をナチスに虐殺されたフックス、子供ながら強制労働に駆り出された経験のあるブラウアーとともに、ユダヤ人であるハウスナーがナチスによる悲惨な体験を免れられるはずはなかったでしょう。体験的トラウマを心に刻みつけ、その過去と現実の悲惨さに対抗すべく、冷徹な観察の目を内面に向け、想像力の限りを行使して、彼らはそれぞれの幻想的、文学的表現に賭したのです。

〈ルドルフ・ハウスナー《オデュッセウスの方舟》_1〉

〈ルドルフ・ハウスナー《オデュッセウスの方舟》_2〉


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