車輪を再発見する人のブログ

反左翼系リベラルのブログ

AIG幹部多額ボーナス

2009年03月18日 | 経済一般

アメリカ政府から1700億ドルもの資金援助を得て再建途中のAIGが幹部社員73人に対して一人当たり100万ドル以上ものボーナスを支給していたことが明らかになり、問題となっている。世論の怒りを受けアメリカ政府は自主的なボーナスの返還を求め、強制的な課税を含めあらゆる手を尽くしてこの問題に対処していく姿勢を示している。(産経ニュースより)

日本における不良債権処理と銀行へと資金注入を思い出させるニュースである。経済全体の再建には政府による金融機関への資金援助が必要であるが、経営陣への責任を問うことになると経営者達が政府に資金援助を申請しようとしなくなるので、経営者の責任を棚上げにしようという議論があった。感情的に経営陣の責任を追及するよりも経済再建を第一に考えるべきだというのがあった。今回の事例においても、経営陣のボーナスという些細な問題でAIGに対する支援を撤回したり縮小すべきではないという声が出ている。私は、そのような意見はどうかと思う。

テロリストが一般人を人質に取って金銭を要求したとする。一つの道は、もう事件が起こってしまったのだから抵抗すれば人が死ぬだけだからお金を渡せばいい。更なる事件が起こらないように防犯に気をつければいい。しかし、もしかしたら今テロリストに屈服したら更なる誘拐事件を巻き起こすかも知れない。今回の事例で経営陣に寛大であることはテロリストに屈することと同じかもしれない。一時的には経済の安定化に寄与するかもしれないが、長期的には経済全体を人質に取ればどんな間違いも免罪されるという間違ったメッセージを将来の経営者達に送ることになるかもしれない。

アメリカ経済全体に深刻な影響を与えるようなことをした経営陣たちに対しては、寛大な処置を取り、軽微な罪に対しては厳しく取り締まるのであれば不公平であろう。ここは感情的という言葉によって現実から逃げるのではなく、同じように罪は罪、間違っているものは間違っているものとして対応すべきだろう。そのことが結局は長期的に健全な社会を築くことになるだろう。

押していただけると、励みになります。


小沢氏選挙に西松社員

2009年03月18日 | 政治

公設第一秘書が政治資金規正法違反で逮捕され小沢一郎民主党代表であるが、自身の疑惑について手続き上の問題に過ぎないというような形で西松建設からのトンネル献金の合法性を主張してきた。しかし、西松建設との関係が単に政治資金の提供を受けるだけという範囲に収まらないものであった事実が明らかになってきている。gooニュースより。

・・・小沢氏の元秘書が、西松建設の社員を小沢氏の選挙に大量動員していたことが15日、西松関係者の話で分かった。・・・東京地検特捜部は、元秘書が西松に、こうした小沢氏への支援の一環として、トンネル献金を始めさせたとみているもようだ。・・・

捜査関係者によると、西松が考案したトンネル献金の仕組みも、元秘書が了承し、後任の大久保容疑者らに引き継いだとされる。・・・

元秘書は旧自由党候補として比例代表東北ブロックから出馬した12年の衆院選で、西松に自由党側の運動員として社員の派遣を求め、選挙運動を展開。自身の当選にもつなげた。

 東北のゼネコン関係者は、「元秘書の信用を得なければ、工事は受注できなかった」と証言。西松は、東北の公共工事に影響力のある小沢氏の選挙支援を重視していたという。これらの選挙運動は、小沢氏側と西松との深いつながりを示すものとみられる。・・・

上の元秘書は前の記事でも紹介した高橋嘉信氏であろうが、小沢一郎氏周辺の西松建設との深い関わりが明らかになってきているようだ。知事でも、与党の大臣でもない小沢氏が東北地方にこれほどの影響力を持っていたこと自体がかなりの驚きではあるが、それはまた小沢氏が金丸信氏から引き継いだ公共事業利権のすごさを示すものでもあるだろう。小沢氏にはこれ以外にも朝鮮半島や中国に関する利権や深い関係も取り沙汰されており、本当に国民の側を向いた政治が出来るのかどうか疑問に思う声が高まるのも無理からぬことだろう。

押していただけると、励みになります。


感情的になれない愚かさ

2009年03月18日 | 経済一般

週刊ダイヤモンドで貧困特集があるらしい。その告知記事がネット版にあったのだが、お約束とも言える内容で笑ってしまった。

よく言われる「自己責任論」、つまり「何らかの努力が足りなくて貧困状態に陥ったのだ」とする見方も、全くの不正解ではありません。パチンコに精を出し、サラ金に手を出した挙げ句にホームレス状態に陥った人に、果たしてどこまで手を差し伸べたらよいのか――。

よく聞くこのような自己責任論という馬鹿げた議論。問題は、もし本当に貧しいお金に困っている人を支援することが否定できるなら、それよりもお金に困っていない裕福な人を保護したりすることはより強く否定できるということである。だから、ホームレスに対しては自己責任論を振り回し、逆に年収一千万円の中高年を保護するというのは論理的に一番意味不明であるということである。

ホームレスにも責任があると言う人がいるが、それを言ったら同じような責任が他の人にもあるから如何なる人間も保護されてはいけないということになる。つまり、貧困層を社会として支援するという考えを、自己責任論によって否定し、高所得者層の保護を維持できるのならば、そのような主張は多くの人が納得できる貧困層を支援するという考えを否定し、勝手に選んだ富裕層を支援していいことになる。いったい何様なんだというような話だ。だから、いろいろな考えがあるかもしれないが、所得の低い人を支援することは基本的に必要だと考えられるので、他のやり方貧困層をむしして高所得者層を支援するというのに比べたら合理的なので、貧困層を支援するというのが論理的な考え方だ。

押していただけると、励みになります。


全日空ストライキ

2009年03月18日 | 経済学

今度は全日空のグループ企業でストライキということだが、この前のTBSのストライキとは少し構造が違うようだ。グループ企業というのがポイントで、実は本体の全日空と比べるとかなりの待遇格差が存在しているようだ。同じ仕事であっても、本体かその子会社か、はたまた正規雇用か契約社員かで待遇が大きく違う。今回のストライキはこの待遇格差に対する反対として行われたらしい。

前の記事の補足でもあるのだが、日本企業の特徴として企業内組合があり、経営者も実質的にその企業内組合の利害関係者の一人として機能していると言うのがある。だから、日本においては本体の正社員の待遇を守るために、経費を下請けに押し付けたり、グループ企業に不要な社員を出向させて経費を押し付けたりする。また、自分達の待遇が下がらないように、下請けや契約社員、グループ企業の低賃金社員といったものを利用するということに繋がる。つまり、本体の正社員が第一でありその利益のために周りのものが犠牲を強いられる構造になっている。当然、本来の企業としてはこのようなやり方は非効率で企業の利益を如何なる意味においても損なうのであるが、一部のものが絶対的な特権を持っている状態においてはこのようなことが起こってしまう。

そして、このような特権的かつ閉鎖的な企業内組合の手先として存在している経営者が自己責任を語るというのが日本の不可思議な自由競争議論である。日本以外の国では経営者の主張は常に同じで、高賃金の労働者の解雇を容易にしてほしいというので一貫している。アメリカでは、90年代の不況において不要な中間管理職を大量に解雇して合理化を進めた。これが普通である。しかし、日本においては高賃金の正社員の代表が自分達の利害を守り差別と格差を創り出すことをあたかも自由競争であるかのように議論するから意味不明なことになる。まるで、独占企業が自由競争を語って自らの優秀さを賛美するようなものだ。そもそも基本の論理が可笑し過ぎるのだ。

押していただけると、励みになります。


異常な日本の格差議論

2009年03月18日 | 経済学

松本さんが日本におけるイデオロギーと労働問題の関係を取り上げているが、日本における主張は世界的に見ると不可解で他の国での議論とは違うということを指摘しておく必要がある。

まず、右派の議論で自己責任論が出てくるとあるが、こんなもの日本以外では出て来ようがない。新自由主義の主張の基本は労働者の過剰な保護を止めて自由に解雇できるようにして、社会の流動性を高めろというものだ。そして、それで落ちこぼれた人がいたら社会保障で助けるべきだという主張が一般的だ。だから、日本以外では貧困対策は市場主義者も他の人と同じように支持する政策だし、そもそも特権階級の労働者の権利を保護しながら自己責任というような意味不明な論理自体がありえない。

また、左派においても(これは右派でも当然同じであるが)同一労働同一賃金はあまりにも当然のことなので、そもそも日本のような正社員と非正社員との身分制度が認められること自体ありえないし、アメリカなら裁判になって大事件である。だから、社会保障や職業訓練を拡充して全体の賃金水準を高めましょうという話になって、日本のように格差が拡大するということにはならないし、労働組合が自分達の利益だけのために派遣労働者を搾取するということもありえない。

つまり、そもそも日本以外では同一労働同一賃金を否定することが間違いであることはあまりにも当たり前すぎるので日本のような議論になりようがない。同じ仕事をしていて違う待遇なら明らかな差別であり、議論の余地がない。だから、OECDのような国際機関もこれを問題視しているのであり、経済学者も(ちなみに日本の経済学者も)ほぼ全員がこれでは一致している。つまり、日本のメディアが異常なのであって、日本以外では解雇を自由に出来るようにしましょうとなるか、社会保障を充実しましょうとなるかのどちらかしかありえない。結局は、理論や現実を無視して、自分達にとって都合のいい虚構の世界を創り上げてしまう日本のメディアの異常性が示されているだけである。

押していただけると、励みになります。