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社会保障政策の貧困

2010年01月14日 | 経済学

派遣村の現金持ち逃げ事件の話を聞いていると、なぜ世界中で社会保障政策が失敗し続けているのかがわかる。

今回の事件、はっきり言って事件とさえ言えないくらいの少ない金額で大騒ぎになっている。他方では、ほとんど社会に貢献すらせずに多額の給料を得ている公務員や、中高年社員がたくさんいる。結局のところ、対象ごとに公平で統一的な基準で判断するのではなく、恣意的に判断するためにこのようなことになる。

第二次大戦後、世界中で社会保障予算が増額され続けたが、多くの国において貧困がなくなったわけではなかった。日本でも最近貧困の拡大が問題になっている。それは、社会保障予算の多くが高所得者に使われたからだった。ヨーロッパにおいては、もともと高収入な熟練労働者に対する気前のいい失業給付が行われたため、政府の財政は圧迫されたが、貧困層に対しては大した予算が割かれなかったので弱者を救済することには見事に失敗した。日本においても、大企業正社員のような強者を保護するために多額の予算と資源が投入され、さらに公務員の肥大化によって政府予算は膨らみ続けたがそれは貧困問題の解決に何も貢献しなかった。

国際的にも、疫病対策や飢餓対策など少ない予算で多大な効果を上げることのできる国際援助があるにも関わらず、先進国が行ったのは一部の移民に対する異常なまでの援助だった。そして、紐付き援助のような劣悪な援助を行い、それが失敗すると援助が逆に悪い結果をもたらすと言い出した。明らかに成果を上げられることをあえて避けて失敗したにも関わらずである。

このように、ある者に対しては異常なまでに厳しい基準を適用し、別に者に対してはびっくりするくらい緩い基準を適用する。これでは、政策が失敗するのは当然のことである。千円のお金で貧困問題が瞬時に永久的に解消したりするとでも思っているのだろうか。

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