車輪を再発見する人のブログ

反左翼系リベラルのブログ

北朝鮮ミサイル問題

2009年03月21日 | 政治

北朝鮮が予告した衛星打ち上げまで2週間である。北朝鮮は衛星と称しているが、長距離弾道ミサイルを搭載可能であるとされ、成功した場合日本本土全体が射程内に収まり、日本の防衛上大きな問題を抱えることになる。ミサイルはテポドン2号を改良したものと見られている。

それに対応して、麻生首相は今回の北朝鮮によるミサイル実験に対抗して、追加経済制裁の検討を示唆している。国際社会は国連安保理決議に基づき北朝鮮に対してミサイル開発の中止を求めてきたが、アメリカや韓国の軟化、中国の保護の下北朝鮮は開発を続け、とうとう現在の状況に至る事になった。その意味で、日本国内外の北朝鮮融和政策の失敗を示す出来事と言って良いかもしれない。

北朝鮮の金正日主席は去年の脳梗塞以降体調不良が囁かれ、かなり痩せたとも伝えられている。主席のこのような状況は後継者問題も含めてこれからの展開に大きな影響を与えるかもしれない。中国は三世代に渡る世襲に難色を示しているとも言われ金王朝のこれからが危惧されるが、同時に国家の危機を乗り切るために瀬戸際外交により日本に対する脅威が増している。

このような状況で日本政府としてはまず東アジアの平和と安定のために、北朝鮮に対して断固とした態度を示す必要があるだろう。これまでの北朝鮮に対する軟弱な外交姿勢が北朝鮮を増長させ問題を悪化させてきた。日本政府としては、あからさまな他国への威嚇行動に対して厳然たる態度で臨むことによって、脅迫が通じないことを示し、その先にあるさらなる北朝鮮の軍備拡張による東アジアの不安定化に対処していく必要があるだろう。

押していただけると、励みになります。


リスクと確率論

2009年03月21日 | 経済学

株式投資の話を前回したのでついでにリスクと確率論の話をしておく。100パーセントの確率で年3パーセントの利回りを持つ投資先と比べると、平均すると年3パーセントのリターンをもたらす投資先であっても50パーセントの確率で1パーセントのマイナス、50パーセントの確率で7パーセントのプラスの投資先は価値が低くなる。結果として、不確実な投資の場合はリスクプレミアムといって安全な投資先の平均利回りを上回る余分な平均利回りが必要になってくる。株式の場合変動が大きいのでリスクプレミアムが大体5パーセントくらい付くといわれている。

これは現実の世界でも同じで、自動車保険や生命保険は保険会社がリスクを集めて負担することによって成り立っている。個人個人としては大きな事故や突然の配偶者の死といったものから受ける影響は大きなものである。しかし、頻度としてはそこまで大きくない。それでも、個人としてはリスクプレミアムを払ってでも保険に入っておいたほうが安全である。一方保険会社にとっては多くの契約者を集めて確率論的に管理すれば、死亡率や事故率は一定の範囲に収まるので特段大きなリスクをとる必要がない。管理費用が必要であるが、それがリスクプレミアムよりも小さければ利益を上げることが出来る。このようにして、保険会社は顧客のリスクを回避することによってリスクプレミアムから利益を得ている。

話を株式に戻すと、分散投資というものがよく言われる。多くの銘柄や、日本以外にも海外も含めて資金を分散して投資することだ。そうすると、当然株式市場全体が同時に急騰したり下落したりすることもあるのだが、それぞれが違う方向に動く要素もある。だから、平均利回りの期待値が同じだとすると分散投資した方がリスクが小さく優れているといえる。ただし、分散投資しようとすると費用が余計に掛かってしまうことがあるから注意だ。しかし、最近ではインデックス連動型のETF型の投資信託など分散投資を低コストで可能にする商品が日本や海外の証券市場に上場しているのでうれしいところだ。

押していただけると、励みになります。


長期投資のリスクとリターン

2009年03月21日 | 経済学

株式投資において手数料の低いインデックス投信による長期投資をいつも進めている山崎元氏、株式市場の市場平均に対する勝ち負けはゼロサムゲームだから運用は平均でいいことにして手数料の安さで資産を出来る限り増やそうというアドバイスは的確だ。山崎氏のような良心的な投資アドバイスをする人が増えるといいなと思う。ところで、今日は読売新聞の山崎氏のコラムで気になったところがあったので取り上げる。

まず、「広く分散された株式ポートフォリオに投資していた場合には、一九二六年から二〇〇五年までの期間を通じて年平均一〇.五%という高いリターンを上げることができたのである」と説明し、次に、投資期間が1年間の場合「典型的な株式ポートフォリオのリターンは、ある年には五二%を超えたかと思えば、ある年には二六%以上ものマイナスになっていたりする」と述べる。

そして、「もし二五年間株式を持ち続けられるなら話は全然違ってくる。どの二五年間をとるかによって多少の違いはあるかも知れないが、その差は大きくない」「もし一九五〇年以降、株式投資にとって最悪だった二五年をとったとしても、年平均リターンは(筆者注:平均リターンの一〇.五%よりも)三%ポイント低かっただけである」と続く。さらに、「この平均値からの年々の実際得られるリターンのぶれは投資期間に比例して小さくなり、二五年になると、上に六.七%、下に二.六%にせばまるのだ」という。

以上のデータから、リスクは投資期間に依存し、「投資対象を保有し続けられる期間が長ければ長いほど、ポートフォリオに占める株式の割合を高めるべきなのだ」とマルキールは説明する。読者はこの説明に、説得されるだろうか。

マルキールのデータを使って、簡単な計算をやってみよう。投資の元本を100として、株式に投資した場合、1年後の運用資産額の最大額は過去最高のリターンが52.62%なので152.62であり、最少額はマイナス26.47%という年があって73.53になる。その差は79.09だ。

次に、25年の保有期間の場合を計算すると、最大の場合の年率リターンは17.24%で、最低の場合は7.94%だ。1.1724の25乗と1.0794の25乗を計算すると、最高額は5332、最低額は675だ(端数は四捨五入)。両者の差は4657にもなる。複利の計算の実感が湧かないかも知れないが、表計算ソフトなどを使って確認してみて欲しい。ちなみに、10.5%で25年間資産を増やし続けると100の資産が1214になる。元本の675%は十分満足すべき結果だが、投資した結果の資産額のバラツキが時間と共に拡大していることは明らかだ。

上にあるように、一年の場合は73.53から152.62、25年間の場合は675から5332と期間が長くなるとリターンが最大の場合と最小の場合との差が拡大する。それも、差の資産量が拡大するだけでなく、資産差の倍率も約2倍から約8倍へと拡大している。したがって、投資した資産自体のリスクは期間と共に拡大すると考えていいだろう。

そして、マンキールが「投資対象を保有し続けられる期間が長ければ長いほど、ポートフォリオに占める株式の割合を高めるべきなのだ」と主張している部分だがこれは債券投資と比べた場合の株式投資のリスクについて言っているのではないだろうか。投資期間が長くなれば長くなるほど、株式投資の平均利回りが債権投資の利回りを下回るリスクが低下するということではないだろうか。

上にあるように、投資期間が長期化するとリターンの利率の平均値からのブレが縮小し狭い範囲に収まるようになる。そうすると、そうすると債権投資の利回りを下回る確率は基本的に低下するだろう。長期債権の利率は基本的に短期債権よりも高いので総合的なリスクを含めたリターンのメリットは断定的には言えないかもしれないが、長期債権と短期債権の利回りの差がそこまで大きくなく、株式投資のリスクプレミアムが5パーセントほどであることを考えると、長期投資において株式投資の債券投資に対するリスクは大きく低下し、リスクプレミアムを含めた評価においても株式投資のメリットが増していくのではないだろうか。だから、マンキールがいうように、「投資対象を保有し続けられる期間が長ければ長いほど、ポートフォリオに占める株式の割合を高めるべきなのだ」ということが成り立つのではないだろうか。

押していただけると、励みになります。